球根の害虫と病気の対策ガイド
2026年2月6日

チューリップやユリなど球根植物を脅かす害虫(アブラムシ、ネキリムシ)と病気(灰色かび病、球根腐敗病)の対策を徹底解説。予防方法から効果的な駆除方法、季節ごとの管理スケジュールまで、球根植物を健康に育てるための完全ガイドです。
球根の害虫と病気の対策ガイド
球根植物は、チューリップ、スイセン、ユリ、ダリアなど、季節ごとに美しい花を咲かせてくれる園芸の人気者です。しかし、球根は土の中で育つため、害虫や病気の被害を受けやすく、適切な対策を講じないと花を楽しむことができなくなってしまいます。この記事では、球根植物を守るための害虫と病気の対策について、予防から駆除まで徹底的に解説します。
球根を脅かす主な害虫とその対策
球根植物に被害を与える害虫は多種多様ですが、特に注意すべき代表的な害虫について、その特徴と対策方法をご紹介します。

アブラムシ(aphids)
アブラムシは3月から11月にかけて活動し、環境によっては年中発生する可能性がある厄介な害虫です。体長2〜4mm程度の小さな虫で、新芽や蕾、葉の裏に群生し、植物の汁を吸って生育を阻害します。さらに、害虫の中には病気を媒介するものもあり、アブラムシはウイルス病を伝播する代表的な害虫として知られています。
対策方法:
- 少数の場合は、テープや歯ブラシを使った手作業での除去が有効
- 大量発生時は、被害を受けた葉を切除するか、専用の殺虫剤を散布
- 天敵であるテントウムシやヒラタアブの幼虫を利用した生物的防除も効果的
- 予防として、銀色のマルチシートを使用すると飛来を防げる
詳しい害虫対策については、病害虫対策と防除の完全ガイドをご覧ください。
ネキリムシ(cutworms)
ネキリムシは夜行性の蛾の幼虫で、日中は土壌1〜5cm深さに隠れており、夜間になると地表に現れて地際の茎を食害します。球根の芽が出た直後に被害に遭うと、せっかく育った球根が台無しになってしまいます。
対策方法:
- 夜間に懐中電灯で照らして見つけ、手で捕殺する
- 被害株の周辺の土を5〜10cm掘り返して幼虫を探し出す
- ネキリベイトなどの誘引剤入り殺虫剤を土壌表面に散布
- 苗の周りにペットボトルなどで作った防護筒を設置する予防策も有効
- 植え付け前に雑草をしっかり除去しておくことが重要
ヨトウムシ(armyworms)
ヨトウムシもネキリムシと同様に夜行性の蛾の幼虫で、葉を食害します。昼間は土の中や葉の裏に隠れ、夜になると活動を始めます。若齢幼虫は葉の裏側から食害し、成長すると葉全体を食べ尽くすこともあります。
対策方法:
- 早期発見が重要。葉裏を定期的にチェックする
- 若齢幼虫の段階で被害葉ごと切除する
- BT剤(バチルス・チューリンゲンシス)などの生物農薬が効果的
- 大量発生時は化学農薬を使用するが、散布は夕方がベスト
ダンゴムシ・ワラジムシ
一般的には益虫とされることもありますが、球根の新芽や柔らかい部分を食害することがあります。特に発芽直後の球根は要注意です。
対策方法:
- 落ち葉や枯れ草など、隠れ場所となる有機物を除去する
- 誘引剤入りの専用駆除剤を使用
- 植え付け時に忌避効果のある資材を混ぜ込む
球根を襲う主な病気とその対策
球根植物は土中で育つため、湿度や温度の影響を受けやすく、様々な病気が発生します。主な病気とその対策を見ていきましょう。

灰色かび病(Gray Mold Disease)
灰色かび病は冷涼で多湿の環境で発生しやすく、春先から梅雨時期と秋から初冬の時期に多発します。最初は水がしみたような淡褐色の病斑ができ、病斑が拡大するとそこが枯れ、やがて腐敗して灰色ないし灰褐色のカビに覆われます。葉、茎、花、球根など地上部のほとんどの部位に発生する厄介な病気です。
対策方法:
- 風通しを良くし、株間を適切に保つことで湿度を下げる
- 水やりは株元に与え、葉や花に水がかからないようにする
- 湿気が多い土壌では高畝にし、ビニールマルチなどを行う
- 発病部を見つけたら直ちに切除し、周辺への蔓延を防ぐ
- STダコニール1000、GFベンレート水和剤などを7〜10日おきに定期散布して予防する
球根腐敗病(Bulb Rot Disease)
球根腐敗病は地温20℃程度で発生が多くなり、15℃以下ではほとんど発生しません。病原菌は球根で繁殖する以外にも、雑草の根のまわりや腐敗した有機物、前年の被害球根や茎葉などに付いて越年します。土中に残った病原菌が根や生育中の球根の表皮から直接侵入して発病します。
対策方法:
- 植え付け前に球根を消毒液に浸漬する(ベンレート水和剤など)
- 連作を避け、3〜4年は同じ場所に植えない
- 水はけの良い土壌を作り、過湿を避ける
- 前年の被害球根や残渣は完全に除去し、焼却処分する
- 発病した球根は速やかに抜き取り、周辺の土も取り除く
軟腐病(Soft Rot)
細菌性の病気で、球根や茎が水浸状に柔らかくなり、悪臭を放ちながら腐敗します。高温多湿の条件下で発生しやすく、傷口から侵入することが多い病気です。
対策方法:
- 球根の掘り上げ時や植え付け時に傷をつけないよう注意する
- 傷がついた場合は、よく乾燥させてから植え付ける
- 水はけを良くし、窒素肥料の過剰施用を避ける
- 発病株は速やかに抜き取り、焼却処分する
- 細菌性のため、一般的な殺菌剤はあまり効果がない。予防が最重要
モザイク病・ウイルス病
アブラムシなどの害虫によって媒介されるウイルス性の病気です。葉に黄色や白色の斑紋(モザイク模様)が現れ、生育が著しく阻害されます。
対策方法:
- 媒介する害虫(特にアブラムシ)を徹底的に防除する
- 発病株は回復しないため、速やかに抜き取り焼却処分
- 健全な球根を使用し、ウイルスフリーの球根を選ぶ
- 作業用具は消毒してから使用し、感染拡大を防ぐ
- 観葉植物・インドアグリーンでも同様の対策が有効
予防が最も重要:球根の健康管理
病気は日照不足、高温多湿、栄養の過不足などで軟弱に育った時に発生しやすくなります。何よりも病害虫を寄せ付けない環境をつくることが大事です。

環境管理のポイント
| 管理項目 | 対策内容 | 効果 |
|---|---|---|
| 日照 | 日当たりの良い場所を選ぶ | 植物が健全に育ち、病気への抵抗力が高まる |
| 風通し | 株間を適切に保ち、密植を避ける | 湿度が下がり、病原菌の繁殖を抑制 |
| 排水 | 高畝にする、砂や腐葉土を混ぜる | 根腐れや球根腐敗を防止 |
| 水やり | 過剰な水やりを避け、土の乾き具合を確認 | 過湿による病気の発生を防ぐ |
| 施肥 | バランスの取れた施肥を心がける | 軟弱な生育を避け、病害虫への抵抗性を高める |
| 清潔 | 枯れ葉や雑草を除去し、清潔に保つ | 害虫の隠れ場所や病原菌の温床を減らす |
土づくり・堆肥・肥料の基礎知識を参考に、健全な土壌環境を整えましょう。
植え付け前の球根チェック
健全な球根を選ぶことが、病害虫対策の第一歩です。
良い球根の見分け方:
- ずっしりと重みがあり、しっかりしている
- 表面に傷や変色、カビがない
- 柔らかくなっている部分がない
- 大きさが揃っており、極端に小さくない
避けるべき球根:
- 軽く、スカスカした感じがする
- 表面に斑点やカビが見られる
- 押すと柔らかく、腐敗臭がする
- 極端に小さいものや形がいびつなもの
季節ごとの対策スケジュール
球根の種類によって植え付け時期や開花時期が異なりますが、一般的な対策スケジュールをご紹介します。
春(3月〜5月)
夏(6月〜8月)
- 梅雨時期の過湿に注意し、排水対策を強化
- ヨトウムシ、ネキリムシの活動が活発化するため、夜間チェックを実施
- 高温多湿による軟腐病に注意
- 春植え球根の開花期〜開花後の管理
秋(9月〜11月)
冬(12月〜2月)
- 球根の貯蔵管理(温度・湿度管理、腐敗チェック)
- 春の植え付けに向けた土壌改良と消毒
- 剪定・整枝など、来シーズンの準備
詳しい季節ごとの作業については、季節の園芸カレンダーをご参照ください。
薬剤を使用する際の注意点
化学農薬は効果的ですが、正しく使用しないと環境や人体に悪影響を及ぼす可能性があります。
薬剤使用の基本ルール:
- ラベルをよく読む: 適用作物、使用方法、使用回数、希釈倍率を必ず確認
- 適切な濃度で使用: 濃すぎると薬害が出る可能性があり、薄すぎると効果がない
- 散布時期に注意: 風のない日の早朝か夕方に散布し、花や収穫直前の散布は避ける
- 保護具を着用: マスク、手袋、長袖の服を着用して皮膚や呼吸器への影響を防ぐ
- 定期的なローテーション: 同じ薬剤を連続使用すると抵抗性が発達するため、異なる系統の薬剤をローテーション使用
まとめ:予防と早期発見が成功の鍵
球根植物を美しく咲かせるためには、害虫と病気の対策が欠かせません。最も重要なのは、日頃から植物の状態をよく観察し、異常を早期に発見することです。
対策の3つの柱:
- 予防: 健全な球根の選定、適切な環境管理、定期的な薬剤散布
- 早期発見: 日々の観察、定期的なチェック、初期症状の見逃し防止
- 適切な対処: 被害部の速やかな除去、効果的な薬剤の使用、環境の改善
球根植物は一度植えれば毎年楽しめる多年草も多く、適切な管理を行えば長期間にわたって美しい花を咲かせてくれます。ガーデニング入門・基礎知識と合わせて、この対策ガイドを活用し、健康な球根植物の栽培を楽しんでください。
また、バラの育て方や家庭菜園など、他の植物栽培でも共通する病害虫対策の知識が役立ちます。総合的なガーデニング知識を身につけ、より豊かな園芸ライフをお楽しみください。





