壁面緑化とバーティカルガーデンの作り方
2026年2月6日

壁面緑化(かべめんりょくか)やバーティカルガーデンは、限られたスペースでも植物を楽しめる革新的な緑化手法です。建物の壁面を活用して植物を育てることで、都市空間に癒しと涼しさをもたらし、環境改善にも貢献します。本記事では、壁面緑化の基本知識から具体的な作り方、適した植物の選び方、メンテナンス方法まで、初心者にもわかりやす
壁面緑化とバーティカルガーデンの作り方
壁面緑化(かべめんりょくか)やバーティカルガーデンは、限られたスペースでも植物を楽しめる革新的な緑化手法です。建物の壁面を活用して植物を育てることで、都市空間に癒しと涼しさをもたらし、環境改善にも貢献します。本記事では、壁面緑化の基本知識から具体的な作り方、適した植物の選び方、メンテナンス方法まで、初心者にもわかりやすく解説します。
壁面緑化は単なる装飾ではなく、科学的にも証明された多くのメリットがあります。研究によると、グリーンファサードは関連コストの50倍の利益をもたらし、リビングウォールは10倍の利益をもたらす可能性があり、投資対効果が非常に高い緑化手法と言えます。
壁面緑化とは?その定義と種類
壁面緑化とは、建物の外壁や内壁を植物で覆い、緑化する手法の総称です。別名「バーティカルガーデン」「垂直庭園」「グリーンウォール」とも呼ばれ、近年世界中で注目を集めています。日本では商業施設やオフィスビルだけでなく、一般家庭でも取り入れやすいベランダ・小スペースガーデニングの一環として人気が高まっています。

壁面緑化には主に3つの種類があり、それぞれ特徴と適した場所が異なります。
壁面登はん型
壁面登はん型は、ツタやヘデラなどの付着根を持つ植物を壁面に直接這わせる最もシンプルな方法です。初期投資が少なく、自然な雰囲気を演出できるため、古い建物や歴史的建造物でよく見られます。ただし、壁面に直接植物が付着するため、建物の素材によっては劣化を招く可能性があります。
補助材使用下垂型
ワイヤーやネット、トレリスなどの補助材を壁面に設置し、そこに植物を這わせたり吊り下げたりする方法です。植物と壁面の間に空間ができるため、壁面への負担が少なく、通気性も確保できます。造園・ガーデンデザインの観点からも、デザインの自由度が高いのが特徴です。
壁面前植栽型(リビングウォール)
専用のパネルやモジュールを壁面に設置し、そこに土壌や基盤を組み込んで多様な植物を植え込む最も進化した壁面緑化システムです。短期間で壁面全体を緑化でき、様々な植物を組み合わせたデザイン性の高い緑化が可能です。ただし、初期費用や土づくり・堆肥・肥料を含むメンテナンスコストは他の方法より高くなります。
壁面緑化のメリットと科学的効果
壁面緑化は見た目の美しさだけでなく、環境・経済・健康面で科学的に証明された効果があります。

温度調節効果と省エネ効果
最も注目すべき効果は温度調節能力です。研究によると、垂直緑化システムは壁の温度を最大8.4°C低減でき、露出した壁より最大10°C涼しくなることが実証されています。これにより夏場の冷房費を大幅に削減できます。特に西日が強く当たる壁面に緑化を施すことで、室内温度の上昇を効果的に抑えられます。
空気浄化と環境改善
植物は光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を放出します。さらに葉の表面に付着した微細なホコリや有害物質を捕捉し、空気を浄化する働きがあります。都市部のヒートアイランド現象の緩和や地球温暖化対策にも貢献し、大和リースの実績では騒音低減効果も確認されています。
心理的効果とストレス軽減
緑には人の心を癒す力があります。研究では、参加者の74%が室内植物に心理的健康効果があると報告しており、脳活動、心拍変動、皮膚伝導のテストでは緑の壁面を見ることでリラックス感が高まり、ストレスが軽減されることが示されています。オフィスや住宅の室内に壁面緑化を取り入れることで、作業効率の向上や生活の質の改善が期待できます。
建物保護と資産価値向上
壁面緑化は直射日光や雨風から建物を守り、外壁の劣化を遅らせる効果もあります。さらに緑化された建物は視覚的に魅力的で、不動産価値を高める要因にもなります。商業施設では集客力アップ、住宅では居住満足度の向上につながります。
壁面緑化の作り方:初心者向け実践ガイド
壁面緑化は専門業者に依頼する方法もありますが、DIYで始めることも十分可能です。ここでは初心者でも取り組みやすい方法を紹介します。

設置場所の選定と事前準備
まず壁面緑化を設置する場所を決めます。日当たり、風通し、水やりのしやすさを考慮しましょう。南向きや西向きの壁面は日照が強いため、耐暑性のある植物が適しています。北向きや東向きは日照が穏やかなので、半日陰を好む植物が向いています。
壁面の状態も重要です。古い壁や劣化している壁面には、直接植物を這わせる登はん型は避け、補助材を使用する方法を選びましょう。賃貸住宅の場合は、壁に穴を開けない自立式のトレリスや突っ張り式のラックを活用します。
簡単DIY壁面緑化の手順
必要な材料:
設置手順:
- 壁面にトレリスやワイヤーネットを固定します。壁面に直接ビスで固定する場合は、下地の柱や梁の位置を確認してしっかり固定しましょう。
- ハンギングプランターやポケット式プランターを取り付けます。重さを分散させるため、複数のフック位置でバランスよく配置します。
- プランターに培養土を入れ、選んだ植物を植え付けます。土づくりの基礎を理解しておくと、より健康な植物が育ちます。
- 植え付け後、たっぷりと水を与えます。最初の2週間は根が定着するまで、こまめに水やりをしましょう。
自動灌水システムを導入すると、日常のメンテナンスが大幅に楽になります。タイマー式の点滴灌水チューブを使えば、旅行中でも植物が枯れる心配がありません。
モジュール式システムの活用
より本格的な壁面緑化を目指すなら、市販のモジュール式システムを活用する方法もあります。専用のパネルやフェルト素材の植栽基盤を壁に取り付け、そこに植物を植え込むタイプです。初期費用はやや高くなりますが、見た目が美しく、メンテナンスもしやすいメリットがあります。
壁面緑化に適した植物の選び方
壁面緑化の成功は植物選びで決まります。環境条件に合った植物を選ぶことで、美しく健康な緑の壁を長く楽しめます。

初心者におすすめ:ヘデラ類
ヘデラ類は手入れが簡単で葉が密集しているため壁面緑化初心者に最適です。常緑性で一年中美しい緑を保ち、耐寒性・耐陰性にも優れています。品種も豊富で、斑入りの葉や小葉のタイプなど、デザイン性の高い品種を選べます。
おすすめのヘデラ品種:
- ヘデラ・ヘリックス(アイビー):最も一般的で育てやすい
- ヘデラ・カナリエンシス:大きめの葉で成長が早い
- 斑入りヘデラ:明るい印象で日陰でも映える
登はん型・下垂型に適した植物
ツル性植物:
- テイカカズラ:白い花が美しく、日本の気候に適応
- ハゴロモジャスミン:香り高い花が魅力
- クレマチス:華やかな花を楽しめる
- アサガオ・ユウガオ:一年草だが成長が早く夏の緑化に最適
下垂型植物:
- ポトス:室内の壁面緑化に最適
- アイビーゼラニウム:カラフルな花が楽しめる
- ワイヤープランツ:繊細な葉が美しい
リビングウォールに適した植物
パネル式の壁面緑化では、様々な植物を組み合わせることで立体的で色彩豊かなデザインが可能です。
| 植物タイプ | おすすめ植物 | 特徴 |
|---|---|---|
| 常緑多年草 | シダ類、スズラン、ギボウシ | 日陰に強く、葉の形が美しい |
| カラーリーフ | ヒューケラ、コリウス | 葉色が豊富でデザイン性が高い |
| グラス類 | カレックス、フェスツカ | 風に揺れる姿が美しい |
| 多肉植物 | セダム、セダム属 | 乾燥に強く手入れが簡単 |
| ハーブ類 | タイム、ローズマリー、ミント | 香りも楽しめ実用的 |
多肉植物やハーブを組み合わせると、実用性と観賞性を兼ね備えた壁面緑化が実現します。
環境条件に合わせた植物選び
日向の壁面:
- 耐暑性・耐乾性のある植物を選びます
- ノウゼンカズラ、ブーゲンビリア、ハイビスカス(温暖地)
半日陰の壁面:
- 適度な日照を好む植物が向いています
- ツルニチニチソウ、フッキソウ、アジサイ類
日陰の壁面:
- 耐陰性の高い植物を選びます
- ヘデラ、シダ類、ツワブキ、ヤブラン
乾燥しやすい場所:
- 多肉植物やセダム類、マツバギク
壁面緑化のメンテナンスと管理方法
壁面緑化を美しく保つには、適切なメンテナンスが欠かせません。

水やりの基本
壁面緑化の最も重要な管理作業が水やりです。特に夏場は土が乾燥しやすいため、朝夕2回の水やりが必要になることもあります。土の表面が乾いたら、プランターの底から水が流れ出るまでたっぷり与えます。
自動灌水システムの導入は、長期的に見て非常に有効です。点滴チューブやスプリンクラー式の灌水装置をタイマーと組み合わせれば、留守中でも安心です。
剪定と整枝
植物が伸びすぎたり乱れたりした場合は、定期的に剪定・整枝を行います。特にツル性植物は成長が早いため、月に1回程度、形を整える剪定が必要です。枯れた葉や病気の葉は見つけ次第取り除きましょう。
肥料の施用
壁面緑化の植物は限られた土壌で育つため、栄養補給が重要です。春から秋の成長期には、月に1〜2回、液体肥料を水やりの際に与えます。緩効性の固形肥料を土の表面に置く方法も効果的です。
病害虫対策
壁面は風通しが悪くなりがちで、病害虫が発生しやすい環境です。日頃から葉の裏や茎をチェックし、アブラムシやハダニ、うどんこ病などを早期発見・早期対処しましょう。有機系の殺虫剤や木酢液などを活用すると安全です。
冬越し対策
耐寒性の低い植物は、冬場の保護が必要です。霜が降りる地域では、不織布や寒冷紗で植物を覆ったり、鉢を室内に移動させたりします。常緑のヘデラやテイカカズラなど耐寒性のある植物なら、特別な冬越し対策は不要です。
壁面緑化を始める前に知っておきたい注意点
壁面緑化には多くのメリットがありますが、始める前に確認しておくべき重要な注意点もあります。
壁面への荷重と構造確認
特に壁面前植栽型(リビングウォール)は、土壌や植物、水を含めるとかなりの重量になります。壁面への荷重を確認し、場合によっては構造補強が必要です。古い建物や木造建築では、専門家に相談することをおすすめします。
壁面に直接固定せず、独立した支柱を立てる方法なら、建物への負担を軽減できます。
メンテナンスの手間と時間
植物は生き物です。水やり、剪定、肥料やり、病害虫チェックなど、定期的なメンテナンスが必要です。忙しくて手入れの時間が取れない場合は、手間のかからない植物を選ぶか、自動灌水システムを導入しましょう。
建物への影響
登はん型の壁面緑化は、植物の根や付着器官が外壁の隙間に入り込み、場合によっては壁面を傷める可能性があります。特に古い外壁やモルタル壁では注意が必要です。トレリスやネットを使った補助材型なら、壁面と植物の間に空間ができ、このリスクを軽減できます。
近隣への配慮
植物が隣家に伸びていかないよう、定期的な剪定が必要です。また、水やりの際に隣家に水が飛ばないよう注意しましょう。集合住宅では管理規約を確認し、必要に応じて許可を得ることも大切です。
成功事例から学ぶ壁面緑化のヒント
商業施設の壁面緑化
homifyで紹介されている事例では、様々なスタイルのバーティカルガーデンが紹介されています。ショッピングモールやオフィスビルのエントランスに設置された大規模な壁面緑化は、訪問者に強い印象を与え、ブランドイメージの向上に貢献しています。
家庭での小規模壁面緑化
ベランダの手すりにプランターを吊るす、玄関脇の壁にトレリスを設置してツル植物を這わせるなど、小規模でも効果的な壁面緑化が可能です。GardenStoryの事例では、一般家庭でも取り入れやすいアイデアが豊富に紹介されています。
室内の壁面緑化
観葉植物を活用した室内の壁面緑化も人気です。ポトス、シダ類、エアプランツなどを壁掛けプランターに植え、リビングや寝室の壁面をグリーンで彩ります。空気清浄効果と癒しの空間づくりが同時に実現します。
まとめ:壁面緑化で豊かな暮らしを実現しよう
壁面緑化・バーティカルガーデンは、限られた空間でも緑を楽しめる素晴らしい手法です。温度調節、空気浄化、ストレス軽減など、科学的に証明された効果があり、投資対効果も非常に高い緑化方法と言えます。
初心者でも、適した植物を選び、基本的なメンテナンスを行えば、美しい緑の壁を育てることができます。まずは小さなスペースから始めて、徐々に拡大していくのがおすすめです。ガーデニングの基礎知識や季節ごとの管理を学びながら、あなたの理想の壁面緑化を実現してください。
壁面緑化は単なる装飾ではなく、環境と暮らしを豊かにする投資です。さあ、今日から壁面緑化に挑戦して、緑に囲まれた快適な空間を手に入れましょう。





