庭世界庭世界
球根植物の育て方と楽しみ方完全ガイド

球根の掘り上げと正しい保存方法

2026年2月6日

球根の掘り上げと正しい保存方法

球根を健康に保ち、翌年も美しい花を咲かせるための掘り上げ方法と保存テクニックを徹底解説。チューリップ、ダリアなど種類別の保存方法、最適な保存環境、よくあるトラブルの対処法まで、初心者にもわかりやすく紹介します。

球根の掘り上げと正しい保存方法

春の訪れとともに美しい花を咲かせる球根植物。チューリップやダリア、ヒヤシンスなど、多くのガーデナーに愛されています。しかし、花が終わった後の球根の管理方法を知らないと、翌年も同じように美しい花を楽しむことができません。球根の掘り上げと保存は、ガーデニングにおいて重要な作業の一つです。この記事では、球根を健康に保ち、来シーズンも美しい花を咲かせるための正しい掘り上げ方法と保存テクニックを詳しく解説します。ガーデニング入門・基礎知識の完全ガイドを参考にしながら、適切な球根管理を学びましょう。

球根の掘り上げが必要な理由

球根植物の中には、毎年掘り上げずに地植えのまま楽しめる種類もありますが、多くの球根は定期的な掘り上げが推奨されます。その理由はいくつかあります。

まず、球根は土の中で年々深く沈んでいく傾向があります。深すぎる位置にあると、春の芽出しが遅れたり、花付きが悪くなったりします。また、日本の高温多湿な夏は、多くの球根植物にとって過酷な環境です。特にチューリップヒヤシンスなどの春咲き球根は、夏の間に腐りやすくなります。

さらに、球根を掘り上げることで、病気や害虫の被害を受けた球根を取り除くことができます。健康な球根だけを選別して保存すれば、翌年の開花率が大幅に向上します。球根は掘り上げて乾燥させることで休眠状態に入り、次のシーズンに向けてエネルギーを蓄えることができるのです。

定期的な掘り上げは、球根の健康診断とも言えるでしょう。腐敗やウイルス感染の兆候を早期に発見し、適切な処置を施すことで、長期的に美しい花壇を維持できます。また、掘り上げた際に増えた子球を分球することで、球根を増やすこともできます。

掘り上げの最適なタイミング

球根の掘り上げタイミングは、種類によって異なりますが、基本的な見極め方があります。最も重要なポイントは、地上部の葉が枯れ始める時期を観察することです。

専門家によると、掘り上げは地上部が3分の2ほど枯れた頃、緑色が残っている時期に行うのがコツです。完全に枯れるまで待つと、球根の位置が分からなくなったり、すでに腐敗が始まっていたりする可能性があります。葉がまだ少し緑色を残している状態であれば、球根は十分に栄養を蓄えており、なおかつ掘り上げ作業もしやすいのです。

春咲き球根の場合、5月末から6月頃が一般的な掘り上げ時期です。チューリップやヒヤシンス、スイセンなどは、この時期に地上部が黄変し始めます。一方、ダリアやグラジオラスなどの夏から秋に咲く球根植物は、霜が降りる前の11月頃に掘り上げるのが適切です。

天候も重要な要素です。晴天が続いた後の乾いた日に作業を行うと、球根に付着する土が少なく、作業がスムーズになります。雨上がりや湿った日は避けましょう。濡れた土は球根を傷つけやすく、また掘り上げ後の乾燥にも時間がかかります。季節の園芸カレンダーを活用して、最適な作業時期を計画しましょう。

球根の種類掘り上げ時期地上部の状態
チューリップ5月末〜6月葉が3分の2枯れた頃
ヒヤシンス5月末〜6月葉が黄変し始めた頃
スイセン6月〜7月葉が完全に枯れる前
ダリア11月(霜の前)霜で葉が黒くなった後
グラジオラス10月〜11月葉が半分以上枯れた頃

正しい掘り上げ方法とコツ

球根を傷つけずに掘り上げるには、適切な道具と慎重な作業が必要です。まず、ガーデニングツールとして、長い柄のついたガーデンフォーク(園芸用フォーク)を準備しましょう。スコップよりもフォークの方が、球根を傷つけにくく、周囲の土を緩めながら掘り上げることができます。

正しい掘り上げ方法とコツ - illustration for 球根の掘り上げと正しい保存方法
正しい掘り上げ方法とコツ - illustration for 球根の掘り上げと正しい保存方法

作業手順としては、まず球根の株から15〜20cm離れた位置にフォークを差し込みます。株の近くを掘ると球根を傷つける危険性が高いため、余裕をもって外側から掘り始めましょう。フォークを使って周囲の土を徐々に緩め、球根全体を持ち上げるように掘り出します。

実践的なアドバイスとして、晴れた日に球根を傷つけないよう掘り上げ、風通しの良い日陰で1週間程度乾燥させることが推奨されています。掘り上げた直後は、球根に土がたくさん付いていますが、無理に取り除く必要はありません。軽く手で払う程度にとどめ、水で洗うことは避けてください。水分は腐敗の原因となります。

球根を掘り上げる際は、茎や葉をいきなり引っ張らないことも重要です。茎だけを引っ張ると、球根本体が土の中に残ってしまう可能性があります。必ず球根本体をフォークで持ち上げてから、慎重に引き抜きましょう。

また、掘り上げた球根は、すぐに直射日光に当てないようにします。強い日差しは球根を傷める原因になります。風通しの良い日陰で陰干しを行い、徐々に乾燥させていくことが大切です。茎や葉が球根から自然に外れるまで、そのまま付けておくと、球根に残った栄養分を吸収できます。

掘り上げ後の処理と乾燥

掘り上げた球根は、適切な処理を施してから保存する必要があります。まず、球根に付いた土を優しく取り除きます。軍手をはめた手で軽くこすったり、乾いた布で拭いたりする程度で十分です。繰り返しになりますが、水洗いは絶対に避けてください。

次に、球根を日陰で乾燥させます。茎や葉をまとめて束ね、逆さにして吊るすか、新聞紙の上に重ならないように並べて陰干しします。この乾燥期間は最低でも1週間、理想的には2〜3週間ほど取ります。球根が十分に乾燥すると、外皮がカサカサになり、古い根や茎が簡単に取れるようになります。

乾燥が完了したら、球根の選別を行います。健康で充実した球根だけを保存し、以下のような球根は廃棄します:

  • 腐敗や傷みが見られる球根
  • 病斑や変色がある球根
  • 小さすぎて翌年の開花が期待できない球根
  • ウイルス感染の疑いがある球根(葉にまだら模様があった株)

消毒を行う場合は、専門的な方法として、水洗い後に消毒液に30分浸してから乾燥させる手順があります。市販の球根用殺菌剤を薄めた液に球根を30分ほど浸し、その後再び陰干しして完全に乾燥させます。この処理により、病原菌の感染リスクを大幅に減らすことができます。

乾燥後は、古い根や茎、外側の薄皮などを取り除きます。無理に剥がす必要はありませんが、簡単に取れる部分は除去しておくと、保存中のカビ発生を防げます。土づくりの知識と同様に、適切な準備が成功の鍵となります。

理想的な保存環境と容器

球根の保存において最も重要なのは、温度、湿度、通気性の3要素です。理想的な保管温度は10℃前後の冷暗所です。室温では高すぎて球根が萎びたり、逆に発芽してしまったりすることがあります。かといって、冷蔵庫の野菜室のように湿度が高い場所も適していません。

理想的な保存環境と容器 - illustration for 球根の掘り上げと正しい保存方法
理想的な保存環境と容器 - illustration for 球根の掘り上げと正しい保存方法

具体的な保存場所としては、北側の物置、床下収納、玄関の下駄箱の上段などが適しています。暖房のない部屋や廊下の隅も良いでしょう。避けるべき場所は、暖房が効いた室内、湿気の多い浴室近く、直射日光が当たる場所、温度変化の激しい場所などです。

保存容器の選択も重要です。ガーデニングの実践例によると、通気性のある容器が推奨されています。具体的には以下のような容器が適しています:

  • みかんネットや玉ねぎネット
  • 紙袋(クラフト紙の袋)
  • 段ボール箱(通気用の穴を開けたもの)
  • 木箱や竹かご
  • 古いストッキングや網目の粗い布袋

逆に避けるべき容器は、密閉されたプラスチック容器やビニール袋です。これらは通気性がなく、内部に湿気がこもって球根を腐らせる原因になります。どうしてもプラスチック容器を使う場合は、蓋を完全に閉めず、通気用の穴を多数開けるようにしましょう。

球根を容器に入れる際は、バーミキュライト、ピートモス、もみ殻、または新聞紙を細かく切ったものなどの充填材を使うと効果的です。球根同士が直接触れないように層状に並べ、間に充填材を入れます。これにより、一つの球根が腐っても他に伝染しにくくなります。

また、容器には球根の種類と掘り上げた日付を書いたラベルを付けておくと便利です。複数の種類を保存する場合、混同を避けるために必ず表示しましょう。ベランダガーデニングでも応用できる整理整頓のテクニックです。

保存期間中の管理と点検

球根を保存したら、それで終わりではありません。定期的な点検とメンテナンスが、健康な球根を維持する鍵となります。

月に一度は保存している球根をチェックしましょう。専門家の推奨によると、月に一度保管中の球根をチェックし、腐敗したものは取り除くことが重要です。点検時には以下の点を確認します:

  • 腐敗や異臭がないか
  • カビが生えていないか
  • 球根が極端に萎びていないか
  • 予定外の発芽が始まっていないか

もし腐敗した球根を発見したら、すぐに取り除きます。一つでも腐った球根があると、周囲の球根にも腐敗が広がる可能性があります。カビが生えている場合は、乾いた布で拭き取り、風通しの良い場所で再度乾燥させます。

球根が萎びてシワシワになっている場合は、保存場所が乾燥しすぎている可能性があります。その場合は、霧吹きで軽く湿らせた新聞紙を容器に入れるなど、わずかに湿度を上げる工夫が必要です。ただし、水分を与えすぎると逆効果なので、加減が重要です。

逆に、球根が柔らかくなっている、または予定より早く芽が出始めている場合は、保存場所が暖かすぎるか湿度が高すぎる可能性があります。より涼しく乾燥した場所に移動させましょう。

保存期間は球根の種類によって異なりますが、一般的に春咲き球根は6月から10月まで、秋植え球根は11月から翌春まで保存します。長期保存するほど、こまめな点検が重要になります。病害虫対策の知識も、球根管理に役立ちます。

球根別の保存方法の違い

球根植物にはさまざまな種類があり、それぞれに最適な保存方法が異なります。ここでは主な球根の保存ポイントを紹介します。

球根別の保存方法の違い - illustration for 球根の掘り上げと正しい保存方法
球根別の保存方法の違い - illustration for 球根の掘り上げと正しい保存方法

チューリップは、最も一般的な春咲き球根の一つです。6月頃に掘り上げ、よく乾燥させてから、ネット袋に入れて涼しい場所で保管します。植え付けは10〜11月が適期です。大球だけを残し、小さな子球は別に保管して、育成用として植えることもできます。

ダリアは塊根性の球根で、霜が降りる前の11月に掘り上げます。茎を地際から5〜10cm残して切り、土を落としてから乾燥させます。ダリアの球根は乾燥に弱いため、バーミキュライトやもみ殻に埋めて保存すると良いでしょう。凍結厳禁で、5〜10℃程度の場所が理想的です。

グラジオラスは球茎性の球根で、10〜11月に掘り上げます。よく乾燥させた後、古い球茎と新しい球茎を分離します。新しい球茎だけを保存し、古い球茎は廃棄します。通気性の良い袋に入れて、涼しい場所で保管しましょう。

ユリは基本的に掘り上げずに地植えのまま越冬させることが多いですが、品種によっては掘り上げて保存することもあります。掘り上げる場合は、球根が乾燥しすぎないよう、湿らせたバーミキュライトやピートモスに埋めて保存します。

アネモネラナンキュラスなどの小球根は、非常にデリケートです。完全に乾燥させてから、紙袋に入れて保存します。これらは湿気に弱いため、乾燥剤を一緒に入れておくと良いでしょう。

球根の種類保存温度乾燥度適した容器保存期間
チューリップ10〜15℃よく乾燥ネット袋6月〜10月
ダリア5〜10℃やや湿潤もみ殻入り箱11月〜4月
グラジオラス10〜15℃よく乾燥紙袋10月〜4月
ユリ5〜10℃やや湿潤ピートモス入り適宜
アネモネ10〜15℃完全乾燥紙袋+乾燥剤6月〜10月

一年草・季節の花の育て方と合わせて、多様な植物の管理方法を学ぶことで、より豊かなガーデニングライフが送れます。

よくあるトラブルと対処法

球根の保存中には、さまざまなトラブルが発生することがあります。ここでは代表的な問題とその対処法を紹介します。

トラブル1:球根が腐る

最も多いトラブルです。原因は主に湿度が高すぎること、乾燥が不十分だったこと、傷ついた球根を保存したことなどです。対処法としては、腐った球根をすぐに取り除き、残りの球根をより乾燥した環境に移します。次回からは掘り上げ後の乾燥期間を十分に取り、健康な球根だけを選別しましょう。

トラブル2:球根がシワシワになる

過度な乾燥が原因です。特にダリアやユリなど、ある程度の湿度を必要とする球根で起こりやすいです。対処法は、湿らせたバーミキュライトやピートモスに球根を埋めるか、保存場所の湿度をわずかに上げることです。ただし、水分を与えすぎると腐敗の原因になるため、注意が必要です。

トラブル3:カビが生える

通気性が悪い、または湿度が高すぎる環境で発生します。発見したら、カビを乾いた布で拭き取り、球根を再度乾燥させます。保存容器を通気性の良いものに変え、充填材も新しいものに交換しましょう。ひどい場合は、殺菌剤で処理することも検討します。

トラブル4:予定外の発芽

保存温度が高すぎるか、湿度が高すぎる場合に起こります。一度発芽した球根を再び休眠させることは困難なので、鉢植えにして育てるか、時期外れでも植え付けてしまうしかありません。予防策として、保存場所の温度管理を徹底しましょう。

トラブル5:ネズミや虫の被害

球根は栄養豊富なため、ネズミや虫の餌になることがあります。保存場所に防虫剤や忌避剤を設置する、金網やしっかりした容器に入れるなどの対策が有効です。特に屋外の物置などで保存する場合は注意が必要です。

これらのトラブルを未然に防ぐには、適切な環境での保存と定期的な点検が何より重要です。剪定・整枝の技術と同様に、日々の観察と適切な管理が美しい庭を作る基本です。

まとめ:球根管理で毎年美しい花を

球根の掘り上げと保存は、一見面倒に思えるかもしれませんが、適切に行えば毎年美しい花を楽しむことができます。掘り上げのタイミングは地上部が3分の2枯れた頃、晴れた日に行い、十分に乾燥させてから涼しく風通しの良い場所で保管することが基本です。

ビニール袋での保管は避け、ネットや紙袋など通気性の良い容器を使用しましょう。月に一度は保管中の球根をチェックし、腐敗したものは早めに取り除くことで、健康な球根を維持できます。球根の種類によって最適な保存方法は異なるため、それぞれの特性を理解することも大切です。

正しい知識と丁寧な作業で球根を管理すれば、何年にもわたって同じ球根から美しい花を咲かせることができます。時には子球が増えて、より豊かな花壇を作ることもできるでしょう。ガーデニングの基礎を学び、球根管理をマスターして、四季折々の美しい庭づくりを楽しんでください。

関連記事