堆肥の作り方完全ガイド:家庭でできる方法
2026年2月6日

家庭で簡単にできる堆肥の作り方を徹底解説。コンポスト容器、段ボール、落ち葉を使った3つの方法、失敗しないポイント、完熟堆肥の見分け方まで、初心者にもわかりやすく紹介します。環境にやさしいガーデニングを始めましょう。
堆肥の作り方完全ガイド:家庭でできる方法
堆肥は、家庭菜園やガーデニングで最も重要な土壌改良資材の一つです。生ごみや落ち葉などの有機物を微生物の力で分解・発酵させることで、栄養豊富な堆肥を作ることができます。本記事では、家庭で簡単にできる堆肥の作り方から、成功させるためのポイントまで、初心者にもわかりやすく解説します。
家庭でのコンポスト化により、年間で家庭の有機廃棄物を最大30%削減できることが研究で示されています。環境に優しいだけでなく、質の高い土づくりにもつながる堆肥作りを、今日から始めてみましょう。
堆肥とは?基本を理解する
堆肥は、家畜のふんや落ち葉、木の皮、生ごみなどの有機物を、微生物の力で分解・発酵させて作る土壌改良資材です。堆肥を土に混ぜることで、土の保水性と通気性が向上し、植物の根の成長を助けます。また、家庭菜園での野菜栽培や、ガーデニングの土壌改良に欠かせない資材として広く活用されています。

堆肥には大きく分けて「植物性堆肥」と「動物性堆肥」の2種類があります。植物性堆肥は落ち葉や枯れ草、野菜くずなどを原料とし、微生物を増やす環境を作る土壌改良効果が高いのが特徴です。一方、動物性堆肥は牛ふんや鶏ふんなどを使用し、肥料効果が早く表れますが、使用量やタイミングを誤ると植物の根を傷める可能性があるため注意が必要です。
2024年の米国の調査では、コミュニティコンポストによって約35,000トンの食品廃棄物が埋め立てから転用され、環境負荷の軽減に大きく貢献しています(参考:Composting in America - Environment America)。家庭での堆肥作りも、こうした環境保護活動の一環として注目されています。詳しくはEPA Composting Guideをご覧ください。
堆肥の種類と選び方
初心者が堆肥作りを始める際には、植物性堆肥から挑戦するのがおすすめです。植物性堆肥は発酵過程で極端な高温に達しにくく、作り方も比較的シンプルで失敗しにくいためです(参考:AGRI PICK - 堆肥の種類と使い方)。身近に手に入りやすい素材を使うため、導入コストも低く抑えられます。
| 堆肥の種類 | 主な原料 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 植物性堆肥 | 落ち葉、枯れ草、野菜くず | 作りやすい、土壌改良効果が高い | 肥料効果は緩やか |
| 牛ふん堆肥 | 牛のふん | 窒素・リン・カリが豊富 | 必ず完熟品を選ぶ |
| 鶏ふん堆肥 | 鶏のふん | 肥料効果が高い | 使用量に注意 |
| 馬ふん堆肥 | 馬のふん | 通気性向上、バラ栽培に最適 | やや高価 |
| 生ごみ堆肥 | 野菜くず、果物の皮 | ごみ削減につながる | 臭い対策が必要 |
動物性堆肥を購入する場合は、「熟成」「完熟」「発酵」といった表記があるものを選びましょう。未熟な堆肥は分解が進んでおらず、土に混ぜると発酵が続いてガスが発生し、植物の根を傷める原因になります。
家庭でできる堆肥の作り方
家庭で堆肥を作る方法は、大きく分けて「コンポスト容器を使う方法」「段ボールを使う方法」「落ち葉堆肥を作る方法」の3つがあります。それぞれの方法の特徴と手順を詳しく見ていきましょう。

コンポスト容器を使った堆肥作り
コンポスト容器は、生ごみを効率的に堆肥化するための専用容器です。密閉式コンポストは空気を遮断するため発酵期間が短く、虫が発生しにくいうえにかき混ぜる必要がないのが特徴です。コンポスト自体の価格もお手頃なので、気軽に始めたい人にもぴったりです。
必要な材料:
作り方の手順:
- コンポスト容器の底に土または完熟堆肥を5cm程度敷く
- 生ごみを細かく刻んでコンポスト容器に入れる
- 生ごみの上に発酵促進剤を振りかける
- 土または完熟堆肥で生ごみを覆う
- 2〜4の作業を繰り返し、容器がいっぱいになるまで続ける
- 容器がいっぱいになったら、1〜2ヶ月間熟成させる
堆肥の理想的な湿度は50〜60%、温度は40〜60℃です。この範囲を維持すると発酵が順調に進み、雑菌や害虫の繁殖を防げます。また、炭素と窒素の理想比率は30:1とされており、このバランスを意識すると悪臭のない良質な堆肥が作れます。
段ボールコンポストで手軽に堆肥作り
段ボールコンポストは、特別な容器を購入せずに、家にある段ボール箱を使って堆肥を作る方法です。キッチンでも場所を取らず、賃貸住宅やアパートでも気軽に始められるのが魅力です。生ごみ堆肥の詳しい作り方はBOROの輝き - 生ごみ堆肥の作り方で紹介されています。
必要な材料:
作り方の手順:
- 段ボール箱の底にガムテープを貼り、補強する
- 基材を段ボール箱の半分程度まで入れる
- 生ごみを細かく刻んで基材に混ぜ込む
- 混ぜ込んだ後、表面を平らにならす
- 虫よけカバーをかけて、風通しの良い場所に置く
- 毎日生ごみを入れ、よくかき混ぜる
- 3〜6ヶ月で完熟堆肥が完成
段ボールコンポストは、底が湿って弱くなってきたら新しい段ボールに交換しましょう。また、臭いが気になる場合は、生ごみの量を減らすか、基材を追加することで改善できます。
落ち葉堆肥の作り方
落ち葉堆肥は、秋に大量に発生する落ち葉を利用して作る、昔ながらの堆肥作りの方法です。落ち葉は無料で手に入り、完成した堆肥は土壌改良に優れた効果を発揮します。
必要な材料:
- 落ち葉(広葉樹の葉が最適)
- 米ぬかまたは油かす
- 水
- コンポスト容器または堆肥枠
作り方の手順:
- 落ち葉を集めて、大きな葉は細かく刻む
- コンポスト容器に落ち葉を20cm程度入れる
- 米ぬかまたは油かすを振りかける
- 水をかけて湿らせる(手で握って水が滴らない程度)
- 2〜4の作業を繰り返し、層状に積み上げる
- 1〜2週間に1回、全体をかき混ぜる
- 6〜12ヶ月で完熟堆肥が完成
落ち葉堆肥を作る際は、針葉樹の葉は分解に時間がかかるため、広葉樹の葉を使うのがおすすめです。また、造園作業で出た剪定枝などを細かく砕いて混ぜると、通気性が向上し発酵が促進されます。
堆肥作りを成功させるポイント
堆肥作りを成功させるには、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。初心者が陥りやすい失敗を避け、質の高い堆肥を作るためのコツを詳しく解説します。

水分管理が成功の鍵
堆肥作りで最も重要なのが、適切な水分管理です。水分が多すぎると嫌気性発酵が進み、悪臭の原因になります。逆に水分が少なすぎると、微生物の活動が停滞し、分解が進みません。
理想的な水分量は、堆肥を手で握ったときに、指の間から水が滴らず、手を開いたときに形が崩れない程度です。この状態を「握って団子、離してほろり」と表現することもあります。水分が多い場合は、乾いた落ち葉や新聞紙を細かくちぎって混ぜると調整できます。
炭素と窒素のバランス
堆肥の発酵には、炭素(C)と窒素(N)のバランスが重要です。理想的な炭素と窒素の比率(C/N比)は30:1とされています。炭素が多すぎると分解が遅くなり、窒素が多すぎると悪臭が発生しやすくなります。
炭素が多い材料(茶色い材料):
- 落ち葉、枯れ草、木くず、新聞紙、段ボール
窒素が多い材料(緑色の材料):
- 生ごみ、刈り草、コーヒーかす、茶殻
これらをバランスよく混ぜることで、効率的に堆肥を作ることができます。一般的には、茶色い材料と緑色の材料を3:1の割合で混ぜるとよいでしょう。
定期的な撹拌と酸素供給
堆肥の発酵には、好気性微生物(酸素を必要とする微生物)の活動が不可欠です。定期的に堆肥をかき混ぜることで、酸素を供給し、発酵を促進することができます。
コンポスト容器を使う場合は、週に1〜2回程度、全体をよくかき混ぜましょう。段ボールコンポストの場合は、生ごみを入れるたびにかき混ぜるのが理想的です。混ぜる際は、底の方の材料を上に持ち上げるようにすると、全体に酸素が行き渡ります。
投入してはいけない材料
堆肥作りでは、投入してはいけない材料があります。これらを誤って入れてしまうと、悪臭や害虫の発生、有害物質の混入などのトラブルにつながります。
投入NGの材料:
- 肉類、魚類、骨(悪臭や害虫の原因)
- 乳製品、油脂類(腐敗しやすく悪臭の原因)
- 塩分が多いもの(微生物の活動を阻害)
- 農薬や化学薬品がかかった植物
- ペットのふん(病原菌の可能性)
- プラスチック、金属、ガラス
これらの材料を避けることで、安全で質の高い堆肥を作ることができます。
完熟堆肥の見分け方と使い方
堆肥が完成したかどうかを見分けるのは、初心者にとって難しいポイントの一つです。未熟な堆肥を使うと、植物の成長を阻害する可能性があるため、完熟を確認してから使用することが重要です。

完熟堆肥の特徴
完熟堆肥には、以下のような特徴があります。これらの特徴が揃っていれば、安心して使用できます。
完熟堆肥のチェックポイント:
- 色が黒褐色で、元の材料の形がほとんど残っていない
- 土のような柔らかい匂いがする(悪臭がしない)
- 手で触ると、サラサラとした質感がある
- 温度が下がって、常温になっている
- 白い糸状のカビ(放線菌)が見られる
もし、まだ元の材料の形が残っていたり、酸っぱい臭いや腐敗臭がする場合は、まだ未熟な状態です。その場合は、もう1〜2ヶ月熟成期間を延ばしましょう。
堆肥の使い方と施用量
完熟堆肥は、家庭菜園や花壇、鉢植えなど、さまざまな場面で活用できます。ただし、使用量には注意が必要です。
施用量の目安(1㎡あたり):
- 家庭菜園の土づくり:2〜3kg
- 花壇の土壌改良:2〜5kg
- 鉢植えの用土配合:全体の20〜30%
- 芝生の目土:1〜2kg
堆肥を土に混ぜる際は、植え付けの2週間前までに行うのが理想的です。果樹の場合は、根元に穴を掘って堆肥を埋め込む「穴肥」という方法も効果的です。
また、堆肥だけでは肥料成分が不足することがあるため、必要に応じて化成肥料を併用すると、より健全な植物の成長を促すことができます。
よくあるトラブルと対処法
堆肥作りを進めていくと、さまざまなトラブルに遭遇することがあります。ここでは、よくあるトラブルとその対処法を紹介します。

悪臭が発生する
堆肥から悪臭が発生する主な原因は、水分過多や酸素不足です。嫌気性発酵が進むと、アンモニア臭や腐敗臭が発生します。
対処法:
- 乾いた落ち葉や新聞紙を混ぜて水分を調整
- よくかき混ぜて酸素を供給
- 肉や魚など、腐敗しやすい材料を入れていないか確認
- 発酵促進剤を追加して、好気性発酵を促す
温度が上がらない
堆肥の温度が上がらないのは、材料の量が少ない、水分が不足している、窒素が不足しているなどの原因が考えられます。
対処法:
- 材料を追加して、堆肥の量を増やす(最低でも50L以上必要)
- 水分を加えて、適切な湿度を保つ
- 窒素が多い材料(刈り草、コーヒーかすなど)を追加
- 米ぬかや油かすを混ぜて、微生物の活動を活性化
虫が発生する
堆肥には、コバエやアリなどの虫が発生することがあります。特に生ごみ堆肥では、虫の発生が問題になりやすいです。
対処法:
- 生ごみを入れたら、必ず土や基材で覆う
- 密閉式コンポストを使用する
- 肉や魚など、虫が集まりやすい材料を入れない
- 虫が発生したら、石灰を薄く振りかける
カビが生える
堆肥に白いカビや緑色のカビが生えることがありますが、これは必ずしも悪いことではありません。白い糸状のカビは放線菌で、有機物の分解を助ける有益な微生物です。
対処法:
- 白い糸状のカビ(放線菌)は問題なし、そのまま発酵を続ける
- 緑色や黒色のカビが大量発生した場合は、水分過多の可能性
- 乾いた材料を混ぜて水分を調整し、よくかき混ぜる
環境にやさしい堆肥作りの未来
堆肥作りは、単に良質な土壌改良資材を得るだけでなく、環境保護にも大きく貢献します。2030年までに米国では堆肥化により年間3,000万トンの炭素排出削減と、160億ドルの廃棄物管理コスト節約が可能になると予測されています。
家庭での堆肥作りは、ごみの削減、温室効果ガスの排出抑制、土壌の健全化など、多くのメリットをもたらします。ガーデニングツールを揃えるのと同じように、堆肥作りの道具を準備して、持続可能なガーデニングを実践しましょう。
また、地域のコミュニティガーデンやシェア畑などでは、大規模な堆肥作りに取り組んでいる場所もあります。こうした取り組みに参加することで、より多くの有機廃棄物をリサイクルし、地域全体の環境改善に貢献することができます。
堆肥作りは、初めは難しく感じるかもしれませんが、基本のポイントを押さえれば、誰でも成功させることができます。季節のガーデニングカレンダーに合わせて堆肥作りを計画し、年間を通じて質の高い堆肥を生産しましょう。自分で作った堆肥で育てた野菜や花は、格別の喜びをもたらしてくれるはずです。





