イングリッシュガーデンの作り方と植栽のコツ
2026年2月6日

イングリッシュガーデンの作り方を初心者向けに徹底解説。ボーダーガーデンの植栽テクニック、宿根草と一年草の組み合わせ、色彩計画、狭い庭でも実現できる工夫まで、実践的なコツを詳しく紹介します。自然素材を生かした美しい庭づくりを今日から始めましょう。
イングリッシュガーデンの作り方と植栽のコツ
イングリッシュガーデンは、自然の美しさを最大限に引き出す庭園様式として世界中で愛されています。18~19世紀にイギリスで確立されたこのガーデニングスタイルは、人工的な形式美ではなく、植物本来の姿を生かした自然で温かみのある空間を作り出します。本記事では、初心者でも実践できるイングリッシュガーデンの作り方から、植栽の具体的なコツまで、詳しく解説していきます。
ガーデニングの基礎から学びたい方は、ガーデニング入門・基礎知識の完全ガイドもあわせてご覧ください。
イングリッシュガーデンとは?その魅力と特徴
イングリッシュガーデンは、ガーデニングの本場イギリスで生まれた庭園様式です。最大の特徴は「自然本来の美しさをそのまま生かす」という哲学にあります。フランス式庭園のような幾何学的な配置ではなく、植物が自由に育つ姿を尊重し、計算された無造作感を演出します。

この庭園スタイルには、「ボーダーガーデン」「ローズガーデン」「ハーブガーデン」「オーチャードガーデン」「シェードガーデン」「ホワイトガーデン」「カラーガーデン」など、さまざまなテーマがあります。それぞれのテーマは庭の環境や目的に応じて選択できるため、どんな広さの庭でも実践可能です。
興味深いことに、イギリスの統計によれば、87%の世帯が庭を持っており、42%の人々がガーデニングを趣味として週平均2時間を費やしています。さらに、魅力的な庭は住宅価値を最大20%向上させるという調査結果もあり、イングリッシュガーデンの実用的な価値も証明されています。
全体的なガーデンデザインについては、造園・ガーデンデザインの基本と実践ガイドで詳しく解説しています。
イングリッシュガーデンの基本設計:テーマの選び方
イングリッシュガーデンを作る第一歩は、庭のテーマを決めることです。庭の広さ、日照条件、管理にかけられる時間などを考慮して、最適なスタイルを選びましょう。

主要なガーデンテーマ一覧
| テーマ | 特徴 | 適した条件 | 主な植物 |
|---|---|---|---|
| ボーダーガーデン | 高さの異なる植物を層状に配置し立体感を演出 | 日当たりの良い場所 | 宿根草、1年草、低木 |
| ローズガーデン | バラを主役にした華やかな庭 | 日照6時間以上 | つるバラ、木立バラ、イングリッシュローズ |
| ハーブガーデン | 香りと実用性を兼ね備えた庭 | 日当たりと水はけの良い場所 | ラベンダー、ローズマリー、タイム |
| シェードガーデン | 日陰を生かした落ち着いた空間 | 半日陰~日陰 | ホスタ、シダ類、アジサイ |
| ホワイトガーデン | 白い花で統一した上品な庭 | 日当たりの良い場所 | 白バラ、白いアジサイ、シルバーリーフ |
初心者には、管理のしやすい「ボーダーガーデン」または「ハーブガーデン」がおすすめです。特にハーブは丈夫で成長も早く、料理にも使えるため実用的です。ハーブに特化したい方は、ハーブガーデンの作り方と活用の完全ガイドをご参照ください。
バラを中心に据えたい場合は、バラの育て方完全ガイドで詳しい栽培方法を確認できます。
ボーダーガーデンの作り方:立体的な植栽テクニック
ボーダーガーデンは、イングリッシュガーデンの中でも最も代表的なスタイルです。高さの違う植物を手前から奥にかけて立体的に配置することで、奥行きと立体感を演出します。
植物の配置ルール
前景(手前):高さ20~40cm
- クリーピングタイム
- アリッサム
- ビオラ
- ローダンセマム
中景(中央):高さ40~80cm
- ラベンダー
- サルビア
- エキナセア
- ゲラニウム(フウロソウ)
後景(奥):高さ80cm以上
- デルフィニウム
- フォックスグローブ(ジギタリス)
- ホリホック
- 低木類(バイブルナム、スピレアなど)
この配置方法により、どの角度から見ても植物が重なり合わず、すべての花が見える美しい景観が生まれます。園芸研究によれば、層状の植栽は視覚的な満足度を高めるだけでなく、心理的な癒し効果も高めることが示されています。
一年草を活用したい方は、一年草・季節の花の育て方完全ガイドも参考になります。
植物選びの基本:宿根草と一年草の組み合わせ
イングリッシュガーデンの魅力を持続させるには、植物選びが重要です。基本となるのは、毎年花を咲かせる「宿根草(多年草)」を骨格とし、季節ごとに変化を楽しめる「一年草」を組み合わせる方法です。

おすすめの宿根草
- ラベンダー:香り高く、耐寒性・耐暑性に優れる。初心者でも育てやすい。
- エキナセア:夏から秋にかけて長期間開花。丈夫で手間がかからない。
- ギボウシ(ホスタ):日陰でも育つ貴重な宿根草。葉の美しさも魅力。
- ピオニー(シャクヤク):豪華な花が初夏を彩る。一度植えれば長年楽しめる。
- ゲラニウム:グランドカバーとしても優秀。花期が長い。
一年草でアクセントを
- 春:ビオラ、パンジー、ワスレナグサ
- 夏:ペチュニア、マリーゴールド、サルビア
- 秋:コスモス、ジニア、千日紅
デザイン専門家によれば、理想的なバランスは「30%をハードスケープ(通路、レンガなど)、70%を植栽」にすることとされています。この比率により、豊かさと歩きやすさが両立します。
色彩計画:統一感のある配色テクニック
イングリッシュガーデンでは、色選びが全体の印象を大きく左右します。初心者は色を3色程度に絞り、シンプルにまとめるのがコツです。

配色パターン
1. 寒色系グラデーション
- 紫~青~白の組み合わせ
- 落ち着いた上品な雰囲気
- おすすめ植物:ラベンダー、デルフィニウム、白バラ、アリッサム
2. 暖色系グラデーション
- ピンク~オレンジ~黄色の組み合わせ
- 明るく元気な印象
- おすすめ植物:バラ、エキナセア、マリーゴールド、ルドベキア
3. モノクロームガーデン
- 単色で統一(特にホワイトガーデンが人気)
- 洗練されたモダンな印象
- おすすめ植物:白バラ、シルバーリーフ、白アジサイ、白ペチュニア
色は暖色系または寒色系のグラデーションにすると統一感が出ます。専門家のアドバイスでは、「計算された無造作感」を演出するために、同じ植物を3~5株ずつ点在させるリピーティング手法が推奨されています。
自然素材の活用:小物とエレメントの選び方
イングリッシュガーデンでは、植物だけでなく庭に配置する小物や構造物も重要な役割を果たします。基本原則は「自然素材を使う」ことです。
推奨される素材
避けるべき素材は、プラスチック製の人工物や派手な色の装飾品です。イギリスのガーデンデザインでは、使い込まれた風合いのある素材が好まれ、新品よりもややくすんだ色味のアイテムが選ばれる傾向があります。
庭の構造物については、庭木・シンボルツリーの選び方と育て方ガイドも参考になります。
狭いスペースでのイングリッシュガーデン
日本の住宅事情では、広い庭を持つことは難しい場合が多いですが、イングリッシュガーデンは小さなスペースでも実現可能です。
狭い庭での工夫
- プランターの活用
- 大型のテラコッタプランターに複数の植物を寄せ植え
- 高さの異なる鉢を階段状に配置して立体感を演出
- 垂直空間の利用
- トレリスやオベリスクでつるバラやクレマチスを誘引
- 壁面を緑化して奥行き感を創出
- 鏡や反射素材の使用
- ガーデンミラーを設置して空間を広く見せる
- ガラス素材の装飾品で光を取り入れる
ベランダなどの小スペースでガーデニングを楽しみたい方は、ベランダ・小スペースガーデニングの完全ガイドをご覧ください。
土づくりと植え付けの実践
美しいイングリッシュガーデンを維持するには、健全な土壌が不可欠です。植物が豊かに育つ環境を整えましょう。
理想的な土壌条件
- pH値:6.0~7.0(弱酸性~中性)
- 排水性:水はけが良いこと
- 保水性:適度な水分保持能力
- 有機質:腐葉土や堆肥を十分に混ぜ込む
植え付け手順
- 植え穴を掘る:根鉢の1.5~2倍の大きさ
- 堆肥を混ぜる:掘り上げた土に腐葉土を30%程度混合
- 植え付け:根を広げて植え、土をしっかり押さえる
- 水やり:たっぷりと水を与える
- マルチング:根元にバークチップやココヤシチップを敷く
土づくりの詳細については、土づくり・堆肥・肥料の基礎知識と実践ガイドで体系的に学べます。
管理とメンテナンス:季節ごとのケア
イングリッシュガーデンは「放任主義」のイメージがありますが、実際には適切な管理が必要です。
春(3~5月)
- 宿根草の株分けと植え替え
- 一年草の種まきや苗の植え付け
- 肥料の施用(緩効性肥料)
- 雑草の除去
夏(6~8月)
- 定期的な水やり(早朝または夕方)
- 花がら摘み
- 病害虫チェック
- 高温対策(マルチング、遮光)
秋(9~11月)
- 秋植え球根の植え付け
- 夏の疲れた株の剪定
- 落ち葉の清掃と堆肥化
- 冬越しの準備
冬(12~2月)
- 落葉樹の剪定
- バラの冬剪定と誘引
- 寒さ対策(マルチングの追加)
- 翌年の計画立案
季節の園芸カレンダーでは、月別の詳細な作業内容を確認できます。
病害虫対策については、病害虫対策と防除の完全ガイドで詳しく解説しています。また、剪定技術は剪定・整枝の技術完全ガイドをご参照ください。
まとめ:あなただけのイングリッシュガーデンを
イングリッシュガーデンの作り方と植栽のコツについて、基本から実践まで解説してきました。重要なポイントをおさらいしましょう。
- 自然の美しさを生かす:人工的すぎない、植物本来の姿を尊重する
- 立体的な配置:高さの異なる植物を層状に配置して奥行きを演出
- 宿根草を基本に:毎年花を咲かせる植物を骨格とし、一年草で変化を楽しむ
- 色は3色程度に:初心者は色を絞って統一感を出す
- 自然素材を使う:テラコッタ、木、石、レンガなど温かみのある素材選び
- 小スペースでもOK:プランターや垂直空間を活用すれば狭い庭でも実現可能
イングリッシュガーデンは完成形を目指すものではなく、育てながら変化を楽しむプロセス自体が魅力です。最初は小さなエリアから始めて、徐々に拡大していくのもおすすめです。
ガーデニングは心身の健康にも良い影響を与えることが科学的に証明されており、庭で過ごす時間がストレス軽減や幸福感の向上につながります。
あなただけの素敵なイングリッシュガーデンを、今日から始めてみませんか?





