庭木の病害虫と季節ごとの対策
2026年2月6日

庭木の病害虫対策を季節ごとに詳しく解説。アブラムシ、ハダニ、カイガラムシなど主要害虫の特徴と駆除方法、うどんこ病などの病気対策、効果的な薬剤の選び方、環境改善による予防法まで、健康な庭木を保つための実践的な情報を網羅した完全ガイドです。
庭木の病害虫と季節ごとの対策
美しい庭木を保つためには、病害虫対策が欠かせません。しかし、害虫や病気の種類は多く、それぞれ発生時期や対策方法が異なります。本記事では、庭木によく見られる病害虫の種類と、季節ごとの効果的な対策方法を詳しく解説します。適切な知識を持って対処することで、大切な庭木を健康に保ち、美しい庭づくりを実現できます。
庭木に発生する主な害虫の種類と特徴
庭木にはさまざまな害虫が発生します。それぞれの害虫には特有の被害パターンと発生時期があり、早期発見と適切な対処が重要です。

アブラムシ
アブラムシは体長2~4mm程度の小さな害虫で、新芽や若葉に群がって樹液を吸います。被害を受けた葉は縮れたり変色したりし、排泄物(甘露)によってすす病を誘発することもあります。春から秋にかけて発生し、特に4月~6月と9月~10月に大量発生しやすい傾向があります。
ハダニ
ハダニは0.5mm程度の非常に小さなダニの仲間で、葉の裏側に寄生して樹液を吸います。被害を受けた葉は白い斑点が現れ、やがて全体が黄褐色に変色して落葉します。高温乾燥を好み、5月~9月に多く発生します。特に梅雨明け後の猛暑日に爆発的に増えることがあります。
カイガラムシ
カイガラムシは枝や葉に固着して樹液を吸う害虫で、成虫になると硬い殻に覆われ薬剤が効きにくくなります。被害が進むと樹勢が著しく衰え、枝枯れを起こすこともあります。4月~5月と9月~10月の年2回発生し、特に風通しの悪い場所で多く見られます。
チャドクガ
チャドクガの幼虫は4月~6月と8月~10月に発生し、ツバキやサザンカなどの葉を食害します。最も注意が必要なのは、幼虫の毛に触れると激しいかゆみを伴う皮膚炎を起こすことです。集団で葉を食べるため、放置すると葉が丸坊主になることもあります。
その他の主要害虫
ケムシ類、ナメクジ、コガネムシ、カミキリムシの幼虫(テッポウムシ)なども庭木に被害を与えます。特にテッポウムシは幹の内部を食い荒らすため、発見が遅れると樹木が枯死することもある深刻な害虫です。
庭木によく見られる病気の種類
病害虫対策では、害虫だけでなく病気への対処も重要です。主な病気とその症状を理解しておきましょう。
うどんこ病
葉の表面に白い粉をまぶしたような症状が現れる病気で、カビの一種が原因です。被害が進むと葉が萎縮し、光合成が阻害されて樹勢が衰えます。春と秋の気温が15~25度で湿度が高い時期に発生しやすく、風通しの悪い環境で蔓延しやすい傾向があります。
すす病
アブラムシやカイガラムシの排泄物(甘露)を栄養源とするカビが繁殖して、葉や枝が黒く汚れる病気です。すす病自体は直接的な害は少ないですが、光合成が妨げられ樹勢が低下します。害虫を駆除することで予防できます。
炭疽病
葉に褐色や黒褐色の斑点ができ、やがて葉全体が枯れて落葉する病気です。高温多湿の環境で発生しやすく、特に梅雨時期から夏にかけて蔓延しやすい傾向があります。被害を受けた葉は速やかに除去して焼却処分することが重要です。
根腐れ病
過度の水やりや排水不良により、根が腐敗する病気です。地上部の症状としては葉の黄化、落葉、樹勢の著しい衰えなどが見られます。一度発症すると治療が困難なため、水はけの良い土壌環境を整えることが予防の鍵となります。
季節別の病害虫対策スケジュール
効果的な病害虫対策には、季節に応じた適切なタイミングでの対処が重要です。年間を通じた対策スケジュールを把握しましょう。

冬季(1月~2月)の対策
冬は庭木が休眠している時期で、予防的な消毒に最適な季節です。この時期の消毒は樹木への負担が少なく、冬芽に薬剤がかかることで春に活動を始める病害虫の影響を効果的に抑えられます。
主な作業内容:
- 石灰硫黄合剤やマシン油乳剤による予防散布
- 枯れ枝や病害虫の越冬場所となる枯葉の除去
- 幹に巻かれた藁やテープに潜む害虫の駆除
冬季の消毒は害虫の卵や越冬中の成虫を駆除する重要な作業です。特にカイガラムシの越冬卵には効果的で、春の発生を大幅に抑えられます。
春季(3月~5月)の対策
気温が上昇し害虫の活動が本格化する前の対策が重要です。この時期の消毒の主な目的は殺虫で、早期発見・早期駆除を心がけます。
主な作業内容:
- 発芽前の薬剤散布(ボルドー液、殺虫殺菌剤)
- 新芽や若葉のアブラムシチェック
- 剪定による風通しと日当たりの改善
- チャドクガの卵塊の除去(3月~4月)
この時期は害虫の発生初期段階なので、少数であれば手で取り除いたり、水で洗い流したりする物理的な駆除も効果的です。定期的な観察を習慣化しましょう。
梅雨・夏季(6月~8月)の対策
5月~7月は害虫発生の第一ピークで、高温多湿の環境は病気の発生にも適しています。この時期は最も注意深い管理が必要です。
主な作業内容:
この時期は害虫が最も活発になるため、病害虫対策と防除の完全ガイドで紹介されている総合的な防除方法を参考にしながら、計画的に対策を実施しましょう。
秋季(9月~10月)の対策
9月~10月は害虫発生の第二ピークです。越冬準備に入る害虫を駆除する重要な時期でもあります。
主な作業内容:
- 9月中旬頃の薬剤散布(越冬前駆除)
- カイガラムシ、アブラムシの再発チェック
- チャドクガの第二世代対策
- 落葉の早期清掃(病害虫の越冬場所除去)
秋の対策をしっかり行うことで、翌年の発生を大幅に抑えることができます。また、剪定・整枝の技術完全ガイドを参考に秋季剪定を行い、樹形を整えると同時に病害虫の隠れ場所を減らしましょう。
効果的な薬剤の選び方と使用方法
薬剤選びは病害虫対策の要です。適切な薬剤を正しく使用することで、効果的に病害虫を防除できます。

主な薬剤の種類と特徴
| 薬剤種類 | 主な効果 | 使用時期 | 代表的な製品例 |
|---|---|---|---|
| 石灰硫黄合剤 | 越冬害虫・病気予防 | 冬季休眠期 | 石灰硫黄合剤 |
| マシン油乳剤 | カイガラムシ・アブラムシ | 冬季~早春 | カイガラムシエアゾール |
| 殺虫剤(浸透移行性) | アブラムシ・ハダニ駆除 | 春~秋 | オルトラン、モスピラン |
| 殺虫剤(接触型) | 各種害虫即効駆除 | 発生時随時 | スミチオン、マラソン |
| 殺菌剤 | うどんこ病・炭疽病 | 春~秋 | ダコニール、サプロール |
| 殺虫殺菌剤 | 害虫・病気同時防除 | 春~秋 | ベニカXファインスプレー |
薬剤の選択では、対象とする害虫や病気に有効な成分が含まれているかを確認することが重要です。また、複数の薬剤をローテーションで使用することで、耐性を持った害虫の発生を防げます。
薬剤散布の注意点
薬剤を安全かつ効果的に使用するための注意点を押さえておきましょう。
散布のタイミング:
- 早朝または夕方の涼しい時間帯に実施
- 風の強い日や雨の前日は避ける
- 真夏の高温時は薬害のリスクがあるため避ける
安全対策:
- 長袖、長ズボン、マスク、ゴーグル、手袋を着用
- 皮膚や目に薬剤が付着しないよう注意
- 散布後は手洗い・うがいを徹底
散布方法:
- 葉の表面だけでなく裏側にもしっかりかける
- 規定の希釈倍率を守る(濃すぎると薬害、薄すぎると効果不足)
- スプレー容器は専用のものを使用し、他の用途と兼用しない
また、ガーデニングツール・資材の完全ガイドで紹介されている噴霧器などの適切な器具を使用することで、より効果的な散布が可能です。
環境改善による予防対策
薬剤に頼るだけでなく、環境を整えることで病害虫の発生を根本的に予防できます。

日当たりと風通しの改善
害虫や病気は、日当たりが悪く風通しの悪い環境で発生しやすい傾向があります。定期的な剪定によって樹木の枝葉が密集しないようにし、樹冠内部まで光と風が届くようにしましょう。
具体的な改善方法:
- 込み合った枝を間引き剪定する
- 樹木同士の間隔を適切に保つ(植え付け時の配慮)
- 下草や雑草を適度に管理し、地面の通気性を確保
- 庭全体の配置を見直し、日光の遮蔽を最小限にする
適切な水やりと排水管理
過度の水やりは根腐れを招き、逆に乾燥しすぎるとハダニが発生しやすくなります。樹種に応じた適切な水管理を行いましょう。
水管理のポイント:
- 土壌表面が乾いてから水やりする(常に湿った状態は避ける)
- 水はけの悪い場所では、排水改善工事や高植えを検討
- 夏場の高温乾燥時は葉水を与え、ハダニ予防に効果的
- 梅雨時期は過湿に注意し、必要に応じて排水溝を清掃
水やり・灌漑システムの完全ガイドでは、樹種ごとの最適な水やり方法が詳しく解説されています。
土壌管理と栄養バランス
健康な樹木は病害虫に対する抵抗力が高くなります。適切な土づくりと施肥管理を行いましょう。
土壌改善の基本:
- 有機質堆肥を定期的に施し、土壌の保水性と排水性を向上
- pH値を樹種に適した範囲に調整(多くの庭木は弱酸性を好む)
- 窒素過多は害虫を誘引するため、バランスの取れた施肥を心がける
- 微量要素の不足も樹勢低下の原因となるため、総合的な栄養管理を
土づくり・堆肥・肥料の基礎知識と実践ガイドで紹介されている土壌改良法を実践することで、病害虫に強い健康な庭木を育てられます。
早期発見と観察のポイント
病害虫対策で最も重要なのは、早期発見です。被害が小さいうちに対処すれば、薬剤使用を最小限に抑え、樹木へのダメージも軽減できます。
定期的な観察習慣
週に1~2回、庭木を注意深く観察する習慣をつけましょう。特に新芽、若葉、葉の裏側、枝の付け根などは害虫が潜みやすい場所です。
観察のチェックポイント:
- 葉の色や形の異常(変色、縮れ、斑点、穴)
- 枝や幹の傷、樹液の染み出し、おがくず状の排泄物
- 害虫の姿(成虫、幼虫、卵)や蜘蛛の巣状の網
- 葉の裏側や枝の付け根の異常な塊(カイガラムシ、卵塊)
被害の初期症状と対処法
初期段階で発見できれば、物理的な駆除だけで対処できることも多くあります。
少数発生時の対処:
- アブラムシやハダニは強めの水流で洗い流す
- カイガラムシは歯ブラシでこすり落とす
- チャドクガの卵塊は枝ごと切り取って焼却処分
- 病気の葉は早期に除去し、他への感染を防ぐ
数が増えてしまった場合は、速やかに適切な薬剤を使用しましょう。被害の拡大を防ぐことが何より重要です。
記録をつける
どの時期にどんな害虫や病気が発生したか記録しておくと、翌年以降の対策に役立ちます。スマートフォンで写真を撮っておくのも良い方法です。
樹種別の注意すべき病害虫
樹種によって発生しやすい病害虫が異なります。代表的な庭木ごとの注意点を把握しておきましょう。

マツ類
主な病害虫:マツカレハ、マツノザイセンチュウ(マツ枯れ病)、すす病
マツノザイセンチュウによるマツ枯れ病は致命的で、一度感染すると治療が困難です。予防として、マツノマダラカミキリ(媒介虫)の侵入を防ぐ殺虫剤の樹幹注入が有効です。
ツバキ・サザンカ
主な病害虫:チャドクガ、炭疽病、もち病
チャドクガは年2回発生し、幼虫の毒毛に触れると激しい皮膚炎を起こします。4月と8月の発生初期に葉裏をチェックし、発見次第駆除しましょう。
バラ
バラは病害虫が発生しやすい樹種です。バラの育て方完全ガイドでは、バラ特有の病害虫対策が詳しく解説されています。
モミジ・カエデ類
新芽にアブラムシが発生しやすく、放置すると葉が縮れて観賞価値が下がります。4月~5月の発生初期に対処することが重要です。
針葉樹(コニファー類)
主な病害虫:ハダニ、カイガラムシ、葉枯れ病
高温乾燥期にハダニが大発生しやすく、葉が褐変して枯れることがあります。定期的な葉水で予防し、発生時は専用のダニ剤を使用します。
まとめ:総合的な病害虫管理を目指して
庭木の病害虫対策は、単に薬剤を散布するだけでなく、環境改善、定期的な観察、適切なタイミングでの対処を組み合わせた総合的なアプローチが重要です。
効果的な対策の基本:
- 予防重視:環境を整え、病害虫が発生しにくい条件を作る
- 早期発見:定期的な観察で被害を最小限に抑える
- 適期対処:季節に応じた適切なタイミングで対策を実施
- 総合管理:薬剤、物理的駆除、環境改善を組み合わせる
年間を通じた計画的な病害虫対策により、健康で美しい庭木を維持できます。また、庭木・シンボルツリーの選び方と育て方ガイドや季節の園芸カレンダー:月別・季節別ガイドも参考に、総合的な庭木管理を実践しましょう。
大切な庭木を病害虫から守り、四季折々の美しい景観を楽しめる庭づくりを目指してください。





