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庭木・シンボルツリーの選び方と育て方ガイド

庭木の移植方法と成功させるポイント

2026年2月6日

庭木の移植方法と成功させるポイント

庭木の移植は、庭のリニューアルや樹木の健全な成長のために重要な作業です。しかし、適切な方法で行わなければ、木が枯れてしまうリスクも高くなります。本記事では、庭木の移植を成功させるための具体的な方法と、失敗しないための重要なポイントを詳しく解説します。

庭木の移植方法と成功させるポイント

庭木の移植は、庭のリニューアルや樹木の健全な成長のために重要な作業です。しかし、適切な方法で行わなければ、木が枯れてしまうリスクも高くなります。本記事では、庭木の移植を成功させるための具体的な方法と、失敗しないための重要なポイントを詳しく解説します。

庭木の移植には専門的な知識と技術が必要ですが、正しい手順を踏めば、個人でも成功させることが可能です。庭木・シンボルツリーの選び方と育て方ガイドでは樹木の基本的な育て方を解説していますが、移植はさらに高度な技術が求められます。

庭木移植の基礎知識:なぜ移植が必要なのか

庭木を移植する理由はさまざまです。庭のレイアウト変更、日当たりや風通しの改善、樹木の成長に伴う場所の不適合などが主な理由として挙げられます。また、建物の増改築や外構工事に伴って、やむを得ず移植が必要になるケースもあります。

移植は木にとって大きなストレスとなります。韓国の大規模道路建設プロジェクトにおける研究では、22,521本の成木移植で69%の生存率を達成したというデータがあります。しかし、熱帯・亜熱帯地域では5年後の生存率が56%程度まで低下することも報告されています。このことからも、移植には慎重な計画と適切な技術が不可欠であることがわかります。

移植を成功させるには、樹木の生理を理解し、ダメージを最小限に抑える工夫が必要です。根系へのダメージ、水分バランスの変化、環境の変化など、さまざまな要因が樹木の生存に影響を与えます。

移植に適した時期:樹種別の最適タイミング

移植の成功率を高める最も重要な要素の一つが、適切な時期を選ぶことです。樹種によって最適な移植時期は異なりますが、基本的には樹木の休眠期または生育開始直前が理想的とされています。

移植に適した時期:樹種別の最適タイミング - illustration for 庭木の移植方法と成功させるポイント
移植に適した時期:樹種別の最適タイミング - illustration for 庭木の移植方法と成功させるポイント

落葉樹の場合、11月下旬から3月上旬の休眠期が最適です。この時期は葉が落ちて樹木が休眠状態に入っているため、移植によるストレスの影響を最小限に抑えられます。特に12月から2月の厳冬期は、樹木の代謝活動が最も低下しているため、移植に適しています。

常緑樹の場合は、芽が動き出す前の3月下旬から4月上旬が推奨されます。この時期は気温が上昇し始め、根の活動が活発になる直前のタイミングです。新しい根が速やかに伸長し、定着しやすい環境が整います。

季節ごとの園芸作業については季節の園芸カレンダー:月別・季節別ガイドで詳しく解説していますので、併せてご参照ください。

以下の表は、主要な庭木の移植適期をまとめたものです。

樹種分類代表的な樹木最適な移植時期避けるべき時期
落葉樹モミジ、サクラ、ケヤキ11月下旬~3月上旬4月~10月(生育期)
常緑広葉樹キンモクセイ、カシ、ツバキ3月下旬~4月上旬7月~8月(真夏)
常緑針葉樹マツ、スギ、ヒノキ3月~4月、9月~10月12月~2月(厳冬期)
花木ウメ、アジサイ、ツツジ花後すぐ、または休眠期開花期、蕾形成期

時期を誤ると、移植後の活着率が大幅に低下し、最悪の場合は枯死に至ることもあります。特に真夏や厳冬期は避けるべきです。

根回しの重要性と実施方法

根回しは、移植を成功させるための最も重要な準備作業です。植えてから5年以上経った庭木の場合、根がしっかりと張り巡らされているため、根回しを行わずに移植すると、栄養分や水分を吸い上げられなくなり枯れてしまう可能性が高くなります。

根回しの重要性と実施方法 - illustration for 庭木の移植方法と成功させるポイント
根回しの重要性と実施方法 - illustration for 庭木の移植方法と成功させるポイント

根回しとは、移植の半年から1年前に、あらかじめ移植時に切断する位置で根を切っておく作業です。この作業により、切断面から新しい細い根(細根)が発生します。細根は養水分の吸収能力が高いため、移植後の活着を大幅に向上させます。

根回しの具体的な手順は以下の通りです。まず、幹から約30~50cm(樹高や幹の太さによって調整)の位置に円を描くように印をつけます。この円に沿って、スコップやスコップを使って垂直に土を掘り下げます。掘削深度は約40~60cmが目安です。

根を切断する際は、できるだけ鋭利な刃物を使い、切り口をきれいに整えます。粗雑な切断面からは細根が発生しにくく、病原菌の侵入リスクも高まります。剪定・整枝の技術完全ガイドで解説している剪定の原理と同様に、清潔で鋭い刃物を使用することが重要です。

根回しを行った後は、掘った溝に堆肥や腐葉土などの有機質を混ぜた土を埋め戻します。これにより、新しい細根の発生が促進されます。適切な土づくりについては土づくり・堆肥・肥料の基礎知識と実践ガイドを参照してください。

根回し後は半年から1年ほど待ち、新たな細い根が十分に成長してから移植を行います。この期間は樹種や生育状況によって調整が必要です。

移植当日の作業手順:掘り取りから植え付けまで

移植当日は、事前の計画に基づいて迅速かつ丁寧に作業を進めることが重要です。根が空気に触れている時間が長いほど、樹木へのダメージが大きくなるため、可能な限り短時間で作業を完了させることを心がけましょう。

移植当日の作業手順:掘り取りから植え付けまで - illustration for 庭木の移植方法と成功させるポイント
移植当日の作業手順:掘り取りから植え付けまで - illustration for 庭木の移植方法と成功させるポイント

掘り取り作業では、根回しを行った位置よりもやや外側を掘り進めます。根鉢(根と土の塊)の大きさは、幹の直径の約4~5倍が目安です。深さは根の張り具合によりますが、一般的には50~80cm程度です。

掘り取った後は、根鉢が崩れないように「根巻き」を行います。根巻きの方法としては、縄やロープで根鉢を固定し、移動中の崩壊を防ぎます。特に大きな樹木の場合は、麻布や遮根シートで根鉢全体を包んでから縄で縛ることで、より確実に保護できます。

剪定作業も重要です。根を切った分、水分の吸収能力が低下するため、地上部の枝葉を減らして水分蒸散を抑える必要があります。枝抜きや間引き剪定を行い、樹冠のボリュームを20~30%程度削減します。ただし、極端な剪定は樹形を損なうため、バランスを考慮しましょう。

植え付けでは、新しい植穴をあらかじめ掘っておきます。植穴の大きさは根鉢の1.5~2倍程度とし、底部には通気性と排水性を確保するため、軽石や砂利を敷きます。根鉢を植穴に入れたら、周囲に良質な土を入れ、棒などでつついて土を密着させます。

植え付け深さは、もとの地際の位置と同じか、やや高めにすることが推奨されます。深植えは根腐れの原因となるため注意が必要です。

最後に、たっぷりと水やりを行います。根と土を密着させるとともに、移植直後の水分不足を防ぐためです。支柱を立てて樹木を固定し、風による倒伏や根の動きを防ぎます。

移植後の管理と活着を促進するコツ

移植後の管理が不十分だと、せっかくの移植作業が無駄になってしまいます。移植後の樹木は、根系が十分に機能していないため、通常よりも手厚いケアが必要です。

移植後の管理と活着を促進するコツ - illustration for 庭木の移植方法と成功させるポイント
移植後の管理と活着を促進するコツ - illustration for 庭木の移植方法と成功させるポイント

水やり管理は最も重要です。移植後の1~2週間は毎日、その後も土の乾燥状態を見ながら定期的に水やりを行います。特に春から夏にかけての乾燥期は、朝夕2回の水やりが必要な場合もあります。ただし、過湿も根腐れの原因となるため、土の状態を確認しながら調整しましょう。

マルチングも効果的です。根元の周囲にバークチップや腐葉土を敷くことで、土壌の乾燥を防ぎ、地温の急激な変化を緩和できます。また、雑草の発生も抑制できるため、樹木との養分競合を減らすことができます。

肥料管理については、移植直後は控えめにします。根が傷んでいる状態で肥料を与えると、かえって根を傷める可能性があります。移植後2~3ヶ月経ち、新芽が伸び始めたら、緩効性肥料を少量から与え始めます。詳しい肥料の使い方は土づくり・堆肥・肥料の基礎知識と実践ガイドをご覧ください。

病害虫対策も重要です。移植によって樹勢が弱った樹木は、病害虫の被害を受けやすくなります。病害虫対策と防除の完全ガイドを参考に、定期的な観察と早期対応を心がけましょう。

移植後1年間は特に注意深く観察し、異常があればすぐに対処することが、活着率を高める秘訣です。新芽が伸び、葉の色つやが良くなれば、移植が成功したと判断できます。

よくある失敗例とその対処法

庭木の移植でよくある失敗パターンを知っておくことで、同じ過ちを避けることができます。

最も多い失敗は、不適切な時期の移植です。真夏や厳冬期に移植を行うと、樹木が極度のストレスにさらされ、枯死のリスクが高まります。やむを得ず不適期に移植する場合は、遮光ネットや防寒対策を講じる必要があります。

根回しを省略することも重大な失敗につながります。特に大きな庭木や植栽後長年経過した樹木では、根回しなしでの移植はほぼ失敗に終わります。時間的余裕がない場合でも、最低限の根切りと養生期間を設けることが重要です。

根鉢が小さすぎることも問題です。根の量が不足すると、水分や養分の吸収が追いつかず、樹木が衰弱します。目安としては、幹径の4~5倍の根鉢径を確保しましょう。

移植後の水やり不足も致命的です。特に移植直後の2週間は、根が新しい土に活着するまでの重要な期間です。この時期に水分が不足すると、回復が困難になります。

深植えしすぎることも注意が必要です。根元が深く埋まると、幹の部分が腐朽したり、根の呼吸が阻害されたりします。移植前の地際の位置を確認し、同じ深さか、やや高めに植えることを心がけましょう。

対処法としては、失敗の兆候(葉の萎れ、変色、落葉など)が見られたら、すぐに専門家に相談することです。早期発見・早期対応が樹木を救う鍵となります。

まとめ:移植成功のチェックリスト

庭木の移植を成功させるためには、計画的な準備と丁寧な作業が不可欠です。以下のチェックリストを活用して、確実な移植を実現しましょう。

移植前(6ヶ月~1年前)

  • 樹種に応じた移植時期の確認
  • 根回しの実施(5年以上経過した樹木)
  • 移植先の環境調査(日照、排水、土質)

移植準備(1週間前)

  • 必要な道具・資材の準備
  • 移植先の植穴掘削
  • 天候の確認(晴天続きの予報時は避ける)

移植当日

移植後(1年間)

移植は高度な技術を要する作業ですが、これらのポイントを押さえれば、個人でも成功させることが可能です。不安な場合や大きな樹木の場合は、造園・ガーデンデザインの基本と実践ガイドで紹介しているような専門業者に相談することも検討しましょう。

適切な方法で移植された庭木は、新しい環境で再び元気に成長し、美しい景観を作り出してくれます。この記事で紹介した方法を参考に、大切な庭木の移植を成功させてください。

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