ラベンダーの品種と庭での育て方ガイド
2026年2月6日

ラベンダーの主要6品種の特徴と選び方、庭での育て方を徹底解説。イングリッシュ・ラバンディン・フレンチラベンダーの違い、植え付け時期、水やり方法、剪定テクニック、病害虫対策まで初心者にもわかりやすく紹介します。
ラベンダーの品種と庭での育て方ガイド
ラベンダーは、その美しい紫色の花と心地よい香りで、世界中のガーデナーに愛されているハーブです。しかし、ラベンダーと一口に言っても、実は多くの品種があり、それぞれに異なる特徴や栽培上の注意点があります。本記事では、ラベンダーの主要な品種の特徴から、庭での育て方、管理のコツまで、実用的な情報を網羅的に解説します。
ラベンダーの主要品種と特徴
ラベンダーは大きく6つの系統に分けられ、見た目、開花時期、耐寒性・耐暑性が大きく異なります。自分の庭の環境に合った品種を選ぶことが、栽培成功の第一歩です。

アングスティフォリア系(イングリッシュラベンダー)
アングスティフォリア系は、ラベンダーの代表的な品種とされ、最も香りが強いことが特徴です。開花期間は4月から6月にかけてで、耐寒性が非常に強く-15度まで耐えられるため、北海道や東北地方での栽培に最適です。ただし、高温多湿に弱いため、関東以西で地植えするのは難しく、特に梅雨時期や真夏の管理には注意が必要です。
代表的な品種には「ヒドコート」「マンステッド」「濃紫早咲」などがあり、料理用のハーブとしても優れています。カンファー含有量が低いため、食用として使いやすいのも大きな魅力です。
ラバンディン系
ラバンディン系は、初心者に最もおすすめの品種です。耐寒性・耐暑性ともに強く、日本の気候に適応しやすいため、全国各地で栽培可能です。花穂がぷっくりと太く、稲穂のような見た目をしており、茎も太くて丈夫です。香りが強く、精油が多く含まれているため、ドライフラワーや香り袋作りにも最適です。
成長すると1メートル程度の大株になるため、庭に植えると存在感があり、花の見頃は7月から9月です。代表品種には「グロッソ」「スーパー」「インプレスパープル」などがあります。特に「グロッソ」は商業栽培でも広く使われる品種で、大量の花穂を収穫できます。
ストエカス系(フレンチラベンダー)
ストエカス系は、うさぎの耳のような苞葉が特徴的で、見た目が非常に可愛らしい品種です。開花期間は4月から6月で、アングスティフォリア系よりもやや早めに咲き始めます。耐暑性が比較的強めで、関東以西でも庭や花壇に植えて夏越しが可能です。
ただし、耐寒性はやや弱く、冬季は霜よけや寒風対策が必要な地域もあります。代表品種には「キューレッド」「ブルーベリーラッフルズ」「オティマ」などがあり、鉢植えで楽しむのにも適しています。
プテロストエカス系(レースラベンダー)
プテロストエカス系は、切れ込みのある羽根のような形の葉が特徴で、「レースラベンダー」の愛称で親しまれています。四季咲き性があり、条件が良ければ年間を通じて花を楽しめます。耐寒性は弱いため、冬季は室内や温室での管理が推奨されます。
レースのような繊細な葉と、細長い花穂が織りなす姿は非常に優美で、鑑賞価値が高い品種です。ハーブガーデンのアクセントプランツとしても人気があります。
デンタータ系
デンタータ系は、歯のようなギザギザの葉を持つ品種で、フレンチラベンダーの一種です。開花期が長く、春から秋にかけて長期間花を楽しめます。耐暑性はありますが、耐寒性がやや弱いため、寒冷地では鉢植えにして冬は室内に取り込むのがおすすめです。
スパイク系
スパイク系は、細長い花穂が特徴で、カンファーの香りが強い品種です。耐暑性が高く、地中海沿岸の乾燥した環境を好みます。精油含有量が多く、石鹸や香水の原料としても利用されます。
ラベンダーの品種比較表
| 系統 | 耐寒性 | 耐暑性 | 香り | 開花時期 | 適地 | 初心者向け |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アングスティフォリア系 | 強い(-15℃) | 弱い | 最強 | 4-6月 | 北海道・東北 | △ |
| ラバンディン系 | 強い | 強い | 強い | 7-9月 | 全国 | ◎ |
| ストエカス系 | やや弱い | やや強い | 中程度 | 4-6月 | 関東以西 | ○ |
| プテロストエカス系 | 弱い | 中程度 | 中程度 | 周年 | 温暖地 | △ |
| デンタータ系 | やや弱い | 強い | 中程度 | 春-秋 | 温暖地 | ○ |
| スパイク系 | 中程度 | 強い | カンファー臭強 | 6-8月 | 全国 | ○ |
庭でのラベンダーの育て方
適切な場所選び
ラベンダーは、日当たりと風通しの良い場所を好みます。1日6時間以上の直射日光が当たる場所が理想的です。風通しが悪いと、高温多湿の環境で蒸れやすくなり、うどんこ病などの病害が発生しやすくなります。

建物の南側や東側で、午前中から午後にかけてたっぷり日光が当たる場所を選びましょう。また、水はけの悪い低地や、雨水が溜まりやすい場所は避けてください。ラベンダーは乾燥した環境を好み、根腐れを起こしやすいためです。
土づくりの重要性
ラベンダーは、弱アルカリ性で水はけの良い土を好みます。日本の土壌は多くが酸性傾向にあるため、植え付け前に石灰を混ぜてpH調整することが推奨されます。目安としては、pH6.5~8.0程度が適切です。
地植えの場合は、盛り土をするのが成功のポイントです。地面よりも10~20センチ高い位置に土を盛ることで、排水性が大幅に向上し、高温多湿に弱いラベンダーがより元気に育ちます。土の配合は、赤玉土6:腐葉土3:川砂1の割合が基本です。
また、土づくりでは、有機質を多く含む堆肥を適量混ぜ込むことで、保水性と排水性のバランスが良い土壌を作れます。ただし、肥沃すぎる土は避けましょう。ラベンダーは痩せた土でも育つ植物で、肥料が多すぎると香りが弱くなったり、徒長して倒れやすくなったりします。
植え付け時期とその手順
植え付け時期は春(3~4月)と秋(10月)の2回が最適です。特にラバンディン系は秋に植え付けた方が根の張りが良くなり、翌年大きな株に成長しやすくなります。
植え付け手順は以下の通りです:
- 植え付け場所を深さ30cm程度掘り起こす
- 石灰を混ぜてpH調整し、1週間程度馴染ませる
- 元肥として緩効性肥料を少量混ぜる
- 苗を植え付け、株元を軽く押さえて安定させる
- 植え付け直後はたっぷり水を与える
- 株間は品種に応じて30~50cm確保する
苗を選ぶ際は、節間が詰まっていてがっしりした感じの株で、花数が多くバランスが良いものを選びましょう。葉が黄色くなっていたり、茎が細く徒長しているものは避けます。
水やりの管理
地植えのラベンダーは、基本的に水やりは不要です。根付いた後は、自然の降雨だけで十分に育ちます。むしろ、水を与えすぎると根腐れの原因になるため、「ほったらかし」くらいがちょうど良いのです。
ただし、植え付け直後の2~3週間と、真夏の極端な乾燥時には様子を見て水を与えます。土の表面が完全に乾いてから、根元にゆっくりと水を与えるのがポイントです。葉や花に水をかけると病気の原因になるため、必ず根元に与えてください。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るまでたっぷり与えます。受け皿に溜まった水は必ず捨てて、根が常に湿った状態にならないよう注意しましょう。
肥料の与え方
ラベンダーは肥料を控えめにするのが基本です。肥料を与えすぎると、香りが弱くなったり、茎が柔らかく徒長して倒れやすくなったりします。
地植えの場合、春の芽吹き時期(3月頃)に緩効性の固形肥料を少量株元に置く程度で十分です。鉢植えの場合は、春と秋に液体肥料を薄めて月1回程度与えます。
重要なのは、梅雨が始まる前には必ず肥料をストップすることです。高温多湿期に肥料分が残っていると、蒸れや病気の原因になります。
剪定と整枝のテクニック
ラベンダーの剪定は、花後と春先の年2回行うのが基本です。
花後の剪定(収穫剪定):花が咲き終わったら、花穂の下2~3節のところで切り取ります。これを「収穫剪定」と呼び、次の花芽の形成を促すとともに、株の蒸れを防ぎます。切り取った花穂は、ドライフラワーやポプリとして楽しめます。
春の強剪定:3月頃、新芽が動き出す前に、全体を半分程度の高さまで切り詰めます。この強剪定により、株の若返りを図り、枝が密に茂った健康な株を維持できます。ただし、木質化した古い枝まで切り込むと枯れることがあるため、必ず緑色の若い枝が残るように注意してください。
定期的な剪定を行わないと、株が木質化して花付きが悪くなり、形も乱れてきます。剪定の技術を身につけることで、長年美しいラベンダーを楽しむことができます。
季節別の管理ポイント
春(3~5月)
春は植え付けや株分けに最適な時期です。新芽が伸び始めたら、軽い追肥を行い、成長を促します。また、強剪定を行うのもこの時期です。季節の園芸カレンダーを参考に、適切なタイミングで作業を行いましょう。
夏(6~8月)
ラベンダーにとって最も厳しい季節です。特に梅雨時期は、蒸れによる病害に注意が必要です。花後の剪定を早めに行い、風通しを良くしましょう。真夏は西日が当たりすぎないよう、遮光ネットなどで調整することも検討します。
秋(9~11月)
秋は植え付けの第二のシーズンです。夏の暑さが和らいだら、株分けや植え替えを行えます。また、冬に備えて株元に堆肥を薄く敷き詰めるマルチングも有効です。
冬(12~2月)
耐寒性の強い品種は特別な対策は不要ですが、フレンチラベンダーやレースラベンダーなど耐寒性の弱い品種は、霜よけや寒風よけの対策が必要です。鉢植えは軒下や温室に取り込みましょう。
病害虫対策
うどんこ病
ラベンダーに最も発生しやすい病気がうどんこ病です。葉に白い粉状のカビが発生し、光合成を阻害します。多湿環境で発生しやすいため、風通しの良い場所で育てることが予防の基本です。

発生したら、早めに病葉を取り除き、殺菌剤を散布します。有機栽培では、重曹水(水1リットルに重曹小さじ1杯)を噴霧する方法も効果的です。
灰色かび病
梅雨時期に発生しやすい病気で、花や葉が灰色のカビに覆われます。感染部位は早めに切り取り、廃棄します。予防には、花後の剪定で風通しを良くし、泥はねを防ぐマルチングが有効です。
アブラムシとハダニ
新芽や蕾にアブラムシが発生することがあります。見つけ次第、手で取り除くか、水で洗い流します。ハダニは乾燥した環境で発生しやすく、葉の裏に寄生して吸汁します。葉水を与えることで予防できます。
病害虫対策の基本は、健康な株を維持することです。適切な環境で育て、定期的な観察を心がけましょう。
ラベンダーの収穫と利用
収穫の最適なタイミング
ラベンダーの収穫は、花穂の下1/3~1/2程度が開花したタイミングがベストです。香りが最も強く、ドライフラワーにしたときの色も美しく残ります。朝露が乾いた午前中に収穫すると、香りが豊かです。

収穫は花穂の下2~3節のところで茎ごと切り取ります。長めに切ることで、次の花芽の形成を促し、株の形も整えられます。
ドライフラワーとポプリ
収穫した花穂を束ねて、風通しの良い日陰に逆さに吊るすと、美しいドライフラワーになります。2~3週間で完全に乾燥し、香りも長期間保たれます。
乾燥させた花を揉んで花だけを取り出し、エッセンシャルオイルを少量垂らすと、オリジナルのポプリが作れます。布袋に詰めて引き出しやクローゼットに入れれば、天然の芳香剤として楽しめます。
料理とハーブティー
アングスティフォリア系のラベンダーは、料理にも使えます。クッキーやケーキ、シロップなどに少量加えると、上品な香りが楽しめます。ただし、使いすぎると薬品のような香りになるため、ごく少量から試してください。
ハーブティーは、乾燥させた花をティーカップ1杯に対して小さじ1/2程度使います。リラックス効果があり、就寝前に飲むと快眠をサポートします。
よくある失敗とその対処法
夏に枯れてしまう
最も多い失敗例が、夏の高温多湿で株が弱って枯れてしまうケースです。特に日本の梅雨と真夏は、ラベンダーにとって厳しい環境です。対策としては、品種選びの段階で耐暑性の強いラバンディン系やフレンチラベンダーを選ぶこと、そして花後の剪定で風通しを確保することが重要です。

冬に枯れてしまう
耐寒性の弱い品種を寒冷地で地植えにすると、冬に枯れてしまいます。フレンチラベンダーやレースラベンダーなどは、寒冷地では鉢植えにして冬は室内に取り込むのが安全です。地植えの場合は、株元に腐葉土や藁でマルチングし、寒風よけのネットを設置します。
花が咲かない
肥料の与えすぎ、日照不足、剪定不足が主な原因です。ラベンダーは日光を好むため、1日6時間以上の直射日光が当たる場所で育てましょう。また、肥料は控えめにし、定期的な剪定で株の若返りを図ります。
株が木質化して花が減った
ラベンダーは多年草ですが、剪定を怠ると茎が木質化し、花付きが悪くなります。3~4年に一度は株を更新するか、春の強剪定で若い枝を増やすようにします。挿し木で新しい株を作り、古い株と入れ替えるのも良い方法です。
まとめ
ラベンダーは品種によって特性が大きく異なるため、自分の庭の環境に合った品種を選ぶことが成功の鍵です。初心者にはラバンディン系が最もおすすめで、全国どこでも育てやすく、美しい花と強い香りを楽しめます。
栽培のポイントは、日当たりと風通しの良い場所で、水はけの良い土に植え、水やりは控えめに、肥料も控えめにすることです。定期的な剪定を行い、株の若さを維持することで、長年美しいラベンダーを楽しむことができます。
ラベンダーのある庭は、視覚的にも嗅覚的にも豊かな空間を作り出します。ぜひこのガイドを参考に、あなたの庭にぴったりのラベンダーを育ててみてください。




