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カイガラムシの見分け方と効果的な駆除法

2026年2月6日

カイガラムシの見分け方と効果的な駆除法

カイガラムシの種類と見分け方、効果的な駆除方法を徹底解説。幼虫期・成虫期それぞれの対策、自然派の駆除法、植物別の予防策まで、初心者にもわかりやすく説明します。全世界に7,000種以上存在するカイガラムシから大切な植物を守りましょう。

カイガラムシの見分け方と効果的な駆除法

植物を育てていると、葉や茎に白い綿のようなものや、茶色い小さな殻がついているのを見つけることがあります。それはカイガラムシという害虫かもしれません。カイガラムシは植物の樹液を吸って弱らせる厄介な害虫ですが、適切な方法で駆除すれば健康な植物を取り戻すことができます。この記事では、カイガラムシの見分け方と効果的な駆除方法について、初心者の方にもわかりやすく解説します。

カイガラムシとは?基本的な生態を理解する

カイガラムシは、セミやアブラムシ、カメムシなどと同じ仲間の昆虫です。全世界に7,000種以上が存在し、日本国内では約400種類が確認されている非常に多様な害虫グループです。

体長は2〜10mm程度と小さく、葉や茎に口ばしを挿して植物の樹液を吸いながら成長します。一度植物に寄生すると、ほとんど動くことがないのが特徴です。姿形はさまざまで、丸いもの、細長いもの、硬い殻に覆われたもの、綿のようにふわふわしたもの、小さなトゲが多数ついたものなど多岐にわたります。

特に注目すべき点として、カイガラムシの雌は1,000〜2,000個もの卵を産むため、放置すると急速に増殖してしまいます。春の暖かくなる5〜7月に繁殖が盛んになる種類が多く、この時期が駆除の重要なタイミングとなります。

植物に寄生して樹液を吸うのは雌のみで、雄は季節的に出現したり、植物が枯れそうになると移動するために翅を持った形で現れます。カイガラムシについてさらに詳しい害虫対策を知りたい方は、病害虫対策と防除の完全ガイドも参考にしてください。

カイガラムシの種類と見分け方

日本でよく見られるカイガラムシは、主に5つの科に分類されます。それぞれの特徴を理解することで、適切な駆除方法を選ぶことができます。

カイガラムシの種類と見分け方 - illustration for カイガラムシの見分け方と効果的な駆除法
カイガラムシの種類と見分け方 - illustration for カイガラムシの見分け方と効果的な駆除法

ワタフキカイガラムシ科

綿のような白い糸状の分泌物をまとっているのが特徴です。柑橘類やカイドウ、ツバキなどによく発生します。見た目が目立つため、比較的早期に発見しやすい種類です。

アカカイガラムシ科

赤茶色をしており、多くの場合果樹に発生します。ミカンやカキ、モモなどの果樹を栽培している方は特に注意が必要です。

コナカイガラムシ科

粉状の白いロウ物質で体が覆われています。観葉植物や温室の植物に発生しやすく、屋内栽培をしている方は要注意です。観葉植物・インドアグリーンの育て方完全ガイドでも害虫対策について触れています。

カタカイガラムシ科(硬カイガラムシ)

硬い殻のような覆いを持ち、体から剥がすことができるのが特徴です。果樹や庭木など幅広い植物に発生します。

マルカイガラムシ科(軟カイガラムシ)

丸みを帯びた形状で、殻は体と一体化しており剥がせません。甘露(ハニーデュー)と呼ばれる粘液を分泌し、これがスス病の原因となることもあります。

見分けのポイントは、葉や茎に小さな円形または楕円形の塊として現れることです。色は白から茶色が一般的で、指で触ると簡単に潰れるものと、硬くて取れにくいものがあります。

カイガラムシの種類見た目の特徴主な発生場所駆除の難易度
ワタフキカイガラムシ白い綿状柑橘類、ツバキ
アカカイガラムシ赤茶色の殻果樹全般
コナカイガラムシ白い粉状観葉植物
カタカイガラムシ硬い茶色の殻庭木、果樹
マルカイガラムシ丸く柔らかい多様な植物

カイガラムシが発生する原因

カイガラムシが発生する主な原因を理解することで、予防策を講じることができます。

通気性の悪い環境

植物が密集していたり、風通しが悪い場所では、カイガラムシが繁殖しやすくなります。湿気がこもりやすい環境は、カイガラムシにとって快適な住処となります。

日当たりの不足

日陰や半日陰の環境では、カイガラムシの発生リスクが高まります。日光を好まないカイガラムシにとって、日当たりの悪い場所は理想的な環境です。

窒素肥料の過剰施用

窒素肥料を与えすぎると、植物の茎葉が柔らかくなり、カイガラムシが樹液を吸いやすくなります。バランスの取れた施肥が重要です。土づくり・堆肥・肥料の基礎知識と実践ガイドで適切な施肥方法を学びましょう。

他の植物からの移動

新しく購入した植物や、屋外から室内に移動した植物にカイガラムシが付いていることがあります。新しい植物を導入する際は、よく観察することが大切です。

効果的なカイガラムシの駆除方法

カイガラムシの駆除は、発生段階によって最適な方法が異なります。ここでは、幼虫期と成虫期それぞれの効果的な駆除方法を紹介します。

効果的なカイガラムシの駆除方法 - illustration for カイガラムシの見分け方と効果的な駆除法
効果的なカイガラムシの駆除方法 - illustration for カイガラムシの見分け方と効果的な駆除法

幼虫期の駆除方法

カイガラムシは、卵や成虫のように殻で覆われていない幼虫のときが最も駆除しやすい時期です。この段階を「移動期」または「クローラー期」と呼び、体が柔らかく薬剤が効きやすい特徴があります。

殺虫剤での駆除

直接散布タイプであれば、スミチオン乳剤やマラソン乳剤が効果的です。土に撒くタイプなら、オルトラン粒剤がおすすめです。カイガラムシは5月から7月にかけて多く発生するため、この時期は月3回程度、定期的に殺虫剤を散布しましょう。

自然派の駆除方法

化学農薬を使いたくない方には、牛乳スプレーや木酢液が有効です。牛乳を原液のままスプレーボトルに入れて吹き付けると、乾いた牛乳が膜となってカイガラムシを覆い、窒息させて駆除できます。

木酢液は、炭を作る際に出る水蒸気を冷やして液体にしたもので、原液ではなく50〜100倍に希釈してスプレー散布します。自然由来の成分ですが、殺虫効果は高く評価されています。

成虫期の駆除方法

カイガラムシの成虫は、硬い殻やロウ状の分泌液で体を保護しているため、農薬が効きにくいのが特徴です。そのため、物理的に駆除する方法が最も効果的です。

手作業での除去

最もシンプルで確実な方法は、硬めの歯ブラシやヘラを使って成虫をこすり落とすことです。少数の発生であれば、手袋をして指で取り除くこともできます。

水圧での洗い流し

肉眼で確認できなかった小さなカイガラムシや、わずかに残ったカイガラムシは、ホースを使って強めの水圧で洗い流すと効果的です。ただし、植物を傷めない程度の水圧に調整してください。

冬期の石灰硫黄合剤

落葉樹の休眠期(12月〜2月)には、石灰硫黄合剤を散布する方法があります。この薬剤は殻の下まで浸透し、越冬中のカイガラムシを効果的に駆除できます。

実際の駆除作業では、まず成虫を物理的に除去し、その後に幼虫や卵を薬剤で処理するという二段階のアプローチが最も効果的です。詳しい剪定や整枝の技術については、剪定・整枝の技術完全ガイドも参考になります。

カイガラムシの予防対策

駆除も大切ですが、発生を未然に防ぐことがより重要です。日常的な管理で実践できる予防策を紹介します。

カイガラムシの予防対策 - illustration for カイガラムシの見分け方と効果的な駆除法
カイガラムシの予防対策 - illustration for カイガラムシの見分け方と効果的な駆除法

環境管理による予防

植物のある場所はできるだけ通気性と日当たりをよくして、カイガラムシが嫌う環境を作りましょう。植物同士の間隔を適切に保ち、定期的に剪定して風通しを良くすることが効果的です。

鉢植えの場合は、定期的に鉢の位置を変えて日光が均等に当たるようにします。屋内の観葉植物も、時々外に出して日光浴をさせることで、カイガラムシの発生を抑制できます。

定期的な観察と早期発見

週に一度は植物の葉の裏や茎を観察する習慣をつけましょう。カイガラムシは初期段階で発見できれば、簡単に駆除できます。特に新芽や若い葉に注目して観察してください。

適切な施肥管理

窒素肥料の過剰施用を避け、リン酸やカリウムもバランスよく含んだ肥料を使用します。健康で強い植物は、害虫の被害を受けにくくなります。

天敵の活用

テントウムシやヒラタアブの幼虫は、カイガラムシの天敵です。殺虫剤の使用を最小限にすることで、これらの益虫を庭に呼び寄せることができます。農薬を使う場合は、選択的に害虫のみを対象とする薬剤を選びましょう。

新規導入植物の検疫

園芸店で購入した植物や、友人からもらった植物は、他の植物と一緒にする前に2週間程度隔離して観察します。この期間にカイガラムシの兆候がないか確認してから、庭や温室に加えるようにしましょう。

おすすめの駆除剤と使用方法

市販されているカイガラムシ駆除剤の中から、特に効果的なものを紹介します。使用する際は、必ず製品の説明書に従って適切に使用してください。

浸透移行性殺虫剤

オルトランDX粒剤は、土に撒くだけで根から吸収され、植物全体に殺虫成分が行き渡ります。カイガラムシの幼虫期に特に効果的で、約1ヶ月間効果が持続します。

スプレータイプの殺虫剤

ベニカXファインスプレーやアースガーデンのカイガラムシエアゾールは、直接散布できるため使いやすいのが特徴です。葉の裏側や茎の隙間にもしっかり吹き付けましょう。

自然派の選択肢

化学農薬を避けたい方には、ニームオイルや木酢液がおすすめです。ニームオイルは、インドセンダンの種子から抽出した天然成分で、カイガラムシの成長を阻害する効果があります。

使用方法としては、まず植物全体を観察してカイガラムシの発生状況を確認し、成虫は物理的に除去してから薬剤を散布するという手順が最も効果的です。薬剤は葉の表面だけでなく、裏側や茎の付け根、新芽の周辺など、カイガラムシが隠れやすい場所にも丁寧に散布してください。

植物別のカイガラムシ対策

植物の種類によって、カイガラムシの発生しやすさや効果的な対策が異なります。

植物別のカイガラムシ対策 - illustration for カイガラムシの見分け方と効果的な駆除法
植物別のカイガラムシ対策 - illustration for カイガラムシの見分け方と効果的な駆除法

果樹(柑橘類、カキ、モモなど)

果樹には特にアカカイガラムシやワタフキカイガラムシが発生しやすくなっています。収穫前の薬剤使用には注意が必要なので、できるだけ早期発見・早期駆除を心がけましょう。冬期の石灰硫黄合剤散布が予防に効果的です。

バラ

バラにはカイガラムシだけでなく、アブラムシなど他の害虫も発生しやすいため、総合的な害虫管理が必要です。バラの育て方完全ガイドで詳しい管理方法を確認できます。

観葉植物

屋内の観葉植物にはコナカイガラムシが発生しやすいです。定期的に葉を濡れた布で拭くことで、初期段階のカイガラムシを除去できます。また、時々屋外に出して日光浴をさせることも予防になります。

多肉植物・サボテン

多肉植物やサボテンには、特にコナカイガラムシが発生しやすい傾向があります。多肉植物・サボテンの育て方完全ガイドでも害虫対策について詳しく解説しています。

庭木・シンボルツリー

大型の庭木では、カイガラムシの発見が遅れがちです。剪定の際に念入りにチェックし、発見したら早めに対処しましょう。庭木・シンボルツリーの選び方と育て方ガイドも参考にしてください。

まとめ:カイガラムシとの上手な付き合い方

カイガラムシは厄介な害虫ですが、適切な知識と対策があれば十分にコントロールできます。最も重要なのは、早期発見と早期対処です。週に一度の観察習慣を身につけ、カイガラムシの兆候を見逃さないようにしましょう。

駆除の基本は、幼虫期には薬剤を使用し、成虫期には物理的に除去するという二段階のアプローチです。また、予防策として通気性と日当たりの良い環境を保つこと、適切な施肥管理を行うことが重要です。

化学農薬に頼りすぎず、牛乳スプレーや木酢液などの自然派の方法も積極的に取り入れることで、環境に優しく持続可能な害虫管理ができます。また、テントウムシなどの天敵を活用することも、長期的には効果的な戦略となります。

植物の健康を守るためには、カイガラムシだけでなく、総合的なガーデニング入門・基礎知識を学ぶことも大切です。この記事で紹介した方法を実践して、美しく健康な植物を育ててください。

参考リンク:

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