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病害虫対策と防除の完全ガイド

益虫を活用した自然な害虫対策の方法

カマキリは益虫ですが、害虫だけを選んで食べるわけではありません。テントウムシやヒラタアブとの役割の違い、庭に益虫を残す環境づくり、IPMでの判断手順を紹介します。

庭世界 編集部 公開 更新 約8分で読めます
家庭菜園の葉の上で害虫を待ち伏せするカマキリ
Photo by Erik Karits on Pexels

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「カマキリ 益虫」という疑問への答えは、カマキリは庭で残したい益虫だということです。ただし、害虫だけを選ぶ専門家ではありません。動く昆虫を広く捕らえるため、ハチやテントウムシも食べます。カマキリは自然な害虫対策の主役ではなく、観察や手取りを補う捕食者として活用するのが現実的です。

はじめに

益虫は害虫を全滅させる手段ではなく、観察や手取りと組み合わせて被害を抑える存在です。

家庭菜園では、カマキリの働きを獲物の大きさ・隠れ場所・広食性の3条件で判断します。

益虫とは?害虫との違いは人の目的で決まる

益虫とは、捕食、寄生、送粉、分解などの働きが、人の栽培や生活に利益をもたらす昆虫の総称です。反対に、植物を食べる、病原体を運ぶ、生活環境を傷めるなど、人にとって不利益な働きをする昆虫を害虫と呼びます。つまり「益虫とは」という問いへの答えは、昆虫の固定された身分ではなく、その場所で人に役立つ役割を果たす虫です。

Oregon State University Extensionは、庭の益虫を送粉者・捕食者・寄生者・分解者の4群に整理しています。送粉者は花粉を運び、捕食寄生者は害虫の卵や幼虫を利用します。分解者として働く昆虫は有機物を細かくします。テントウムシやカマキリのような捕食者だけが、庭に利益をもたらす虫ではありません。

一方で、成長段階が変わると役割も変わります。ヒラタアブは幼虫のときにアブラムシを捕食し、成虫になると花粉や蜜を利用して送粉に関わります。チョウは成虫が送粉者でも、幼虫は植物の葉を食べます。虫の名前だけで残す・除くを決めると、この変化を見落とします。

自然農の実践記事には「絶対的な益虫というのは存在しないともいえます」とあります(自然+農業「むら」)。

カマキリは益虫ですか?害虫にもなるのか

カマキリは、葉や枝で待ち伏せし、鎌状の前脚で生きた獲物を捕らえる肉食性の益虫です。幼虫と成虫の両方が捕食します。ただし特定の害虫だけを狙わない広食性捕食者なので、庭の生態系全体で見れば「常に有益」とは限りません。

カマキリが益虫と呼ばれる理由

カマキリ目(Mantodea)の昆虫は、体を植物に紛れさせ、獲物が近づくまで動かずに待ちます。幼虫は成虫に似た姿で、蛹を経ない不完全変態をします。孵化直後の小さな幼虫はタカラダニ、トビムシ、アブラムシなどを捕らえ、成長するとバッタ、ガ、ハエなど大きな獲物も対象になります。

卵は泡状の卵鞘に包まれます。種類によっては1つの卵鞘に数百個前後の卵が含まれますが、孵化した幼虫は分散し、天敵に食べられたり共食いしたりします。卵の数が、そのまま庭に残る成虫の数になるわけではありません。

「カマキリは害虫?」と迷う理由

University of Maryland Extensionは、カマキリの獲物を「捕まえられるほぼすべてで、ほかの益虫も含む」と説明しています(原文英語)。同機関は、幼虫と成虫が害虫を食べる一方、生物防除の担い手としての価値は限定的だと評価しています。

カマキリは植物を食べないため、その意味では園芸害虫ではありません。しかし、ハチ、チョウ、ハナアブ、テントウムシ、ほかのカマキリまで捕らえることがあります。「カマキリは益虫?」「カマキリ 害虫 益虫」という二択には、植物に対しては益虫、害虫管理では選り好みしない補助役と答えるのが正確です。

害虫に合わせて益虫を選ぶ

アブラムシのような小型害虫には、カマキリより体の小さい益虫のほうが、獲物の大きさと居場所に合います。新芽や葉裏に群れるアブラムシには肉食性テントウムシ、ヒラタアブ幼虫、クサカゲロウ幼虫が候補です。カマキリは大型の動く獲物を得意とし、すべての害虫に向く万能な天敵ではありません。

益虫主な対象・役割働く成長段階見落としやすい限界
カマキリバッタ、ガ、ハエなど動く獲物幼虫・成虫ほかの益虫も捕食し、小型害虫を狙いにくい
肉食性テントウムシアブラムシ、昆虫の卵など幼虫・成虫植物食の種類との識別が必要
クサカゲロウアブラムシなどの小型昆虫主に幼虫成虫の定着には蜜を得られる花が役立つ
ヒラタアブ幼虫がアブラムシを捕食、成虫は送粉幼虫・成虫幼虫は成虫と姿が大きく異なる

アブラムシの駆除と予防では、葉裏の観察と発生初期の対応が重要です。マイナビ農業も、アブラムシの天敵としてテントウムシとヒラタアブの幼虫を挙げています。捕食者の幼虫は成虫と姿が違うため、成虫の写真だけで益虫を覚えると、働きの大きい幼虫を害虫と誤認しやすくなります。

てんとう虫はハダニを食べるのか

「てんとう虫 ハダニ 食べる」という検索には、種類によっては小型のダニ類を捕食する可能性はあるものの、家庭菜園でよく見る肉食性テントウムシの主対象として確認しやすいのはアブラムシ、と答えるのが安全です。ハダニ対策をテントウムシだけに任せず、葉裏の密度、吸汁痕、クモの巣状の糸を確認します。

防除効果は、捕食する成長段階と、害虫と天敵の生活場所が重なるかで変わります。

カマキリ農法を過信しない

カマキリ農法を家庭菜園で考えるなら、購入した卵鞘を大量に置く方法より、自然に来たカマキリを残し、人の観察を続ける方法が現実的です。カマキリは待ち伏せ場所を通る獲物には働きますが、幹内部、巻いた葉、硬い殻の内側にいる害虫には届きません。

「カマキリは特定の害虫だけを選んで食べる専門的な天敵ではありません」と、オリーブ栽培の実践記事も注意を促しています(オリーブ・マイスターへの道)。カマキリがいるかどうかより、問題の害虫が葉面を動くのか、幹や葉の内部に隠れるのかを先に見ると、任せられる範囲が決まります。

害虫の居場所・状態カマキリへの期待人が補う対応
葉や枝の表面を動くバッタ・ガ・ハエ捕食する可能性あり被害量を観察して経過を見る
巻いた葉の中にいる幼虫届きにくい巻葉を切り取り、内部を確認する
幹や樹皮の内側に潜る幼虫ほぼ届かない木くずや穴を探し、早期に個別対応する
枝に固着したカイガラムシ効率的な捕食は期待しにくいカイガラムシの見分け方と駆除で種類と処置を確認する

卵鞘を見つけたとき

卵鞘が剪定予定の枝や支柱に付いていたら、まず春までその場所に残せるかを考えます。暖かい室内へ入れると、餌が乏しい時期に孵化するおそれがあります。移動が避けられない場合は卵鞘だけを無理にはがさず、付着した枝ごと向きを大きく変えずに扱うほうが傷を減らせます。

購入卵には慎重さが必要です。地域外の種類や由来が分からない卵鞘を持ち込むより、庭に自然に現れた個体と産卵場所を守るほうが、生態系への余計な持ち込みを避けられます。孵化した幼虫が分散するため、卵鞘を増やした分だけ害虫が減るという単純な比例関係もありません。

益虫を残す庭づくり

生物的防除を庭で支える天敵保全では、益虫が食べる獲物、成虫が利用する蜜や花粉、身を隠す場所を季節を通じて残します。庭全体の管理で、荒れたままにする必要はありません。益虫の居場所と、植物の葉裏・枝先・株元を点検できる空間は両立します。

花の形と開花時期をずらす

花の種類だけでなく、咲く時期をずらすことが、蜜や花粉を利用する成虫の滞在を支えます。Oregon State University Extensionは、植物の種類、花の形、開花時期の多様性を、益虫を迎える鍵として挙げています。

小さな花が集まるタイプ、平らに開く花、筒状の花では、利用しやすい昆虫が異なります。春だけ一斉に咲く構成より、春・夏・秋に少しずつ花が続く構成のほうが、成虫の食物が途切れにくくなります。一年草か宿根草かにかかわらず、開花期を確認して組み合わせます。

株間が狭く風通しが悪いと、アブラムシが株から株へ移りやすくなります。植物本体は観察しやすい間隔を確保し、庭の一角に花や隠れ場所を残す分け方なら、益虫の保全と早期発見を両立できます。

アブラムシの飛来を抑える方法には、光を反射するシルバーマルチ AmazonYahoo!もあります。マルチは地温上昇や雨の跳ね返りを抑え、雑草管理にも役立ちますが、益虫を直接増やす資材ではありません。捕食者の保全とは別の予防策として組み合わせます。

害虫をゼロにしてから呼ぼうとしない

Oregon State University Extensionは「益虫を支えたい庭では、少数の害虫を許容する必要があります」と述べています(原文英語)。多くの捕食者は、餌となる虫が全くいない場所には残れません。

許容とは放置ではありません。新芽の変形、葉色の変化、食害穴が広がっていないかを記録し、植物の生育に影響しない範囲なら天敵の動きを観察します。増加が続く場合は手取り、剪除、水流など、対象を絞った方法へ移ります。

農薬は「使うか・使わないか」ではなく範囲で決める

農薬を使わないことだけが、益虫保全の正解ではありません。害虫の種類と発生場所を確認し、必要な範囲に必要な方法を使うことが大切です。広範囲の散布は、カマキリの幼虫だけでなく、ハナアブ、クモ、寄生蜂などにも影響する可能性があります。

先に葉1枚の除去や枝先だけの処置で済まないかを検討します。殺虫剤を選ぶ場合は、対象作物・対象害虫・使用時期をラベルで確認し、散布範囲を広げすぎません。

木酢液とニームオイルの使い方を確認する場合も、木酢液とニームオイルを「自然由来」という一語だけで同じものとして扱わないことが重要です。マイナビ農業は木酢液について、アブラムシを殺す力ではなく、虫が嫌う匂いを付ける予防目的と説明しています。目的と根拠を分けて選びます。

益虫だけに任せないIPMの判断基準

総合的病害虫管理(IPM)は、益虫だけに病害虫防除を任せる考え方ではなく、予防、観察、物理的防除、生物的防除、必要な化学的防除を組み合わせる判断の枠組みです。生物的防除には、捕食性昆虫だけでなく、土中の害虫幼虫に寄生する天敵線虫の利用も含まれます。農林水産省の総合防除実践ガイドラインも「予防・予察」に重点を置いています。

フロー図

図1:害虫を見つけた後に、益虫保全と人の作業を切り替えるIPM判断フロー。

病害虫対策と防除の完全ガイドの中でも、益虫活用は複数ある防除手段の一つです。害虫の発生前は過剰な窒素、混み合った枝葉、風通しを見直します。発生初期は葉裏を確認し、手取りや被害部の剪除を優先します。そのうえで捕食者が残れるなら観察を続け、被害が広がる場合だけ対象に合う方法へ進みます。

アブラムシの場合、マイナビ農業は0.8ミリ以下の目合いの防虫ネット 楽天AmazonYahoo!を挙げています。ただし、細かな網は通気性が下がるため、物理的防除にも条件があります。益虫・ネット・手取り・薬剤のどれか一つを万能視せず、植物の状態を基準に切り替えます。

このガイドで覚える3点

  1. カマキリは益虫ですが、害虫専門の捕食者ではありません。
  2. 小型害虫には、テントウムシ、ヒラタアブ幼虫、クサカゲロウ幼虫など、獲物と居場所が合う益虫を見ます。
  3. 被害が進む場合は、観察、手取り・剪除、必要範囲だけの薬剤という順で対応します。

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出典

  • gardening
  • pest-control
  • beneficial-insects

庭世界 編集部

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