益虫を活用した自然な害虫対策の方法
2026年2月6日

益虫を活用した環境に優しい害虫対策を詳しく解説。てんとう虫やカマキリなど代表的な益虫の特徴、庭への呼び込み方、購入・導入方法、成功事例まで網羅。化学農薬に頼らず持続可能なガーデニングを実現しましょう。IPMの考え方も紹介します。
益虫を活用した自然な害虫対策の方法
化学農薬に頼らず、自然の力で害虫を管理する方法が注目されています。益虫を活用することで、環境に優しく持続可能な害虫対策が可能になります。本記事では、益虫の種類、導入方法、そして効果的な活用法について詳しく解説します。
益虫とは?害虫を食べる自然の味方
益虫とは、農作物や園芸植物に害を与える害虫を捕食したり、受粉を助けたりする有益な昆虫のことです。化学農薬とは異なり、益虫は環境への負荷が少なく、人体への影響もほとんどありません。
世界的に見ても益虫への注目は高まっており、益虫市場は2024年に9億2200万ドルの規模となり、2032年までに27億7700万ドルに成長する見込みです(年平均成長率14.78%)。特にヨーロッパでは厳格な農薬規制と有機農業の普及により、2024年には世界市場の42%を占めています。
益虫を活用することで、病害虫対策と防除の完全ガイドでも紹介されているように、化学農薬に頼らない持続可能なガーデニングが実現できます。
代表的な益虫の種類と特徴
てんとう虫(ナナホシテントウなど)
てんとう虫はアブラムシを食べる益虫として最も有名です。一匹のてんとう虫は一生のうちに5000匹以上のアブラムシを捕食できるとされています。

主な特徴:
注意点: テントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウなど)は害虫なので、見分けが重要です。益虫のてんとう虫は光沢があり、斑点が少ないのに対し、テントウムシダマシは毛が生えており、斑点が多いのが特徴です。
カマキリ
カマキリは肉食性の昆虫で、幼虫時にはアブラムシやダニ類、成虫時にはバッタやカメムシなどの害虫を食べます。中国では180万匹以上のカマキリを放してカマキリ農法を実験した記録があり、農薬の使用を抑えつつ農作物の収量が増加するなど良い結果が得られました。
主な特徴:
- 大型の害虫も捕食できる
- 待ち伏せ型の狩りスタイル
- 卵のうから一度に多数の幼虫が孵化
注意点: カマキリは害虫だけでなく他の益虫も食べてしまうため、バランスを考えて導入する必要があります。
その他の重要な益虫
| 益虫名 | 主な捕食対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| クサカゲロウ | アブラムシ、ハダニ、小型幼虫 | 幼虫が特に食欲旺盛で「アブラムシライオン」と呼ばれる |
| ヒラタアブ | アブラムシ | 成虫は花粉を食べ、幼虫がアブラムシを捕食 |
| タマバエ(捕食性) | アブラムシ | 小型だが効率的にアブラムシを捕食 |
| ハナカメムシ | スリップス、ハダニ、小型害虫 | 体は小さいが捕食能力が高い |
| クモ類 | 多様な害虫 | 網を張るタイプと徘徊性のタイプがある |
| 寄生蜂 | チョウやガの幼虫 | 害虫の卵や幼虫に寄生して個体数を減らす |
詳しい害虫の種類については、病害虫対策と防除の完全ガイドをご覧ください。
益虫を庭に呼び込む方法
益虫を引き寄せる植物を育てる
益虫の多くは花の蜜や花粉を食べるため、小さな花を持つ植物を育てることで庭に呼び込むことができます。
益虫を引き寄せる植物:
- コリアンダー(パクチー)
- フェンネル
- ディル
- そば
- アリッサム
- マリーゴールド
- カモミール
- ラベンダー
これらのハーブを庭やベランダに植えることで、自然と益虫が集まる環境を作ることができます。
多様な環境を整える
益虫が住みやすい環境を作ることも重要です。
環境づくりのポイント:
- 落ち葉や小枝を残す場所を作る(越冬場所)
- 水場を設ける(小さな皿に水を入れるだけでも効果的)
- 農薬の使用を控える
- 多様な植物を育てる(単一栽培を避ける)
ガーデニングツール・資材の完全ガイドでは、益虫に優しいガーデニング資材についても紹介しています。
益虫の購入と導入方法
購入できる益虫
近年、インターネットや園芸店で益虫を購入できるようになりました。

一般的に販売されている益虫:
- てんとう虫(成虫・幼虫)
- クサカゲロウ(幼虫・卵)
- タマバエ(幼虫)
- ハナカメムシ
- 捕食性ダニ
- 寄生蜂
効果的な導入のタイミング
益虫は害虫が目立つ前に導入することが重要です。害虫が大量発生してから益虫を放しても、効果が限定的になってしまいます。
導入の最適タイミング:
- 害虫の発生初期段階
- 作物の定植直後
- 前年に害虫被害があった場合は予防的に早めに導入
導入時の注意点
益虫を購入して導入する際は、以下の点に注意しましょう。
注意すべきポイント:
- 益虫の種類と害虫の種類を合わせる(てんとう虫はアブラムシに、捕食性ダニはハダニに効果的)
- 導入後数日は農薬を使用しない
- 朝夕の涼しい時間帯に放す
- 複数回に分けて少しずつ放す方が定着しやすい
益虫活用の成功事例と効果
家庭菜園での活用例
家庭菜園では、てんとう虫やクサカゲロウを活用することで、化学農薬を使わずにアブラムシを管理できた事例が多数報告されています。特にナス科の野菜(トマト、ナス、ピーマンなど)ではアブラムシが発生しやすいため、益虫の効果が実感しやすいです。
商業農園での大規模活用
前述のカマキリ農法のほか、イチゴ栽培でのハナカメムシ導入、温室でのタマバエ利用など、商業規模での成功事例も増えています。これらの取り組みにより、農薬使用量を大幅に削減しながら品質と収量を維持できることが実証されています。
バラ園での活用
バラの育て方において、アブラムシは最も一般的な害虫の一つです。てんとう虫やクサカゲロウを導入することで、バラの新芽を守りながら美しい花を楽しむことができます。
益虫と化学農薬の使い分け
併用時の注意点
益虫を活用していても、緊急時には化学農薬が必要になる場合があります。その際は以下の点に注意しましょう。
農薬使用時の配慮:
- 益虫に影響の少ない選択性農薬を選ぶ
- 散布は益虫が活動しない夕方以降に行う
- 局所的に散布し、全面散布を避ける
- 散布後は一定期間、益虫の追加導入を控える
総合的病害虫管理(IPM)の考え方
益虫活用は、IPM(Integrated Pest Management:総合的病害虫管理)の重要な要素です。IPMでは、以下の順序で対策を行います。
まとめ:持続可能な害虫対策への第一歩
益虫を活用した自然な害虫対策は、環境に優しく、長期的に見てコストも抑えられる優れた方法です。てんとう虫やカマキリなどの益虫は、一度庭に定着すれば継続的に害虫を管理してくれます。
益虫活用のポイント再確認:
- 益虫を引き寄せる植物を育てる
- 多様な環境を整えて益虫が住みやすい庭を作る
- 害虫発生の初期段階で益虫を導入する
- 農薬使用は最小限に抑える
- IPMの考え方に基づいて総合的に対策する
化学農薬に頼らない持続可能なガーデニングを目指して、ぜひ益虫を活用してみてください。季節の園芸カレンダーを参考に、適切な時期に益虫を導入することで、より効果的な害虫対策が可能になります。
参考リンク:





