モダン和風庭園のデザインと現代的な演出
2026年2月6日

伝統と現代を融合させた和モダン庭園の作り方を徹底解説。引き算の美学、直線美、素材のコントラストなど5つのデザイン原則、最適な雑木・下草の選び方、施工例、費用相場、DIY手順まで、洗練された和モダン空間を実現する全技術を紹介します。
モダン和風庭園のデザインと現代的な演出
伝統的な日本庭園の美しさを保ちながら、現代の暮らしに調和する「和モダン庭園」が注目を集めています。シンプルでスタイリッシュ、それでいて心が落ち着く空間を実現できるモダン和風のデザインは、新築住宅からリフォームまで幅広く採用されています。本記事では、和モダン庭園の特徴から、具体的なデザインテクニック、施工のポイント、おすすめの植栽まで、実践的な情報を徹底解説します。
日本庭園と和の庭づくりの伝統を理解した上で、現代的な要素を取り入れることで、あなたの庭も洗練されたモダン和風空間に生まれ変わります。
和モダン庭園とは?伝統と現代の融合
和モダン庭園とは、日本庭園の伝統的なレイアウトや美意識を基盤としながら、現代的な素材やデザインを取り入れた庭のスタイルです。純粋な伝統的日本庭園が歴史的な真正性を重視するのに対し、和モダンは洋風の植物や現代的な建材を自由に組み合わせ、より創造的なアプローチを許容します。

和モダンと伝統的和風の違い
| 要素 | 伝統的和風庭園 | 和モダン庭園 |
|---|---|---|
| 素材 | 自然石、砂利、竹、松など | タイル、コンクリート、金属も使用 |
| 植栽 | 松、苔、紅葉など伝統的な植物 | 雑木、洋風植物も取り入れる |
| デザイン | 左右非対称、自然な曲線 | 直線的なライン、幾何学的要素 |
| 色使い | 緑、茶、灰色の自然色 | ナチュラルカラー+アクセントカラー |
| 手入れ | 高度な剪定技術が必要 | メンテナンスしやすい設計 |
現代の住宅環境では、造園・ガーデンデザインの基本を押さえつつ、和モダンのアプローチを取り入れることで、機能性と美しさを両立できます。
和モダン庭園の5つの核心デザイン原則
モダン和風庭園を成功させるには、以下の5つの原則を理解することが不可欠です。

原則1:「引き算」の美学 - 余白を活かす
和モダンデザインで最も重要なのは「何を配置するか」ではなく「何を配置しないか」です。あれもこれもと要素を詰め込むとごちゃごちゃし、せっかくの和風モダンの良さが失われます。
実践ポイント:
- 庭の30~40%は空間として残す
- 植栽は3~5種類に絞り、リピートさせる
- 装飾的な要素は最小限にする
余白があることで、一つひとつの素材や植物の存在感が際立ち、洗練された印象が生まれます。
原則2:直線美 - ラインの強調
和風モダンデザインの要とも言えるのが、直線的な「ライン」の美しさを活かすことです。特に、縦や横のラインを強調する「格子」のデザインは、空間をすっきりと見せ、モダンな印象を与えます。
具体例:
- 竹垣を格子デザインにする
- 飛び石を直線的に配置
- 塀やフェンスに横ラインを強調
- 床面のタイルを縦横のグリッドで配置
エクステリア・外構工事でも、この直線美を意識することで、モダンな統一感が生まれます。
原則3:素材のコントラスト - 伝統と現代の対比
モダン和風では、伝統的な素材と現代的な素材を対比させることで、独特の緊張感と調和を作り出します。
効果的な組み合わせ:
- 自然石 × コンクリート
- 竹 × ステンレス
- 苔 × 白い砂利
- 木材 × タイル
例えば、庭石と砂利の使い方で学んだ伝統的な石組に、現代的なタイルを組み合わせることで、和モダンならではの美しさが生まれます。
原則4:色彩の抑制 - ナチュラルカラーの徹底
和モダンの基本カラーは、ベージュ、ブラウン、グレーなどのナチュラルカラーです。これに植栽や芝、苔の緑を加え、全体として落ち着いたトーンでまとめます。
カラーパレット:
- ベースカラー:ベージュ、グレー、白(面積の60~70%)
- サブカラー:ブラウン、黒(面積の20~30%)
- アクセントカラー:深緑、濃紺(面積の5~10%)
カラフルな花を大量に植えるのではなく、樹木そのものの形や葉色の変化を楽しむのが和モダンの特徴です。
原則5:Wabi-SabiとKanso - 日本的美意識の継承
現代的な見た目でも、和モダンには日本の伝統的な美意識が息づいています。
- Wabi-Sabi(侘寂):不完全さ、経年変化を美しいと捉える
- Kanso(簡素):シンプルさ、ミニマリズムの追求
これらの原則により、バランス、静寂、ミニマリズムを表現し、見る人の心を落ち着かせる空間が生まれます。
和モダン庭園の主要構成要素
モダン和風庭園を構成する具体的な要素を見ていきましょう。

現代的な飛び石とアプローチ
伝統的な庭園では自然石の飛び石が使われますが、和モダンでは現代的な素材を活用します。
モダンな選択肢:
- 切り石タイル(四角や長方形)
- コンクリート平板
- 木製デッキ材
- 大理石スラブ
これらを直線的に配置することで、スタイリッシュな印象を作り出せます。間隔は歩幅に合わせて60~70cm程度が理想的です。
格子フェンスと竹垣の現代的解釈
和モダンのフェンスや塀は、伝統的な竹垣の要素を残しながら、現代的な素材で再解釈します。
デザインアイデア:
木製フェンスの設置のテクニックを応用しながら、より直線的でモダンなデザインを実現できます。
水の要素 - ミニマルな水景
水のある庭は和風庭園の重要な要素ですが、和モダンではよりシンプルに表現します。
現代的な水景デザイン:
- 四角い石盤の水鉢
- 直線的な水路
- 壁面からの水流
- 浅い長方形の池
伝統的な池泉庭園と異なり、幾何学的な形状を活かし、水面の静けさを強調します。
照明 - 夜の演出
和モダン庭園では、照明が重要な役割を果たします。
効果的な照明テクニック:
- 地面からのアップライトで樹木をライトアップ
- 間接照明で格子や壁面を照らす
- LED埋め込みライトで飛び石を演出
- 水面への反射を利用した幻想的な光
夜になると、昼間とは異なる表情を見せる庭を実現できます。
和モダン庭園に最適な植栽選び
和モダン庭園では、花よりも樹木の形や葉の美しさを重視します。

雑木類 - 和モダンの主役
おすすめの雑木:
| 樹種 | 特徴 | 適した場所 | 樹高 |
|---|---|---|---|
| アオダモ | 白い樹肌、繊細な葉 | シンボルツリー | 3~8m |
| イロハモミジ | 紅葉が美しい、涼しげな樹形 | 主木、アクセント | 2~5m |
| ソヨゴ | 常緑、赤い実、丈夫 | 目隠し、主木 | 3~7m |
| ハイノキ | 繊細な枝ぶり、白い花 | シンボルツリー | 3~6m |
| ヤマボウシ | 花と紅葉両方楽しめる | シンボルツリー | 3~7m |
これらの雑木は、庭木・シンボルツリーの選び方でも推奨される、和モダンに最適な樹種です。
下草と地被植物
樹木の足元を彩る下草も重要です。
和モダンに合う下草:
- ギボウシ(ホスタ):葉の形と色が美しい、日陰に強い
- リュウノヒゲ(竜のひげ):細い葉が密生、グランドカバー
- フッキソウ:常緑、日陰でも育つ
- タマリュウ:小型のリュウノヒゲ、飛び石の間に最適
- 斑入りヤブラン:葉に白い斑、明るい印象
グランドカバー・下草の選び方を参考に、手入れの少ない品種を選びましょう。
苔と芝生の使い分け
苔:
- 日陰や湿った場所に適している
- 手入れが少なく、和の雰囲気を強調
- スギゴケ、ハイゴケが一般的
芝生:
- 日当たりの良い広い空間向き
- 芝生の手入れと管理が必要
- モダンな印象を作りやすい
和モダンでは、芝生を直線的にカットし、エッジを明確にすることで、よりスタイリッシュな印象を作れます。
施工例から学ぶ和モダンデザイン
例1:小さな坪庭のモダン化
Before: 伝統的な苔と石だけの坪庭
After:
- コンクリート板と自然石のミックス
- 竹の代わりにアルミ製縦格子
- シンプルな水鉢(四角)
- 間接照明で夜も美しく
効果:狭い空間でも圧迫感がなく、モダンで開放的な印象に。
例2:前庭のアプローチ
Before: 雑然とした植栽と曲がりくねった飛び石
After:
- 直線的な切り石タイルのアプローチ
- 左右に低木(ソヨゴ)を対称配置
- 白砂利で余白を強調
- 黒い砂利でラインアクセント
効果:来客を迎える洗練された空間に変身。
例3:庭全体のリノベーション
Before: 古い松の木中心の和風庭園
After:
- 松は残しつつ、足元に雑木(アオダモ、イロハモミジ)を追加
- 池を長方形に改造
- デッキを追加し、庭を眺めるスペースを確保
- 格子フェンスで隣家からの目隠し
効果:伝統を尊重しながら、使いやすく現代的な庭に。
和モダン庭園の施工費用と予算
費用相場
| 庭のサイズ | 簡易施工 | 標準施工 | 高級施工 |
|---|---|---|---|
| 10㎡(小) | 20~40万円 | 50~80万円 | 100万円~ |
| 30㎡(中) | 60~100万円 | 120~200万円 | 250万円~ |
| 50㎡(大) | 100~180万円 | 200~350万円 | 400万円~ |
費用に含まれる主な項目:
- 既存庭の撤去・整地
- 植栽(樹木、下草)
- 飛び石・タイル施工
- 砂利敷き
- フェンス・塀の設置
- 照明工事
造園工事をプロに依頼する際の費用相場も参考にしてください。
コストダウンのポイント
- DIYと業者依頼の使い分け
- 砂利敷き、下草の植栽 → DIY可能
- 樹木の植栽、フェンス施工 → 業者推奨
- 植栽を少なくする
- 大きな樹木は2~3本に絞る
- 余白を活かすデザインでコスト減
- 素材選び
- 高価な御影石より、コンクリート製品を活用
- 天然木より人工木材でメンテナンス費削減
メンテナンスのポイント
和モダン庭園の大きなメリットは、メンテナンスのしやすさです。
年間の手入れスケジュール
春(3~5月)
- 雑木の軽い剪定
- 下草の株分けと追加植栽
- 土づくりと肥料の施肥
夏(6~8月)
- 芝生の刈り込み(月2回)
- 水やり管理
- 害虫チェック
秋(9~11月)
- 落ち葉の清掃
- 樹木の整枝剪定
- 球根植物の植え付け
冬(12~2月)
- 剪定・整枝の本格実施
- 寒肥の施肥
- 照明のメンテナンス
手入れを楽にする工夫
- 防草シート+砂利で雑草対策
- 自動散水システムの導入
- 病害虫に強い品種選び
- 剪定の少ない樹種の採用
DIYで和モダン庭園を作る手順
ステップ1:設計図の作成
- 庭の寸法を測定
- 配置したい要素をリストアップ
- スケッチを描く(方眼紙推奨)
ステップ2:ゾーニング
- アプローチゾーン
- 鑑賞ゾーン
- 余白ゾーン
この3つを明確に分け、それぞれの機能を決定します。
ステップ3:地面の整備
- 既存の雑草・植物を除去
- 地面を平らにする
- 防草シートを敷設
ステップ4:主要素材の設置
- 飛び石・タイルの配置
- フェンス・格子の設置
- 水鉢や水景の設置(必要に応じて)
ステップ5:植栽
- シンボルツリーを植える
- 下草を配置
- 砂利を敷く
ステップ6:仕上げ
- 照明の設置
- 細部の調整
- 初期メンテナンス
DIY庭づくりの手順とアイデア集では、さらに詳細な実践テクニックを紹介しています。
まとめ:和モダン庭園で現代的な癒しの空間を
和モダン庭園は、日本の伝統美と現代のライフスタイルを見事に融合させたデザインです。「引き算」の美学、直線美、素材のコントラスト、抑制された色彩、そして日本的美意識の5つの原則を守ることで、洗練された癒しの空間が生まれます。
雑木を中心とした植栽選び、現代的な素材の活用、メンテナンスのしやすさを考慮した設計により、忙しい現代人でも美しい庭を保つことができます。まずは小さな坪庭や前庭から、和モダンのエッセンスを取り入れてみてはいかがでしょうか。
参考リンク:





