うどんこ病の原因と治療・予防方法
2026年2月6日

うどんこ病の原因、症状、治療法、予防策を詳しく解説。重曹や酢を使った無農薬対策から、トップジンMやダコニールなどの効果的な薬剤まで、初心者にもわかりやすく紹介します。春と秋に発生しやすいうどんこ病から大切な植物を守りましょう。
うどんこ病の原因と治療・予防方法
ガーデニングや家庭菜園を楽しんでいる方なら、葉に白い粉をまぶしたような症状を見たことがあるかもしれません。これが「うどんこ病」と呼ばれる植物の病気です。うどんこ病は、小麦粉のような白い粉状のカビが葉や茎に付着する病気で、放置すると植物の生育を大きく妨げてしまいます。本記事では、うどんこ病の原因、治療方法、そして効果的な予防策について、初心者の方にもわかりやすく解説します。
うどんこ病とは?症状と特徴
うどんこ病は、カビ(糸状菌)が原因で発生する植物の病気です。葉や茎の表面に、まるで小麦粉やベビーパウダーをまぶしたような白い粉状の病斑が現れるのが特徴です。初期段階では小さな白い斑点として現れますが、次第に広がり、最終的には葉全体を覆ってしまうこともあります。
この白い粉の正体は、カビの菌糸と胞子です。カビは葉や茎の表面に菌糸を伸ばし、植物の栄養を吸い取りながら成長します。うどんこ病は世界中の主要な作物、穀物、ブドウ、果物、野菜などに影響を与える深刻な病害として知られています。
うどんこ病にかかると、光合成が妨げられるため、植物の成長が悪くなり、葉が黄色く変色したり、枯れてしまったりします。花や実をつける植物の場合、収穫量が減少したり、品質が低下したりする原因にもなります。
バラ、きゅうり、かぼちゃ、イチゴ、トマト、ハーブ類など、多くの植物がうどんこ病にかかりやすいとされています。病害虫対策と防除の完全ガイドでは、うどんこ病を含むさまざまな病害虫への対処法を詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
うどんこ病の原因
環境要因
うどんこ病の原因となるカビは、他の多くのカビとは異なる特徴を持っています。それは、湿度が低く、冷涼な環境を好むという点です。そのため、春(4月〜6月)や秋(9月〜11月)に特に発生しやすく、梅雨の時期や真夏の高温多湿な環境では、逆に発生が少なくなります。

うどんこ病菌は湿度が低く冷涼な環境を好むため、春と秋に特に注意が必要です。曇りの日が続いたり、朝晩の気温差が大きい時期は要注意です。
栽培管理の問題
環境要因だけでなく、日々の栽培管理もうどんこ病の発生に大きく関わっています。
| 発生原因 | 詳細 | 対策 |
|---|---|---|
| 窒素過多 | 窒素肥料を与えすぎると、葉が柔らかく茂りすぎて病気にかかりやすくなる | バランスの取れた施肥を心がける |
| 密植 | 植物を密に植えると風通しが悪くなり、湿気がこもりやすい | 適切な株間を確保する |
| 通気不足 | 枝葉が茂りすぎて風が通らない | 定期的な剪定で風通しを改善 |
| 日照不足 | 日当たりが悪いと植物の抵抗力が低下する | 日当たりの良い場所で育てる |
土づくり・堆肥・肥料の基礎知識と実践ガイドでは、適切な施肥について詳しく学ぶことができます。
菌の特性
うどんこ病の原因菌は偏性寄生菌(obligate biotrophic parasites)であり、生きた植物細胞からしか栄養を得ることができません。そのため、植物を直接枯死させるのではなく、じわじわと栄養を吸い取りながら繁殖していくのが特徴です。
うどんこ病の治療方法
無農薬・自然派の治療法
発生初期であれば、化学農薬を使わずに対処することも可能です。家庭にある身近な材料で作れる治療液を紹介します。

重曹スプレー
重曹(炭酸水素ナトリウム)には、うどんこ病菌の胞子の形成や発芽を抑える効果があります。重曹には胞子の形成や発芽、発生を抑える作用があるため、うどんこ病の早期対策に有効とされています。
- 水500ccに対して重曹1g(小さじ1/4程度)を溶かす
- よく混ぜてスプレーボトルに入れる
- 病気が出ている株全体に、葉の表裏にしっかりスプレーする
- 週に1〜2回程度、症状が改善するまで続ける
酢スプレー
食用の酢を希釈したスプレーも効果的です。
- 水1リットルに対して食用酢15〜20ml(大さじ1〜1.5杯)を混ぜる
- 早朝や夕方の涼しい時間帯にスプレーする
- 直射日光が強い時間帯は避ける(葉焼けの原因になる)
薬剤を使った治療法
症状が進行している場合や、確実に治療したい場合は、専用の殺菌剤を使用します。
おすすめの殺菌剤
| 薬剤名 | 特徴 | 対象植物 |
|---|---|---|
| トップジンM水和剤 | 速効性と残効性があり、幅広い作物に使える基幹防除剤 | 野菜、果樹、花卉 |
| ダコニール | 主成分TPN(クロロタロニル)は50年以上使われているが耐性菌が出にくい | 野菜、果樹、芝生 |
| カリグリーン | 炭酸水素カリウムが主成分で、食品添加物レベルの安全性 | 野菜、果樹、バラ |
| STサプロール乳剤 | 発生初期に効果的、バラやきゅうりなどに | バラ、野菜 |
| ベニカXシリーズ | スプレータイプで使いやすい、害虫との同時防除も可能 | 花卉、バラ、野菜 |
これらの薬剤はうどんこ病に対して高い効果を持ち、定期的な予防散布や激発時のまん延防止に優れた効果を発揮します。
薬剤使用の注意点
うどんこ病菌は薬剤耐性が発生しやすい病原菌です。そのため、同じ系統の薬剤を使い続けると、効果が薄れてくる可能性があります。予防策として、RACコードの異なる薬剤をローテーションで使用することが推奨されています。
例えば、トップジンM(RACコード1)とダコニール(RACコードM5)を交互に使用するといった方法です。
物理的な対処法
- 発病した葉の除去:症状が出ている葉は、すぐに取り除いて処分します(他の植物に広がるのを防ぐため、ゴミとして捨てる)
- 株全体への散布:1株だけに症状が出ていても、既に他の株にも菌が寄生している可能性があるため、全体に薬剤を散布する
うどんこ病の予防方法
治療よりも予防が重要です。日頃から以下の予防策を実践しましょう。

栽培環境の改善
風通しの確保
風通しが悪い環境はうどんこ病の発生を助長します。
- 植物同士の間隔を適切に保つ(密植を避ける)
- 余分な葉や脇芽をこまめに摘み取る
- ハウス栽培では適切な換気を行う
剪定・整枝の技術完全ガイドでは、風通しを良くするための剪定方法を詳しく解説しています。
適切な施肥管理
窒素肥料の与えすぎは、植物を軟弱にし、病気にかかりやすくします。窒素・リン酸・カリウムのバランスが取れた肥料を、適量使用しましょう。
日当たりの確保
日光は植物の免疫力を高めます。できるだけ日当たりの良い場所で栽培し、鉢植えの場合は定期的に位置を調整しましょう。
予防的な薬剤散布
うどんこ病が発生しやすい春と秋には、発生前から予防的に薬剤を散布するのも効果的です。
- 月に1〜2回程度、予防効果のある殺菌剤を散布
- カリグリーンなどの自然由来の薬剤を定期的に使用
- 病気が出やすい品種や、過去に発生した場所では特に注意
抵抗性品種の選択
植物の中には、うどんこ病に強い品種があります。バラやきゅうりなどを選ぶ際には、「うどんこ病耐病性」などの表示がある品種を選ぶのも良い方法です。
バラの育て方完全ガイドや家庭菜園・野菜づくりの完全ガイドでは、病気に強い品種の選び方も紹介しています。
水やり方法の工夫
- 葉に水をかけるのではなく、株元に水を与える
- 朝のうちに水やりを済ませる(夕方の水やりは湿度を高めてしまう)
- 水はけの良い土を使用する
水やり・灌漑システムの完全ガイドでは、植物に適した水やり方法を詳しく学ぶことができます。
よくある質問
Q: うどんこ病は人間に害がありますか?
A: うどんこ病は植物の病気であり、人間には害がありません。ただし、薬剤を使用する場合は、取扱説明書に従い、適切な保護具を着用しましょう。
Q: うどんこ病にかかった野菜は食べられますか?
A: 軽度の場合、発病した葉を取り除けば食べることは可能です。ただし、品質や味は低下している可能性があります。収穫前に薬剤を使用した場合は、使用基準に従った収穫前日数を守りましょう。
Q: うどんこ病は土壌から感染しますか?
A: うどんこ病菌は主に空気中を漂う胞子によって感染します。土壌からの感染は少ないですが、発病した葉が土に落ちると、そこから胞子が飛散する可能性があります。
まとめ
うどんこ病は、ガーデニングや家庭菜園で最も遭遇しやすい病気の一つです。しかし、原因を理解し、適切な予防と治療を行えば、十分に管理できる病気でもあります。
重要なポイントをまとめると:
- うどんこ病は白い粉状のカビが特徴で、春と秋に発生しやすい
- 窒素過多、密植、風通しの悪さが主な原因
- 発生初期なら重曹や酢でも対処可能
- 症状が進んだらトップジンMやダコニールなどの殺菌剤が有効
- 薬剤耐性を避けるため、異なる系統をローテーションで使用
- 予防が最も重要:風通し、適切な施肥、予防散布を心がける
日頃から植物の様子をよく観察し、早期発見・早期対処を心がけましょう。季節の園芸カレンダー:月別・季節別ガイドを参考に、時期に応じた適切な管理を行うことで、健康な植物を育てることができます。





