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グランドカバー・下草の選び方と育て方ガイド

斜面・法面に最適なグランドカバーの選び方

2026年2月6日

斜面・法面に最適なグランドカバーの選び方

斜面や法面の土壌侵食を防ぐグランドカバーの選び方を徹底解説。ヒメイワダレソウ、クリーピングタイム、リュウノヒゲなど根張りの強い植物の特徴と、傾斜角度や日照条件に合わせた選び方、植え付け方法、管理のポイントを紹介します。

斜面・法面に最適なグランドカバーの選び方

斜面や法面のガーデニングは、平地とは異なる特別な配慮が必要です。適切なグランドカバー植物を選ぶことで、土壌の侵食を防ぎ、美しい景観を作り出すことができます。この記事では、斜面・法面に最適なグランドカバーの選び方と管理のポイントを詳しく解説します。

斜面・法面にグランドカバーが必要な理由

斜面や法面は、雨水による土壌流出や風による侵食のリスクが高い環境です。法面に植えられるグランドカバープランツには、大雨による土壌の流出・侵食・風による飛砂を防ぐ役割が求められます。

グランドカバーを植えることで得られる主なメリットは以下の通りです:

環境省の調査によれば、適切な法面緑化により、土壌の温度が最大5〜7度低下することが確認されています。

斜面・法面に適したグランドカバーの条件

斜面や法面でグランドカバーとして機能するには、以下の特性を持つ植物が理想的です。

斜面・法面に適したグランドカバーの条件 - illustration for 斜面・法面に最適なグランドカバーの選び方
斜面・法面に適したグランドカバーの条件 - illustration for 斜面・法面に最適なグランドカバーの選び方

深い根張り

深く根を張る植物は急斜面の安定化に重要で、土壌に深く根を張ることで植物を固定し土壌流出のリスクを軽減します。根が40〜60cm以上伸びる植物が特に効果的です。

早い被覆速度

斜面では早期に地表を覆うことが重要です。生育が早く、匍匐して広がる性質を持つ植物が適しています。理想的には、植え付けから2〜3ヶ月で地表の50%以上を被覆できる種類が望ましいでしょう。

環境適応性

斜面特有の環境条件に適応できる必要があります:

条件必要な特性理由
乾燥耐性高い斜面は水が流れやすく乾燥しがち
耐寒性中〜高冬季の霜や寒風にさらされやすい
耐暑性中〜高南向き斜面は高温になりやすい
耐陰性中程度以上傾斜角度により日照条件が変化
踏圧耐性あれば尚可メンテナンス時の通行に耐える

低管理性

草丈は最長5cm程度なので危険な草刈は必要ありませんという特性を持つ植物が理想的です。斜面での作業は危険を伴うため、頻繁な手入れが不要な植物を選びましょう。

おすすめのグランドカバー植物

ヒメイワダレソウ(リッピア)

斜面・法面に最もおすすめのグランドカバーです。2カ月半で法面を完全に被覆でき、根が40〜60cm程度長いので傾斜のきつい法面でもしっかり保護できるという優れた特性を持ちます。

おすすめのグランドカバー植物 - illustration for 斜面・法面に最適なグランドカバーの選び方
おすすめのグランドカバー植物 - illustration for 斜面・法面に最適なグランドカバーの選び方

特徴

  • 草丈:3〜5cm
  • 開花期:5〜10月(白やピンクの小花)
  • 日照:日向〜半日陰
  • 被覆速度:非常に早い
  • 管理:ほとんど不要

ヒメイワダレソウについて詳しくはヒメイワダレソウの育て方と管理のポイントをご覧ください。

クリーピングタイム

生育旺盛で育てやすく、初期の生育が良く、水やりもそこまで必要なく初心者向きです。香りも楽しめる人気のグランドカバーです。

特徴

  • 草丈:5〜10cm
  • 開花期:5〜7月(ピンク、白、紫)
  • 日照:日向
  • 被覆速度:早い
  • 管理:低〜中

詳細はクリーピングタイムの育て方と庭での活用をご参照ください。

リュウノヒゲ(ジャノヒゲ)

常緑で和風の雰囲気に合う植物です。日陰にも強く、根がしっかり張るため斜面の安定化に効果的です。

特徴

  • 草丈:10〜20cm
  • 開花期:7〜8月(小さな紫の花)
  • 日照:半日陰〜日陰
  • 被覆速度:やや遅い
  • 管理:非常に低い

リュウノヒゲについてはリュウノヒゲ・タマリュウの育て方と使い方で詳しく解説しています。

ビンカミノール(ツルニチニチソウ)

常緑で、緑色の葉っぱがきれいで、春には青紫の花が咲き、観賞価値の高いグランドカバーです。

特徴

  • 草丈:10〜20cm
  • 開花期:4〜6月(青紫)
  • 日照:半日陰〜日陰
  • 被覆速度:早い
  • 管理:低

セダム類

多肉質で乾燥に強く、多様な品種があります。日当たりの良い斜面に最適です。

特徴

  • 草丈:5〜15cm(品種による)
  • 開花期:品種により異なる
  • 日照:日向
  • 被覆速度:中〜早い
  • 管理:非常に低い

セダムの活用法はセダムをグランドカバーとして活用する方法で詳しく紹介しています。

傾斜角度別の植物選び

斜面の傾斜角度によって、適した植物が異なります。

緩傾斜(15度未満)

ほとんどのグランドカバー植物が使用できます。景観性を重視した選択が可能です:

中傾斜(15〜30度)

根張りが良く、被覆速度の早い植物を選びます:

  • ヒメイワダレソウ
  • クリーピングタイム
  • セダム類

急傾斜(30度以上)

特に根張りが深く、土壌保持力の高い植物が必要です:

  • ヒメイワダレソウ
  • リュウノヒゲ
  • ビンカミノール

アグリサーチャーの研究によれば、30度を超える急傾斜では、根の長さが50cm以上に達する植物の使用が推奨されています。

日照条件による選び方

日向の斜面(6時間以上の直射日光)

  • クリーピングタイム
  • ヒメイワダレソウ
  • セダム類
  • 芝桜

日当たりの良い斜面では、乾燥に強い植物を選ぶことが重要です。

半日陰の斜面(3〜6時間の日光)

  • リュウノヒゲ
  • ビンカミノール
  • アジュガ
  • ハツユキカズラ

日陰の斜面(3時間未満の日光)

  • リュウノヒゲ
  • ビンカミノール
  • フッキソウ
  • ギボウシ(小型種)

日陰に強いグランドカバーについては日陰に強いグランドカバー植物のおすすめで詳しく解説しています。

植え付けと初期管理

植え付け時期

  • 春植え:3月下旬〜5月
  • 秋植え:9月下旬〜11月上旬

斜面では、雨季前の植え付けが理想的です。春植えの場合は梅雨前、秋植えの場合は秋雨の時期に合わせると、灌水の手間が省けます。

植え付けと初期管理 - illustration for 斜面・法面に最適なグランドカバーの選び方
植え付けと初期管理 - illustration for 斜面・法面に最適なグランドカバーの選び方

植え付け手順

  1. 土壌の準備

- 雑草を完全に除去

- 必要に応じて腐葉土や堆肥を混入(土壌改良については土づくり・堆肥・肥料の基礎知識と実践ガイド参照)

- 急傾斜の場合は、植え付け前に侵食防止マットの設置を検討

  1. 植え付け密度

- 緩傾斜:4〜9株/㎡

- 中傾斜:9〜16株/㎡

- 急傾斜:16〜25株/㎡

  1. 植え付け方法

- 千鳥状に配置すると均一に広がります

- 斜面上部から植え始めます

- 植え穴に水を入れてから植え付けると活着が良くなります

  1. マルチング

- 植え付け後、株元に薄くマルチング

- わらや刻んだ樹皮が適しています

- 土壌の流出防止と乾燥対策になります

詳しい植え付け方法はグランドカバーの植え付けと初期管理のコツをご覧ください。

初期管理(植え付け後1年間)

植え付け後の初期管理が成功の鍵です:

灌水

  • 植え付け後2週間は毎日〜2日に1回
  • その後1ヶ月は週2〜3回
  • 定着後は降雨のみでOK(乾燥が続く場合を除く)

除草

施肥

  • 植え付け時に緩効性肥料を施用
  • 生育期(5〜9月)に月1回液肥を与えると生育が促進

補植

  • 枯れた株があれば速やかに補植
  • 被覆にムラがある部分も追加植え付け

複数種の組み合わせ

単一種の植え込み(モノカルチャー)は避け、複数種を群植することで病害虫リスクを分散することが推奨されます。

組み合わせ例

日向の斜面

  • ヒメイワダレソウ(主体、60%)+ セダム類(30%)+ クリーピングタイム(10%)

半日陰の斜面

  • リュウノヒゲ(50%)+ ビンカミノール(30%)+ アジュガ(20%)

花を楽しむ組み合わせ

  • 芝桜(40%)+ クリーピングタイム(30%)+ セダム類(30%)

花が咲くグランドカバーについては花が咲くグランドカバー植物の品種紹介で詳しく紹介しています。

混植のメリット

  • 病害虫リスクの分散
  • 季節ごとの見どころの創出
  • 生物多様性の向上
  • 環境変化への適応力向上

メンテナンスと長期管理

年間管理スケジュール

時期作業内容
3〜4月追肥、枯れた部分の補植
5〜6月必要に応じて軽い刈り込み
7〜8月乾燥時の灌水
9〜10月追肥、必要に応じて株分け
11〜2月落ち葉の除去

トラブル対処

被覆にムラができた場合

  • 生育の良い部分から株を採取して補植
  • 光条件や水はけを再確認し、必要に応じて改善

雑草が目立つ場合

  • 早期に抜き取る
  • 被覆密度を高めるため、追加植栽を検討

病害虫が発生した場合

リフレッシュ

植え付け後5〜7年で、株が老化し生育が衰えることがあります。その場合は:

  • 株の一部を掘り上げて株分け
  • 古い株を除去し、新しい株を植栽
  • 土壌改良を行って再植栽

まとめ

斜面・法面のグランドカバー選びでは、以下のポイントを押さえましょう:

  1. 深い根張り早い被覆速度を持つ植物を選ぶ
  2. 傾斜角度日照条件に合った植物を選定
  3. 単一種ではなく複数種を組み合わせることでリスク分散
  4. 適切な植え付け密度で早期被覆を実現
  5. 初期管理を徹底して確実に定着させる

特に急傾斜ではヒメイワダレソウやリュウノヒゲなど、根張りが深く土壌保持力の高い植物がおすすめです。植え付け後1年間の管理を丁寧に行うことで、長期にわたって美しく機能的な斜面緑化が実現できます。

その他のグランドカバーについてはグランドカバーの種類と庭に合った選び方や、グランドカバーの親記事であるグランドカバー・下草の選び方と育て方ガイドもご参照ください。

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