クレマチスの育て方:基本から応用まで
2026年2月6日

「つる植物の女王」クレマチスの育て方を徹底解説。深植えの方法、品種別剪定テクニック、水やり・肥料管理、病害虫対策まで、初心者から上級者まで役立つ実践的な栽培ガイドです。年間100輪以上咲かせるコツも紹介。
クレマチスの育て方:基本から応用まで
クレマチスは「つる植物の女王」と呼ばれ、世界中で愛されている人気の園芸植物です。300種類以上の原種と、数百にも及ぶ園芸品種が存在し、その美しい花姿と多様な品種は、初心者からベテランガーデナーまで幅広い層に支持されています。本記事では、クレマチスの基本的な育て方から、より美しく咲かせるための応用テクニックまで、包括的に解説します。
クレマチスの基本特性を理解する
クレマチスを上手に育てるためには、まずその基本的な特性を理解することが重要です。クレマチスには「1年目は眠り、2年目は這い、3年目は躍る」という成長パターンがあります。これは、最初の年はゆっくりと根を張り、2年目で徐々に成長し、3年目になると急速に伸びて花を咲かせることを意味しています。
クレマチスは日光を好む植物ですが、根は冷たく湿った環境を好むという独特の性質を持っています。最低でも6時間の日照が必要ですが、株元は涼しく保つ必要があります。この特性を理解することが、クレマチス栽培成功の第一歩となります。
また、クレマチスは品種によって花芽のつき方が異なり、「旧枝咲き」「新枝咲き」「新旧枝咲き」の3つのタイプに分類されます。このタイプによって剪定方法や管理方法が大きく異なるため、購入時には必ず確認しましょう。詳しい剪定テクニックについては剪定・整枝の技術完全ガイドも参考にしてください。
植え付けと土づくりの基本
クレマチスの植え付けは、適切な時期と方法で行うことが重要です。最も適した時期は、休眠期の12月から2月中旬ですが、真夏を除けば一年中植え付けが可能です。
植え付けの最大のポイントは「深植え」です。つるの1~2節分を土中に埋めることで、地下での枝分かれと根の発達を促し、丈夫な株に育ちます。植え穴は根鉢の2~3倍の幅と、数インチ深めに掘り、クラウン(茎と根の境目)が地表から約10センチ下になるようにします。
土づくりも重要な要素です。クレマチスは水はけの良い、中性に近い土壌を好みます。庭植えの場合は、掘り上げた土に腐葉土や堆肥を混ぜ込み、排水性と保水性を兼ね備えた土にします。鉢植えの場合は、市販の培養土に赤玉土や腐葉土を混ぜると良いでしょう。土づくりの詳細については土づくり・堆肥・肥料の基礎知識と実践ガイドをご覧ください。
| 土壌条件 | 推奨値・状態 |
|---|---|
| pH値 | 6.5~7.0(中性~弱アルカリ性) |
| 排水性 | 良好(水溜まりしない) |
| 有機質含有量 | 豊富(腐葉土・堆肥混入) |
| 土の深さ | 最低30cm以上 |
水やりと肥料管理のコツ
クレマチスの水やりは、生育ステージによって調整が必要です。特につぼみをつける時期から開花時期にかけては、多量の水を必要とします。水切れを起こすと生育が停止したり、花が本来の形で咲かなかったりするため、こまめにたっぷりと水を与えることが重要です。
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと与え、鉢底から水が流れ出るまで与えます。庭植えの場合も、乾燥が続く時期には週に2~3回、株元にたっぷりと水を与えましょう。ただし、根が湿った状態を好むからといって、常に水浸しの状態は避けてください。過湿は根腐れの原因となります。
肥料管理も品種によって異なります。旧枝咲きのクレマチスは特に肥料を必要とし、2~3ヶ月に1回の緩効性粒状肥料と、月に2回程度の液体肥料が推奨されます。新枝咲きや新旧枝咲きの品種は、春と秋の年2回の施肥で十分です。
生育期(3月~10月)は、定期的に液体肥料を与えることで、花つきが良くなります。開花期には、リン酸分の多い肥料を与えると、花色が鮮やかになり、花持ちも良くなります。
剪定と誘引の実践テクニック
クレマチスの剪定は、品種のタイプによって方法が大きく異なります。間違った時期や方法で剪定すると、その年の花が咲かなくなることもあるため、慎重に行いましょう。

旧枝咲きタイプ(早咲き大輪系など)は、前年に伸びた枝に花芽をつけるため、剪定は最小限にします。花後に枯れた花を取り除く程度で、強い剪定は避けます。
新枝咲きタイプ(ジャックマニー系、テクセンシス系など)は、その年に伸びた新しい枝に花をつけるため、冬から早春(2~3月)に地際から2~3節を残して強剪定します。これが最も管理しやすく、初心者におすすめのタイプです。
新旧枝咲きタイプは、古い枝にも新しい枝にも花をつけるため、花後に軽く剪定し、冬には枯れた部分や弱った枝を取り除く程度にします。
誘引(つるの仕立て方)もクレマチス栽培の重要な要素です。クレマチスは葉柄を絡ませながら成長するつる植物なので、支柱やトレリス、フェンスなどに誘引します。誘引の際は、つるを無理に曲げず、自然な形で這わせていくのがコツです。オベリスクやアーチに這わせると、立体的で美しい景観を作ることができます。
定期的に全体のバランスを見ながら、新しく伸びたつるを誘引していくことで、より美しく整った姿に育ちます。詳しい技術は剪定・整枝の技術完全ガイドで詳しく解説しています。
病害虫対策と予防管理
クレマチスで最も注意すべき病害は、「クレマチス立枯病」(クレマチスウィルト)です。これはPhoma clematidinaとAscochyta clematidinaという2種類の真菌が原因で、茎が突然しおれて枯れてしまう深刻な病気です。

立枯病の予防には、深植えが有効です。地下に埋まった節から新しい芽が出るため、地上部が枯れても株が完全に枯死することを防げます。また、風通しを良くし、株元の蒸れを防ぐことも重要です。
発症した場合は、枯れた部分を地際から切り取り、殺菌剤を散布します。多くの場合、適切な処置をすれば地下の芽から新しい枝が伸びてきます。
害虫では、アブラムシ、ハダニ、ナメクジなどに注意が必要です。特にアブラムシは新芽や蕾に付きやすく、見つけ次第駆除します。こまめに茎や葉をチェックし、早期発見・早期対応を心がけましょう。
うどんこ病も発生しやすい病気です。葉の表面に白い粉状のカビが発生する病気で、風通しが悪い環境や、窒素肥料の過多で発生しやすくなります。予防としては、適切な剪定で風通しを良くし、バランスの取れた施肥を心がけます。病害虫対策の詳細は病害虫対策と防除の完全ガイドをご参照ください。
| 病害虫 | 症状 | 対策 |
|---|---|---|
| クレマチス立枯病 | 茎が突然しおれる | 深植え、風通し確保、発症部切除 |
| うどんこ病 | 葉に白い粉状のカビ | 風通し改善、殺菌剤散布 |
| アブラムシ | 新芽や蕾に群生 | 見つけ次第駆除、薬剤散布 |
| ハダニ | 葉の裏に寄生、葉が黄変 | 葉裏に水をかける、殺ダニ剤 |
品種選びと四季の管理
クレマチスには数百もの品種があり、花の大きさ、色、形、開花時期など、実に多様です。初心者には、病害虫に強く、剪定が簡単な新枝咲きタイプがおすすめです。特に、ジャックマニー系、ビチセラ系、テクセンシス系は育てやすく、花つきも良好です。

大輪品種では、直径10~25cmの大きな花を咲かせるものもあり、1株で年間100輪以上の花を楽しめることもあります。一方、小輪多花性の品種は、控えめながらも可憐な花を次々と咲かせ、長期間楽しめます。
四季を通じた管理では、春は生育期として水と肥料をしっかり与え、新しいつるを誘引します。夏は水切れに特に注意し、株元の温度上昇を防ぐため、マルチングや下草を植えると良いでしょう。秋は夏の疲れを回復させる時期で、お礼肥を与えます。冬は休眠期ですが、旧枝咲きタイプは枯れているように見えても生きているため、処分しないよう注意が必要です。
また、クレマチスは鉢植えでも育てられます。鉢植えの場合は、2~3年に一度、一回り大きな鉢に植え替えます。ただし、クレマチスは根を傷つけられるのを嫌うため、根鉢を崩さずに丁寧に扱いましょう。季節ごとの詳しい管理方法は季節の園芸カレンダー:月別・季節別ガイドで確認できます。
クレマチスは他の植物との寄せ植えも楽しめます。バラとの組み合わせは特に人気で、バラの株元をクレマチスが覆うことで、双方にメリットがあります。バラの育て方完全ガイドと合わせて読むと、より美しい庭づくりのヒントが得られます。
まとめ
クレマチスは、基本を押さえれば決して難しい植物ではありません。深植えによる株の充実、適切な水やりと施肥、品種に応じた剪定、そして病害虫の早期発見と対処—これらのポイントを押さえることで、「つる植物の女王」にふさわしい美しい花を毎年楽しむことができます。
最初の数年は成長がゆっくりに感じられるかもしれませんが、根がしっかりと張れば、驚くほど旺盛に成長し、たくさんの花を咲かせてくれます。あなたの庭やベランダでも、ぜひクレマチスの魅力を存分に味わってください。
より詳しい栽培テクニックや他の植物との組み合わせについては、ガーデニング入門・基礎知識の完全ガイドもご活用ください。





