ラベンダーの育て方と品種選びガイド
2026年2月6日

ラベンダーは6つの主要系統に分類され、気候に合った品種選びが成功の鍵。初心者にはラバンディン系が最適で寒暖両方に強い。日当たりと水はけ、控えめな水やりと肥料、定期的な剪定で15~20年楽しめます。各系統の特徴、育て方のポイント、失敗しない栽培方法を詳しく解説。
ラベンダーの育て方と品種選びガイド
ラベンダーは、その美しい紫色の花と心地よい香りで、ガーデニング愛好家に人気の高い植物です。しかし、一言に「ラベンダー」と言っても、実は6つの主要系統に分類され、それぞれ育て方や適応環境が大きく異なります。この記事では、初心者から上級者まで、自分の環境に合ったラベンダーの品種選びと、失敗しない育て方のポイントを詳しく解説します。
ラベンダーは地中海原産の植物ですが、品種改良により日本の気候にも適応した系統が数多く開発されています。適切な品種を選び、基本的な育て方のコツを押さえれば、適切に剪定することで15〜20年もの長期間にわたって美しい花を楽しむことができます。
ハーブガーデンの作り方と活用の完全ガイドでは、ラベンダーを含むハーブ全般の活用法を紹介していますので、併せてご覧ください。
ラベンダーの6つの主要系統と特徴
ラベンダーは約20品種が存在しますが、大きく分けて6つの系統に分類されます。それぞれの系統には独自の特徴があり、耐寒性・耐暑性、開花時期、香りの強さなどが異なります。品種選びの第一歩は、自分の住む地域の気候に合った系統を知ることです。

アングスティフォリア系(イングリッシュラベンダー)
アングスティフォリア系は、北海道の富良野などで広く栽培されている代表的なラベンダーです。つぶつぶとした可愛らしい花穂が特徴で、ラベンダーの中でも最も香りが強く、ドライフラワー、入浴剤、柔軟剤、お菓子などの香料として幅広く使用されています。
耐寒性は非常に高く、約-15℃まで耐えることができますが、その反面、夏の高温多湿には非常に弱いという特性があります。そのため、東北地方や北海道など、夏の気温が比較的低く湿度の少ない地域での栽培に適しており、関東以西の梅雨や真夏の熱帯夜がある地域では育成が難しく、上級者向けの品種と言えます。
主な品種には「ヒドコート」「マンステッド」「レディ」などがあり、特にヒドコートは濃い紫色の花が美しく、香りも強いため人気があります。詳しい品種情報はGreenSnapのラベンダー種類図鑑で確認できます。
ラバンディン系(初心者に最もおすすめ)
ラバンディン系は、アングスティフォリア系とラティフォリア系の交配種で、両親の良いところを受け継いだハイブリッド品種です。紫色の部分がぷっくりと膨らんでおり、茎が太く稲穂のような見た目をしています。
最大の特徴は、寒暖どちらにも強く非常にタフな性質を持つことです。耐寒性と耐暑性の両方を兼ね備えているため、日本全国どこでも育てやすく、初心者に最もおすすめの系統です。香りが強く、精油が多く含まれており、さっぱりとした香りが特徴で、商業的な精油生産にも多く使われています。
また、イングリッシュラベンダーよりも大型に育ち、花穂も長く、開花期間も長いという利点があります。より湿った土壌や寒い冬にも他の系統より耐性があります。
代表的な品種には「グロッソ」「スーパー」「インプレス パープル」などがあり、特にグロッソは商業栽培で最も人気のある品種の一つです。
ストエカス系(フレンチラベンダー)
ストエカス系は、フレンチラベンダーとも呼ばれ、花穂の先端にウサギの耳のような苞葉(ほうよう)がつく独特の花姿が非常に愛らしい系統です。この苞葉は実際の花ではなく、花を守るために変化した葉ですが、ラベンダーらしい紫色やピンク色をしており、観賞価値が高いのが特徴です。
比較的高温多湿に強いため、梅雨のある日本の本州以南の地域でも育てやすく、ガーデニング初心者にも扱いやすい系統です。ただし、寒さにはやや弱く、冬期に気温がマイナスになる地域では、鉢植えにして室内に取り込むか、防寒対策が必要になります。
開花期は春から初夏にかけてで、条件が良ければ秋にも再び咲くことがあります。香りはイングリッシュラベンダーほど強くありませんが、ほのかに甘い香りがします。
デンタータ系
デンタータ系は、その名の通り、葉の縁に小さな歯(デント)のようなギザギザがいっぱい並んだ形をしているのが最大の特徴です。この独特の葉の形状は、他の系統と見分けるポイントになります。
日本の夏の暑さに耐えられる性質を持つため、暑い地域でのガーデニングに適しており、初心者にもおすすめです。四季咲き性があり、条件が整えば一年中花を楽しむことができます。花色は淡い青紫色で、優しい印象を与えます。
耐寒性はやや弱く、霜には弱いため、寒冷地では冬季は室内管理が必要です。
プテロストエカス系(レースラベンダー)
プテロストエカス系は、細かい切れ込みの入った繊細なレース状の美しい葉が特徴で、「レースラベンダー」の愛称で親しまれています。鳥の羽のような形の葉は非常に観賞価値が高く、花がない時期でもカラーリーフプランツとして楽しめます。
四季咲き性により、付け根からいくつかに分かれて花穂を出すユニークな姿を、ほぼ一年中楽しめるのが大きな魅力です。
ただし、寒さには非常に弱く、10℃くらいまでしか耐えられないため、冬場は必ず室内に取り込む必要があります。そのため、鉢植えでの栽培が基本となり、寒冷地での地植えには向きません。
カエルレア系
カエルレア系は、他の系統と比べると日本ではあまり一般的ではありませんが、美しい青みがかった花色が特徴です。
ラベンダーの品種選びのポイント
ラベンダーの品種選びで最も重要なのは、育てる環境に合った系統を選ぶことです。見た目の美しさや香りの好みも大切ですが、気候条件に合わない品種を選ぶと、どんなに手入れをしても上手く育ちません。

気候に合わせた品種選び
各系統の特性を理解した上で、お住まいの地域に最適な品種を選びましょう。以下の表は、気候条件別のおすすめ系統をまとめたものです。
| 地域・気候 | おすすめ系統 | 理由 |
|---|---|---|
| 北海道・東北 | アングスティフォリア系、ラバンディン系 | 耐寒性が高く、夏の高温多湿が少ない |
| 関東・中部 | ラバンディン系、デンタータ系 | 寒暖両方に対応できる |
| 関西・四国・九州 | ストエカス系、デンタータ系、ラバンディン系 | 高温多湿に比較的強い |
| 沖縄・南西諸島 | プテロストエカス系、デンタータ系 | 暖かい気候を好む(ただし真夏の直射は避ける) |
詳しいラベンダーの系統別特徴は、農業屋の品種選びガイドや花ごころの栽培ガイドでも紹介されています。
主要系統の比較表
各系統の特性を一覧で比較すると、以下のようになります。
| 系統名 | 耐寒性 | 耐暑性 | 香りの強さ | 初心者向け | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| アングスティフォリア系 | ◎(-15℃) | △ | ◎ | △ | 香り最強、高温多湿に弱い |
| ラバンディン系 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 最も育てやすい、大型 |
| ストエカス系 | △ | ◯ | ◯ | ◯ | ウサギ耳が可愛い、梅雨OK |
| デンタータ系 | △ | ◎ | ◯ | ◯ | 四季咲き、暑さに強い |
| プテロストエカス系 | × | ◯ | ◯ | △ | レース葉が美しい、寒さに弱い |
◎=非常に強い、◯=強い、△=やや弱い、×=弱い
この比較表は、GreenSnapの品種別特徴ガイドの情報も参考にしています。
初心者におすすめの品種ランキング
- ラバンディン系「グロッソ」 - 寒暖両方に強く、大型で香りも良い。最も失敗が少ない。
- デンタータ系 - 暑さに強く、四季咲き性で長く楽しめる。
- ストエカス系 - 見た目が可愛く、梅雨にも比較的強い。
- アングスティフォリア系「ヒドコート」 - 香りは最高だが、暑さ対策が必要。
目的別の品種選び
- 香りを重視する → アングスティフォリア系、ラバンディン系
- 見た目の可愛さ重視 → ストエカス系(ウサギの耳)、プテロストエカス系(レース葉)
- 料理やハーブティーに使いたい → アングスティフォリア系(食用に適している)
- とにかく育てやすさ重視 → ラバンディン系
- 一年中花を楽しみたい → デンタータ系、プテロストエカス系
詳しいハーブガーデンの作り方と活用の完全ガイドでは、ラベンダーを含むハーブの活用法を紹介しています。
ラベンダーの基本的な育て方
品種を選んだら、次は実際の育て方です。ラベンダーは基本的な要点を押さえれば、比較的手間のかからない植物です。

置き場所・植え付け場所
ラベンダーの育成において最も重要なのが、日当たりと風通しの良い場所を選ぶことです。ラベンダーは太陽の光が大好きで、1日に最低でも6時間以上の直射日光が当たる場所が理想的です。
逆に、湿気や蒸し暑さを非常に嫌うため、風通しの悪い場所や湿度の高い場所では、根腐れや病気の原因になります。特に梅雨時期は注意が必要で、可能であれば軒下など雨が直接当たらない場所に移動させると良いでしょう。
地植えの場合は、水はけの良い傾斜地や高台、または水はけ改善のために盛り土をした場所が最適です。鉢植えの場合は、底穴のしっかりした鉢を使用し、受け皿に水を溜めないようにします。
北側や日陰の場所では、徒長(ひょろひょろと間延びすること)したり、花付きが悪くなったり、病害虫の被害を受けやすくなるため避けましょう。
用土・土作り
ラベンダーは水はけが良く、アルカリ性から中性の土壌を好みます。地中海原産の植物なので、石灰質の土壌を好む性質があります。
地植えの場合:
日本の土壌は一般的に弱酸性のことが多いため、植え付け前に苦土石灰や有機石灰を混ぜて、土壌のpHをアルカリ性~中性(pH6.5~7.5程度)に調整します。また、粘土質の土壌の場合は、腐葉土やパーライト、川砂などを混ぜて水はけを改善することが重要です。
水はけが悪い場合は、20~30cmほど盛り土をして、高畝(たかうね)を作ると効果的です。
鉢植えの場合:
市販のハーブ用培養土や、草花用培養土に赤玉土や鹿沼土を2~3割混ぜて使用します。自分で配合する場合は、赤玉土(小粒)5:腐葉土3:パーライト2の割合が基本です。
肥料は控えめにし、元肥として緩効性肥料を少量混ぜる程度にします。肥料が多すぎると、香りが弱くなったり、軟弱に育って病害虫の被害を受けやすくなります。
土づくり・堆肥・肥料の基礎知識と実践ガイドでは、さらに詳しい土作りのテクニックを解説しています。
植え付け時期と方法
植え付けのベストタイミングは3~4月の春です。この時期は気温が上がり始め、ラベンダーの生育が活発になる時期なので、根付きが良くなります。秋の早い時期(9月~10月上旬)も植え付け可能ですが、冬を越す前に十分根を張らせる必要があるため、春の方が失敗が少ないでしょう。
植え付けの手順:
- 苗よりも一回り大きな植え穴を掘る
- 掘った土に腐葉土や堆肥を混ぜる(土壌改良)
- 苗を植え穴に置き、周りに土を入れて軽く押さえる
- 株元を高めにして、水が溜まらないようにする
- 植え付け直後はたっぷりと水を与える
株間(植える間隔):
風通しを良くするため、詰めすぎないことが重要です。
水やり
ラベンダーの水やりは、「乾燥気味に育てる」のが基本です。過湿は根腐れの原因となり、ラベンダーにとって最大の敵です。
地植えの場合:
植え付け直後の2~3週間は、根が張るまで定期的に水やりをしますが、根付いた後は基本的に水やり不要です。ほったらかしでも、自然の雨だけで十分育ちます。ただし、真夏に2週間以上雨が降らず、土がカラカラに乾いている場合は、朝か夕方に水を与えます。
鉢植えの場合:
土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまでたっぷりと与えます。ただし、毎日水やりする必要はありません。夏場でも2~3日に1回、春・秋は3~5日に1回、冬は週に1回程度が目安です。
水やりは必ず午前中に行い、夕方以降の水やりは避けます。夜間に湿度が高い状態が続くと、病気の原因になります。
肥料
ラベンダーは肥料をあまり必要としない植物です。Garden Designの栽培ガイドでも、過剰な施肥を避けることが推奨されています。地中海の痩せた土地が原産なので、肥料が多すぎると逆に香りが弱くなったり、茎葉が軟弱に育って倒れやすくなったり、病害虫の被害を受けやすくなります。
施肥のタイミング:
- 春(3月頃):緩効性化成肥料を少量株元に
- 花後(6月頃):お礼肥として液体肥料を薄めて1回
冬場の休眠期や、真夏の高温期は肥料を与えません。特に窒素分の多い肥料は避け、リン酸・カリ分が多い肥料を選びます。
鉢植えの場合は、地植えよりも少し多めに施肥しても構いませんが、やはり控えめが基本です。
剪定
剪定は、ラベンダーを長く美しく育てるための重要な作業です。適切に剪定すれば15~20年も生育可能ですが、剪定を怠ると木質化して花付きが悪くなります。
花後の剪定(6月~7月):
花が終わったら、花穂を含めて草丈の1/3程度を刈り込みます。この時、必ず緑の葉がある部分まで切り戻します。木質化した茶色い部分だけを残すように切ると、新芽が出にくくなります。
この剪定により、新しい枝が出て株が若返り、秋にも花を咲かせることがあります。
強剪定(3月~4月):
春の生育期前に、株全体を1/2~1/3程度まで思い切って切り戻します。古い枝を整理し、風通しを良くすることで、病害虫の予防にもなります。
切り戻しの注意点:
- 必ず緑の葉がある部分を残す
- 木質化した古い幹だけにしない
- 全体の形を整えるように切る
- 切り口は斜めにカット
剪定・整枝の技術完全ガイドでは、さらに詳しい剪定技術を解説しています。
夏越し・冬越し
夏越しのポイント:
特にアングスティフォリア系など、高温多湿に弱い品種は、夏越しが難関です。
- 風通しの良い場所に置く
- 梅雨時期は雨を避ける(鉢植えは軒下へ)
- 株元の葉を取り除いて風通しを確保
- 水やりは控えめに(過湿に注意)
- マルチング(株元を覆うこと)は避ける(蒸れるため)
冬越しのポイント:
耐寒性の強いアングスティフォリア系やラバンディン系は、地植えでも問題なく冬越しできますが、寒さに弱い系統は注意が必要です。
- ストエカス系:霜よけが必要(鉢植えは軒下へ)
- デンタータ系:軽い霜程度なら大丈夫だが、寒冷地では室内へ
- プテロストエカス系:必ず室内に取り込む(10℃以上維持)
マイナス10℃以下になる地域では、マルチング(腐葉土や藁で株元を覆う)や、寒冷紗をかけるなどの防寒対策をします。
ラベンダーの増やし方
ラベンダーは挿し木で簡単に増やすことができます。種まきも可能ですが、発芽率が低く、親株と同じ特性が出ない場合があるため、挿し木がおすすめです。

挿し木の時期:
5月~6月、または9月~10月が最適です。
挿し木の方法:
- 今年伸びた新しい枝を7~10cm程度切り取る
- 下の方の葉を取り除き、上部の葉を2~3枚残す
- 切り口を斜めにカットし、1時間ほど水に浸ける
- 挿し木用の土(赤玉土やバーミキュライトなど)に挿す
- 明るい日陰で管理し、土が乾かないように水やり
- 2~3週間で発根するので、根が十分出たら鉢上げ
成功率を上げるには、発根促進剤を使用すると良いでしょう。
よくある失敗とトラブル対処法
葉が黄色くなって枯れる
原因: 過湿による根腐れ、または水不足
対処法: 土の状態を確認。湿っているなら水やりを控え、乾燥しすぎているなら水を与える。根腐れの場合は、植え替えて傷んだ根を取り除く。
花が咲かない
原因: 日照不足、肥料過多、剪定不足
対処法: より日当たりの良い場所に移動。肥料を控える。古い枝を剪定して新しい枝を出させる。
株が倒れる・徒長する
原因: 日照不足、肥料過多(特に窒素過多)、風通し不良
対処法: 日当たりの良い場所へ移動。肥料を控える。剪定して株をコンパクトに保つ。
葉が茶色く枯れる
原因: 蒸れ、病気(灰色かび病など)
対処法: 風通しを改善。枯れた葉を取り除く。梅雨時期は雨を避ける。
病害虫対策と防除の完全ガイドでは、さらに詳しい病害虫対策を紹介しています。

ラベンダーの活用方法
ラベンダーは観賞用だけでなく、さまざまな用途に活用できます。
ドライフラワー
花が7~8分咲きの頃に、茎ごと刈り取り、束にして風通しの良い日陰に逆さに吊るします。2週間ほどで美しいドライフラワーが完成します。
ハーブティー
アングスティフォリア系の花や葉を使って、リラックス効果のあるハーブティーが作れます。生花でも乾燥花でもOKです。
ポプリ・サシェ
乾燥させた花を小袋に入れて、クローゼットや引き出しに入れると、香りと防虫効果が楽しめます。
料理
フランス料理では「エルブ・ド・プロヴァンス」というハーブミックスに含まれ、肉料理や焼き菓子に使われます。少量使うのがポイントです。
まとめ
ラベンダーの育て方と品種選びについて、詳しく解説しました。最も重要なポイントをまとめます。
- 品種選びが成功の鍵 - 自分の地域の気候に合った系統を選ぶ
- 初心者にはラバンディン系が最適 - 寒暖両方に強く失敗が少ない
- 日当たりと水はけが最重要 - 1日6時間以上の直射日光と排水性の良い土
- 水やりは控えめに - 地植えはほぼ不要、鉢植えも乾いてから
- 肥料は少なめ - 与えすぎは逆効果
- 定期的な剪定が長寿の秘訣 - 年2回の剪定で15~20年楽しめる
ラベンダーは、基本を押さえれば初心者でも十分育てられる魅力的な植物です。美しい花と心地よい香りを、ぜひあなたの庭やベランダで楽しんでください。
詳しいガーデニング入門・基礎知識の完全ガイドや季節の園芸カレンダーも併せてご覧いただくと、より充実したガーデニングライフが送れます。





