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果樹栽培の完全ガイド:家庭で楽しむ果物づくり

桃の育て方と摘果・袋かけの方法

2026年2月6日

桃の育て方と摘果・袋かけの方法

桃の育て方の基本から、収穫量と品質を左右する重要な摘果・袋かけの詳しい方法を初心者向けに解説。適切な時期、具体的な手順、硬核期の注意点など、家庭でも美味しい桃を育てるための実践的なテクニックを紹介します。

桃の育て方と摘果・袋かけの方法:甘くて大きな実を育てる完全ガイド

桃(もも)は、初夏から夏にかけて甘くジューシーな果実が楽しめる人気の果樹です。家庭での栽培でも、適切な管理と摘果・袋かけの技術を身につければ、市販品に劣らない美味しい桃を収穫することができます。本記事では、桃の基本的な育て方から、収穫量と品質を左右する重要な作業である摘果と袋かけの方法について、初心者の方にもわかりやすく解説します。

桃の基本的な育て方と栽培環境

桃の栽培を成功させるには、まず適切な環境を整えることが大切です。桃は日当たりと水はけの良い場所を好み、日照不足になると果実の糖度が低下してしまいます。

桃の基本的な育て方と栽培環境 - illustration for 桃の育て方と摘果・袋かけの方法
桃の基本的な育て方と栽培環境 - illustration for 桃の育て方と摘果・袋かけの方法

植え付けの適期は11月から3月の休眠期で、根がしっかりと張る前に寒さが来る時期を避けることがポイントです。土壌は弱酸性から中性(pH6.0~6.5程度)を好み、粘土質の重い土壌では根腐れを起こしやすいため、堆肥や腐葉土を十分に混ぜ込んで土壌改良を行いましょう。土づくり・堆肥・肥料の基礎知識については、専門ガイドも参考にしてください。

水やりは、植え付け後の1年間は特に注意が必要で、土の表面が乾いたらたっぷりと与えます。成木になれば基本的には降雨のみで足りますが、果実が肥大する6月から7月の乾燥期には、週に1~2回程度の水やりを行うことで、果実の品質が向上します。水やり・灌漑システムの完全ガイドも併せてご覧ください。

肥料は年3回、2月の寒肥(元肥)、5月の開花後の追肥、9月の収穫後のお礼肥を基本とします。特に収穫後のお礼肥は、翌年の花芽形成に重要な役割を果たすため、忘れずに施しましょう。

摘果(てきか)とは?その重要性と目的

摘果とは、一定期間成長した桃の実を選別し、適切な数に間引く作業のことです。一見もったいない作業に思えるかもしれませんが、摘果を行うことで一つひとつの桃にしっかり養分が行き渡り、品質が向上し、大きく甘い果実を育てることができます。

桃の木は自然状態では非常に多くの果実をつけますが、すべてを残すと樹木に過度な負担がかかり、果実は小さく味も薄くなってしまいます。また、枝が実の重みで折れてしまう危険性もあります。研究データによると、適切に摘果を行うことで果実の直径を2インチから3インチに増加させることができ、結果として1本あたりの収量は6.1ブッシェルに達することが報告されています(参考:Thinning A Peach Tree)。

摘果には、樹勢の維持という重要な役割もあります。過剰な結実は樹木を衰弱させ、翌年の花芽形成にも悪影響を及ぼします。適切な摘果により、毎年安定した収穫を続けることが可能になります。

果樹栽培の完全ガイドでは、桃以外の果樹の管理方法についても詳しく解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。

摘果の時期とタイミング:段階的なアプローチ

桃の摘果は、生育段階に合わせて段階的に行うことが成功の鍵です。一度に大量の果実を取り除くと、樹木にストレスがかかり、残った果実が変形したり割れたりする可能性があります。

摘果の時期とタイミング:段階的なアプローチ - illustration for 桃の育て方と摘果・袋かけの方法
摘果の時期とタイミング:段階的なアプローチ - illustration for 桃の育て方と摘果・袋かけの方法

摘蕾・摘花(3月下旬~4月上旬)

最初の段階は、花が咲く前の蕾(つぼみ)の段階、または開花直後に行う摘蕾・摘花です。この時期に余分な花を取り除くことで、樹木のエネルギーを節約できます。ただし、晩霜の被害や生理落果(自然に実が落ちること)を考慮して、最終的に残したい数の1.5~2倍程度を残しておきます。

予備摘果(一次摘果):開花後20~30日頃

果実が小指の爪くらいのサイズになった頃に行うのが予備摘果です(参考:桃の育て方)。この段階では、明らかに形の悪いものや傷のあるもの、病害虫の被害を受けているものを優先的に取り除きます。

短い枝(15~20cm程度)には1つ、中程度の枝(30~40cm程度)には2つ程度を目安に残します。上向きについた実は風で落下しやすいため、下向きまたは横向きについた実を優先して残すことがポイントです。

本摘果(仕上げ摘果):開花後40~50日頃

予備摘果から2~3週間後、果実がピンポン玉くらいのサイズになった頃に行うのが本摘果です。この段階で最終的な果実数を決定します。目安として、葉25~30枚あたり1果を残すようにします(参考:桃摘果の基本と時期)。

国際的な基準では、6~8インチ(約1520cm)間隔で1果を残し、成熟した桃の木1本あたり400~600果を目標とすることが推奨されています(参考:Thinking through strategies for peach crop thinning)。

硬核期に注意!

摘果作業の中で特に注意すべきなのが「硬核期(こうかくき)」です。これは開花後30~40日頃に訪れる、桃の種が硬くなる時期で、1週間~10日ほど続きます。この期間に果実を触ると、ある程度大きくなってから生理落果してしまう可能性が高まります。硬核期を避けて摘果スケジュールを組むことが、失敗を防ぐ重要なポイントです(参考:おいしい桃を自分で育てる方法)。

摘果の具体的な方法とコツ

実際の摘果作業では、以下の手順とコツを押さえることで、効率的かつ効果的に作業を進めることができます。

摘果の具体的な方法とコツ - illustration for 桃の育て方と摘果・袋かけの方法
摘果の具体的な方法とコツ - illustration for 桃の育て方と摘果・袋かけの方法

道具の準備

摘果には、清潔な剪定ばさみまたは手で行います。ハサミを使う場合は、病気の伝染を防ぐため、作業前にアルコールや次亜塩素酸ナトリウムで消毒しておきましょう。ガーデニングツール・資材の完全ガイドでは、適切な道具の選び方についても紹介しています。

残す実の選び方

摘果で残す実を選ぶ際には、以下の基準を参考にしてください:

  1. 形が良いもの:丸みがあり、傷や変形のないもの
  2. 大きめのもの:同じ時期に着果した中で、比較的大きく成長しているもの
  3. 向きが適切なもの:下向きまたは横向きについているもの
  4. 位置が良いもの:枝の途中についているもの(先端は避ける)
  5. 健康なもの:病害虫の被害や病斑がないもの
摘果段階時期果実サイズ間引き基準残す果実数の目安
摘蕾・摘花3月下旬~4月蕾~開花直後余分な花を除去最終目標の1.5~2倍
予備摘果開花後20~30日小指の爪サイズ形・傷・病害虫短枝に1個、中枝に2個
硬核期開花後30~40日ピンポン玉サイズ触らない期間摘果作業を中断
本摘果開花後40~50日ピンポン玉~卵大葉25~30枚に1果成木で400~600果

初心者向けのアドバイス

初めて摘果を行う場合は、一度に大量に取り除かず、控えめに始めることをお勧めします。樹木の状態や品種によって最適な果実数は異なるため、経験を積みながら自分の木に合った方法を見つけていきましょう。

作業は長時間屋外で行うため、気温が25℃を超える日は、こまめな水分補給と休憩を取り、熱中症対策を忘れずに行いましょう。晴れた日の午前中や夕方の涼しい時間帯に作業するのがベストです。

剪定・整枝の技術完全ガイドでは、桃の剪定方法についても詳しく解説していますので、併せてご覧ください。

袋かけの方法とタイミング

摘果が完了したら、次に行うのが袋かけです。袋かけは、果実を害虫や病気、鳥害から守り、また日焼けを防ぐための重要な作業です。適切な袋かけにより、傷のない美しい桃を収穫することができます。

袋かけの方法とタイミング - illustration for 桃の育て方と摘果・袋かけの方法
袋かけの方法とタイミング - illustration for 桃の育て方と摘果・袋かけの方法

袋かけの時期

袋かけは、本摘果(仕上げ摘果)が完了した直後、果実がピンポン玉から卵大くらいのサイズになった時期に行います。具体的には6月上旬から中旬頃で、害虫が活発になる夏の前までに完了させることが重要です(参考:桃の育て方)。

天候も重要な要素で、必ず晴れた日を選びましょう。雨天時や朝露が残っている状態で袋をかけると、袋の中に湿気がこもり、病気が発生しやすくなります。

袋の種類と準備

桃の袋かけには、以下のような袋が使用されます:

  1. 専用の果実袋:園芸店やホームセンターで購入できる、通気性と防水性を兼ね備えた袋
  2. 新聞紙:油をしみこませた新聞紙で自作も可能
  3. ハトロン紙:薄くて丈夫な紙で、通気性が良い
  4. 不織布通気性に優れ、繰り返し使用できる

市販の専用袋が最も使いやすく、初心者にはお勧めです。袋のサイズは果実の最終的な大きさを考慮して、十分な余裕のあるものを選びましょう。

袋かけの手順

  1. 殺菌剤の散布:袋かけの前日または当日の朝に、殺菌剤を散布して果実表面を保護します。特に灰星病や黒星病の予防に効果的です。
  1. 袋の準備:袋の底部に小さな排水穴があることを確認します。穴がない場合は、針や千枚通しで2~3箇所開けておきましょう。
  1. 袋かけ作業:果実を袋の底に優しく入れ、袋の口を枝の近くでしっかりと閉じます。針金入りの袋の場合は、針金をねじって固定します。紐で結ぶタイプの場合は、風で飛ばされないようしっかりと結びましょう。
  1. 確認:袋が果実に密着しすぎていないか、また風通しのための隙間が適切にあるかを確認します。

袋かけ後の管理

袋をかけた後も、定期的に点検を行いましょう。強風や大雨の後は、袋が破れたり外れたりしていないか確認し、必要に応じて補修や付け直しを行います。

収穫の1~2週間前に袋を外すと、桃が赤く色づき、見た目が美しくなります。ただし、外すタイミングが早すぎると日焼けや虫害のリスクが高まるため、天候と果実の状態を見ながら判断しましょう。

病害虫対策と防除の完全ガイドでは、桃の主要な病害虫とその対策方法について詳しく解説しています。

桃の主な病害虫と対策

桃栽培で注意すべき主な病害虫について、予防と対策をまとめます。

灰星病(はいぼしびょう)

花や果実に灰褐色の斑点ができる病気で、湿度が高い時期に発生しやすくなります。予防には、風通しを良くし、袋かけ前の殺菌剤散布が効果的です。

黒星病(くろぼしびょう)

果実に黒褐色の斑点ができる病気で、特に梅雨時期に発生しやすくなります。発病した果実は早めに取り除き、感染拡大を防ぎましょう。

シンクイムシ(モモシンクイガ)

幼虫が果実に侵入して食害する害虫です。袋かけが最も効果的な予防法で、袋かけ前の薬剤散布も併用すると効果が高まります。

アブラムシ

新芽や葉裏に寄生し、樹液を吸います。見つけ次第、水で洗い流すか、専用の殺虫剤で駆除しましょう。早期発見が重要です。

収穫のタイミングと保存方法

適切な時期に収穫することで、桃の美味しさを最大限に引き出すことができます。

収穫の見極め方

  • 果皮の色:品種固有の色に十分に色づいている
  • 香り:甘い芳香が強くなってくる
  • 硬さ:軽く押すとわずかに弾力がある
  • 離れやすさ:軽く持ち上げると、簡単にもぎ取れる

収穫は早朝の涼しい時間帯に行うのがベストです。果実を傷つけないよう、両手で優しく持ち、軽くひねるようにして収穫します。

保存と追熟

桃は収穫後も常温で追熟が進みます。硬めに収穫した場合は、室温で2~3日置いておくと、さらに甘みが増します。食べ頃になったら、冷蔵庫の野菜室で保存し、2~3日以内に食べきるようにしましょう。

長期保存したい場合は、皮をむいてスライスし、砂糖をまぶして冷凍保存すると、約1ヶ月間保存できます。

まとめ:摘果と袋かけで理想の桃を育てよう

桃の栽培において、摘果と袋かけは甘くて大きな実を育てるための必須作業です。本記事のポイントをまとめます:

作業項目時期重要ポイント
摘蕾・摘花3月下旬~4月上旬余分な花を早めに除去
予備摘果開花後20~30日形の悪い果実を優先除去
硬核期開花後30~40日頃この期間は果実に触らない
本摘果開花後40~50日葉25~30枚に1果が目安
袋かけ6月上旬~中旬晴れた日に殺菌剤散布後実施
収穫7月~8月品種により異なる

初心者の方は、最初は控えめな摘果から始め、経験を積みながら自分の木に合った方法を見つけていきましょう。適切な管理により、家庭でも市販品に劣らない美味しい桃を収穫することができます。

季節の園芸カレンダーでは、月別の園芸作業について詳しく紹介していますので、桃以外の栽培管理にもぜひお役立てください。

甘くてジューシーな自家製の桃を、ぜひご家庭で楽しんでください!

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