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果樹栽培の完全ガイド:家庭で楽しむ果物づくり

柿の育て方:甘柿と渋柿の違いと管理法

2026年2月6日

柿の育て方:甘柿と渋柿の違いと管理法

柿の育て方を詳しく解説。甘柿と渋柿の違いから、植え付け、剪定時期と方法、施肥管理、カキノヘタムシガなど病害虫対策、摘果、収穫まで。家庭で美味しい柿を育てるための完全ガイド。富有柿や次郎柿など人気品種の栽培ポイントも紹介。

柿の育て方:甘柿と渋柿の違いと管理法

秋の味覚として親しまれている柿は、日本の果樹栽培の中でも特に歴史が古く、家庭果樹としても人気の高い樹木です。柿には甘柿と渋柿があり、それぞれ特性が異なるため、栽培方法や管理のポイントも変わってきます。本記事では、甘柿と渋柿の違いから、家庭での栽培方法、剪定や施肥などの管理法まで、柿栽培の全てを詳しく解説します。

甘柿と渋柿の違い:タンニンの性質が鍵

柿には大きく分けて甘柿と渋柿の2種類があり、この違いは含まれるタンニンの性質によって決まります。甘柿に含まれるタンニンは不溶性で、口の中に入れても唾液に溶けないため渋みを感じません。一方、渋柿に含まれるタンニンは水溶性で、唾液に溶けて強い渋みを感じるのが特徴です。

甘柿と渋柿の違い:タンニンの性質が鍵 - illustration for 柿の育て方:甘柿と渋柿の違いと管理法
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柿は世界に1000種類以上あるといわれており、さらに細かく分類すると完全甘柿、不完全甘柿、完全渋柿、不完全渋柿の4つに分けられます。完全甘柿は種子の有無にかかわらず自然に渋が抜けるタイプで、代表的な品種には富有柿や次郎柿があります。不完全甘柿は種子が多くできると果肉が黒くなって渋が抜けるタイプです。

渋柿は干し柿やアルコール処理などで渋抜きをすることで美味しく食べられるようになります。そのままでも甘くて美味しい甘柿は生食用、渋抜きが必要な渋柿は干し柿などの加工品として栽培されるのが一般的です。

分類特徴代表品種用途
完全甘柿種子の有無に関わらず自然に渋が抜ける富有、次郎、太秋生食
不完全甘柿種子が多いと渋が抜ける西村早生、筆柿生食
完全渋柿常に渋い平核無、刀根早生干し柿、渋抜き後生食
不完全渋柿種子が少ないと渋い愛宕、横田干し柿、渋抜き後生食

柿の木の栽培環境と植え付け

柿の木は比較的栽培しやすい果樹で、日本の気候に適応しています。柿の木は日当たりと水はけの良い場所を好み、成木になると樹高は4~8メートル程度に成長します。植え付けは11月から3月の休眠期に行うのが最適です。

植え付けの際は、直径・深さともに50~60センチの穴を掘り、堆肥や腐葉土を混ぜ込んで土壌改良を行います。苗木は接ぎ木部分が地表から5センチ程度出るように植え付け、支柱を立てて固定します。植え付け後はたっぷりと水を与え、根の活着を促しましょう。

柿の木は自家受粉する品種が多いですが、完全甘柿の中には他家受粉が必要な品種もあります。収穫量を増やしたい場合は、異なる品種を近くに植えると良いでしょう。家庭で栽培する場合、果樹栽培の基本知識を理解しておくと、より良い結果が得られます。

剪定:柿栽培の最重要作業

柿の木の剪定は、収穫量と果実の品質を左右する非常に重要な作業です。剪定の主な目的は、木の形を整えて日当たりや風通しを良くし、病害虫の発生を防ぐことにあります。

主な剪定時期は葉が落ちた冬(12月~2月)で、この時期に基本的な樹形づくりと間引き剪定を行います。柿は前年に伸びた枝(結果母枝)に実をつけるため、切り戻しの際はその枝を残すことが重要です。混み合った枝や内向きに伸びる枝、徒長枝などを付け根から切り取り、樹冠内部まで日光が届くようにします。

夏(7月~8月)には、混み合った枝を間引く軽い剪定を行うと効果的です。この時期の剪定は強剪定を避け、徒長枝を中心に整理します。また、若木のうちは主幹を中心とした開心自然形に仕立て、成木になってからは樹高を抑える管理剪定に切り替えます。

剪定の基本技術については、剪定・整枝の技術完全ガイドでより詳しく学ぶことができます。適切な剪定を行うことで、毎年安定した収穫が期待できるようになります。

施肥管理:美味しい柿を育てる栄養補給

美味しい実を育てるためには、適切な時期の施肥が欠かせません。柿の施肥は年3回が基本で、それぞれの時期に合わせた肥料を与えます。

施肥管理:美味しい柿を育てる栄養補給 - illustration for 柿の育て方:甘柿と渋柿の違いと管理法
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まず、植え付け時や冬季(12月~2月)に与える元肥は、有機質肥料を主体とした緩効性のものを使用します。成木1本あたり、堆肥10~20キログラム、化成肥料(N:P:K=8:8:8)を500グラム程度施します。根元から少し離れた位置に穴を掘って施肥し、土とよく混ぜ合わせます。

果実が大きくなる7月頃には追肥を行います。この時期の施肥は果実の肥大を助け、品質向上に寄与します。化成肥料を成木1本あたり300グラム程度、樹冠の周囲に散布します。

収穫後の11月頃には「お礼肥」として、木が消耗した養分を補うために肥料を与えます。有機質肥料を中心に、元肥と同程度の量を施すと良いでしょう。土づくりと肥料の基礎知識を理解することで、より効果的な施肥管理が可能になります。

肥料を与えすぎると徒長枝が多くなり、実つきが悪くなることがあるので、木の生育状態を観察しながら適量を心がけましょう。

病害虫対策:主要な害虫と病気

柿栽培で最も注意すべき害虫はカキノヘタムシガです。この害虫の幼虫は年に2回(5~6月と7~8月)発生し、幼虫がヘタから果実の中に侵入して食害します。被害を受けた果実は黒く変色し、落果してしまいます。

病害虫対策:主要な害虫と病気 - illustration for 柿の育て方:甘柿と渋柿の違いと管理法
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カキノヘタムシガの対策としては、冬の間に木の古い皮(粗皮)を削り、越冬している幼虫を取り除くことが有効です。また、幼虫が果実に入る前の6月と8月に、家庭園芸用の殺虫剤を散布することも効果的です。農薬を使用する場合は、使用基準を守り、収穫前日数に注意しましょう。

主な病気には落葉病や炭疽病があります。落葉病は梅雨時期に発生しやすく、葉に黒褐色の斑点が現れて早期落葉を引き起こします。炭疽病は果実に黒い斑点ができ、商品価値を著しく低下させます。

病害虫防除の最も重要な散布時期は6月で、次いで8月下旬になります。予防として、病害虫対策の基本を学び、定期的な観察と早期発見・早期対応を心がけることが大切です。また、落ち葉や落果をこまめに片付け、病原菌の越冬場所を減らすことも重要な予防策となります。

摘蕾・摘果:品質向上のための間引き

柿は着果しやすい果樹ですが、実をつけすぎると小玉になったり、隔年結果(裏表作)が発生しやすくなります。そのため、摘蕾(てきらい)や摘果(てきか)を行い、適正な着果量に調整することが重要です。

摘蕾は5月上旬から中旬にかけて、蕾が膨らんできた段階で行います。1つの結果枝に対して1~2個の蕾を残し、他を摘み取ります。摘果は生理落果が終わった6月下旬から7月上旬に行い、最終的に葉20~25枚に対して1果を目安に調整します。

摘果の際は、形の悪いもの、傷のあるもの、病害虫の被害があるものを優先的に取り除き、健全で形の良い果実を残します。また、枝先の果実よりも枝の中ほどについた果実の方が品質が良いとされています。

収穫と貯蔵

柿の収穫時期は品種によって異なりますが、一般的に9月下旬から11月にかけてです。甘柿は果実が完全に色づいてから収穫し、渋柿は色づき始めたら収穫して渋抜き処理を行います。

収穫は果実を傷つけないよう、ハサミを使ってヘタの部分で切り取ります。ヘタを残しておくと貯蔵性が高まります。収穫した果実は丁寧に扱い、傷をつけないようにしましょう。

甘柿の貯蔵は冷蔵庫で行い、ポリ袋に入れて保存すると1ヶ月程度は日持ちします。渋柿を干し柿にする場合は、風通しの良い軒下などに吊るして乾燥させます。十分に乾燥した干し柿は長期保存が可能で、甘みが凝縮した美味しい保存食となります。

まとめ

柿は日本の気候に適した果樹で、適切な管理を行えば家庭でも十分に栽培が可能です。甘柿と渋柿の違いを理解し、それぞれの特性に合わせた栽培方法を選びましょう。特に剪定と施肥、病害虫対策は柿栽培の成否を分ける重要なポイントです。

季節の園芸カレンダーを参考に、適切な時期に適切な管理作業を行うことで、毎年美味しい柿を収穫することができます。初めて柿を育てる方も、基本をしっかり押さえれば、秋の豊かな収穫を楽しむことができるでしょう。

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