庭世界庭世界
剪定・整枝の技術完全ガイド

剪定の基本知識と道具の種類・選び方

2026年2月6日

剪定の基本知識と道具の種類・選び方

剪定の基本知識から道具の種類、選び方まで詳しく解説。剪定バサミ、ノコギリ、高枝切りバサミなど、初心者が5000円以下で揃えられる道具セットや、バイパスタイプとアンビルタイプの違い、メンテナンス方法まで、プロ庭師の視点で完全ガイド。

剪定の基本知識と道具の種類・選び方

庭木や植物を健康的に美しく育てるために欠かせないのが「剪定」です。剪定は単に枝を切るだけではなく、植物の生育を促し、風通しや日当たりを改善し、美しい樹形を保つための重要な園芸技術です。しかし、初心者の方にとっては「どんな道具を使えば良いのか」「どう選べば良いのか」と迷ってしまうことも多いでしょう。

本記事では、剪定・整枝の技術完全ガイドで詳しく解説している剪定技術の基礎として、剪定の基本知識と必要な道具の種類、そして初心者でも失敗しない道具の選び方について、プロ庭師の視点を交えながら詳しく解説します。これから剪定を始める方も、道具を買い替えようと考えている方も、ぜひ参考にしてください。

剪定とは何か?その目的と基本知識

剪定とは、樹木や植物の枝葉を適切に切り取る作業のことで、植物の健康維持と美観の向上を目的とした重要な園芸技術です。ガーデニング入門・基礎知識の完全ガイドでも触れていますが、剪定には主に以下のような目的があります。

剪定とは何か?その目的と基本知識 - illustration for 剪定の基本知識と道具の種類・選び方
剪定とは何か?その目的と基本知識 - illustration for 剪定の基本知識と道具の種類・選び方

剪定の主な目的:

  • 風通しと日当たりの改善:不要な枝を取り除くことで、内部まで光が届き、病害虫の発生を予防します
  • 樹形の維持と美観の向上:計画的な剪定により、美しい樹形を保ちます
  • 生育の促進:古い枝や弱い枝を切ることで、新しい枝の成長を促します
  • 開花・結実の促進:適切な剪定により、花芽の形成を促し、開花や結実を良くします
  • 安全性の確保:枯れ枝や危険な枝を取り除き、落下事故を防ぎます

剪定の基本的な方法として最も重要なのが「透かし剪定」です。透かし剪定とは、不要な枝葉を落として間引きする剪定方法で、風通しや日当たりを良くするのが目的です。この技法は庭木・シンボルツリーの選び方と育て方ガイドで紹介している様々な樹木に応用できる、最も基本的かつ重要な剪定方法といえます。

その他の主要な剪定方法として、切り詰め剪定(新しい成長を促進し樹形を整えるために枝を適切な位置で切り詰める方法)や、刈り込み剪定(庭木や茂みを短く切り揃える方法)があり、目的や植物の種類に応じて使い分けることが大切です。

剪定道具の主な種類と用途

剪定を効果的に行うためには、枝の太さや作業内容に応じた適切な道具を選ぶことが重要です。ここでは、主要な剪定道具とその用途について詳しく解説します。

剪定道具の主な種類と用途 - illustration for 剪定の基本知識と道具の種類・選び方
剪定道具の主な種類と用途 - illustration for 剪定の基本知識と道具の種類・選び方

剪定バサミ(手ばさみ)

植木の剪定時に一番よく利用するのが剪定バサミで、直径15〜20mm程度の枝の切断に適しています。この道具は細かな作業に最適で、初心者からプロまで必ず持っておくべき基本的な道具です。

剪定バサミには主に2つのタイプがあります:

  • バイパスタイプ:上刃と下刃の両方が動くタイプで、切り口が綺麗になるので枝を傷付けにくいという特徴があります。細かな剪定や生木の切断におすすめです。
  • アンビルタイプ:上刃だけが動き、受け部分(アンビル)に押し付けて切るタイプです。太めの枝や枯れ枝を切るのに適しており、剪定に慣れていない人が伸びた枝葉を大雑把に切る場合におすすめです。

一般的な園芸作業では、切り口の美しさと樹木へのダメージを最小限にできるバイパスタイプが推奨されます。選ぶ際は、手の大きさに合ったサイズ(長さ18〜20cm程度)を選び、実際に握ってみて開閉しやすいものを選ぶことが大切です。

剪定ノコギリ

剪定バサミでは切れない太い枝や幹(直径約2cm以上)を切るときに使用します。長さは25〜30cmが一般的で使いやすく、折りたたみ式のものは収納や持ち運びに便利です。

剪定ノコギリを選ぶ際のポイントは、刃の目の細かさです。目が細かいほど切り口が綺麗になりますが、太い枝には目が粗い方が効率的です。初心者には中目(1インチあたり8〜10枚刃)が使いやすくおすすめです。

刈り込みバサミ

生垣や玉づくりなどの刈り込み仕立てに使う、両手で扱う大型のハサミです。広い面積を一度に刈り込むことができ、造園・ガーデンデザインの基本と実践ガイドで紹介している生垣の整形作業に欠かせません。

剪定作業の初心者は軽量タイプが疲れにくくおすすめです。刃の長さは作業範囲に応じて選びますが、一般家庭では刃渡り15〜20cm程度のものが扱いやすいでしょう。

高枝切りバサミ

高枝切りバサミ伸縮式の長い柄が付いており、手元で操作することが可能な剪定道具です。通常の剪定バサミでは手が届かない高い木の剪定時に、脚立を使わずに安全に切ることができます。

選び方の重要なポイントは、全体的な重さと最大まで伸ばした時の柄の長さを確認することです。一般的な目安として、女性なら約1kg・男性なら約2kgを目安に選ぶと、長時間の作業でも疲れにくいでしょう。また、伸縮範囲は1.8m〜3m程度のものが一般家庭では使いやすいサイズです。

初心者におすすめの剪定道具セット

これから剪定を始める方は、まず基本的な3点セットを揃えることをおすすめします。プロの庭師たちも推奨する、5,000円以下で揃えられる初心者向けセットをご紹介します。

道具用途価格目安選び方のポイント
剪定バサミ直径2cm以下の枝1,500〜2,500円バイパスタイプ、手のサイズに合ったもの
剪定ノコギリ直径2cm以上の太枝1,000〜2,000円折りたたみ式、刃渡り25〜30cm
園芸用手袋手の保護500〜1,000円滑り止め付き、フィット感の良いもの
合計3,000〜5,500円

この3点セットがあれば、一般家庭の庭木の剪定作業はほぼカバーできます。病害虫対策と防除の完全ガイドでも解説していますが、清潔な道具を使うことで病気の伝播も防げるため、使用後は必ず清掃とメンテナンスを行いましょう。

必要に応じて、以下の道具を追加していくと良いでしょう:

  • 高枝切りバサミ(2,000〜4,000円):高木がある場合
  • 刈り込みバサミ(2,000〜3,500円):生垣がある場合
  • 剪定鋏砥石(500〜1,000円):刃の手入れ用

剪定道具の選び方:失敗しない7つのポイント

剪定道具を選ぶ際には、以下の7つのポイントを押さえることで、長く使える良質な道具を見つけることができます。

剪定道具の選び方:失敗しない7つのポイント - illustration for 剪定の基本知識と道具の種類・選び方
剪定道具の選び方:失敗しない7つのポイント - illustration for 剪定の基本知識と道具の種類・選び方

1. 手のサイズに合ったものを選ぶ

剪定バサミの場合、手のひらの長さと同じくらいのサイズを選ぶのが基本です。実際に店頭で握ってみて、開閉動作が無理なくできるかを確認しましょう。サイズが合わないと、手が疲れやすく、作業効率も落ちてしまいます。

2. 重量を確認する

特に高枝切りバサミや刈り込みバサミなど、長時間持ち続ける道具は重量が重要です。カタログや商品説明で重量を確認し、可能であれば実際に持ってみて、腕に負担がかからないかチェックしましょう。

3. 材質とメンテナンス性

刃の材質には、炭素鋼、ステンレス鋼、高炭素鋼などがあります。ステンレス製は錆びにくくメンテナンスが楽ですが、切れ味の持続性では高炭素鋼に劣ります。初心者にはメンテナンスが簡単なステンレス製やフッ素コーティング加工でヤニが付きにくいタイプがおすすめです。

4. グリップの握りやすさ

ゴム製やエラストマー製のグリップは手に馴染みやすく、長時間の作業でも疲れにくいです。滑り止め加工があるものを選ぶと、安全性も向上します。

5. 刃の調整・交換が可能か

長く使い続けるためには、刃の調整や交換ができるタイプを選ぶことが重要です。ネジで刃の締め付けを調整できたり、替刃が入手しやすいメーカーの製品を選びましょう。

6. 予算と用途のバランス

プロ用の高級品は切れ味と耐久性に優れていますが、家庭用であれば中価格帯の製品で十分です。年に数回の使用であれば、1,500〜3,000円程度の剪定バサミで十分な性能が得られます。

7. 信頼できるメーカーを選ぶ

岡恒、アルスコーポレーション、千吉などの日本の老舗メーカーや、Fiskars、Felcoなどの海外有名メーカーの製品は、品質と耐久性が保証されています。少し価格は高くても、長期的にはコストパフォーマンスが良いことが多いです。

2026年の最新トレンド:電動・充電式剪定道具

近年、園芸愛好家の間で人気が高まっているのが、電動式・充電式の剪定道具です。広い庭や農園などで何本もの木を剪定する場合、電動式は大きなメリットがあります。

電動式剪定道具のメリット:

  • トリガーを引くと自動で刃が進み、手の疲労を大幅に軽減
  • 大量の枝を切り落としても手が疲れにくい
  • 最大50mmの太枝を瞬時に切断できる高性能モデルも登場
  • マキタやボッシュなどのバッテリー互換システムを利用できる

電動式を選ぶ際の注意点:

  • バッテリー駆動時間(連続作業時間30分〜2時間程度)
  • 充電時間(30分〜2時間程度)
  • 重量(手動式より500g〜1kg重くなる)
  • 価格(1万円〜3万円程度と手動式より高価)

一般家庭では手動式で十分ですが、広い庭を持つ方やバラの育て方完全ガイドで紹介しているような多数のバラを育てている方など、頻繁に剪定作業を行う場合は、電動式の導入を検討する価値があります。

剪定道具の正しい使い方と安全対策

適切な道具を選んだら、次は正しい使い方を理解することが重要です。誤った使い方は道具の寿命を縮めるだけでなく、ケガのリスクも高めます。

剪定道具の正しい使い方と安全対策 - illustration for 剪定の基本知識と道具の種類・選び方
剪定道具の正しい使い方と安全対策 - illustration for 剪定の基本知識と道具の種類・選び方

基本的な使い方

  • 剪定バサミ:切る枝に対して直角に刃を当て、一気に切り落とします。無理に太い枝を切ろうとすると刃が欠ける原因になります。
  • 剪定ノコギリ:引く動作で切るのが基本です。押す時ではなく、引く時に力を入れます。
  • 高枝切りバサミ:切る枝の真下に立つのは危険です。必ず少し離れた位置から操作しましょう。

安全対策

剪定作業では、安全対策が非常に重要です:

  1. 手袋の着用は必須ハサミやノコギリを握る利き手は素手でも良いですが、枝を持つ反対側の手は必ず着用しましょう。
  2. 保護メガネの使用:枝が跳ね返ったり、木屑が飛んだりすることがあるため、目の保護も重要です。
  3. 脚立使用時の注意:高所作業では必ず安定した場所に脚立を設置し、無理な体勢で作業しないこと。
  4. 天候の確認:雨の日や風の強い日は作業を避けましょう。
  5. 周囲の確認:特に高枝切りや剪定ノコギリを使う際は、周囲に人がいないか確認してから作業を始めます。

剪定道具のメンテナンス方法

道具を長持ちさせ、常に最高のパフォーマンスを保つためには、適切なメンテナンスが欠かせません。

剪定道具のメンテナンス方法 - illustration for 剪定の基本知識と道具の種類・選び方
剪定道具のメンテナンス方法 - illustration for 剪定の基本知識と道具の種類・選び方

使用後の基本的な手入れ

  1. 汚れの除去:使用後は水で洗い流し、布で水気を拭き取ります。
  2. 樹液やヤニの除去:アルコールや専用クリーナーで拭き取ります。放置すると刃の動きが悪くなります。
  3. 油を塗る:刃全体に薄く油(椿油や専用オイル)を塗って錆を防ぎます。
  4. 刃の点検:刃こぼれや歪みがないかチェックします。

定期的なメンテナンス

  • 刃の研磨(年1〜2回):専用の砥石で刃を研ぎます。自信がない場合は専門店に依頼しましょう。
  • ネジの締め直し(使用10回ごと):緩んでいないか確認し、適度に締め直します。
  • 部品の交換:スプリングやゴムグリップは消耗品です。劣化したら早めに交換しましょう。

土づくり・堆肥・肥料の基礎知識と実践ガイドでも触れていますが、清潔な道具を使うことは、植物の健康を守る上でも重要です。病気の樹木を切った後は、特に念入りに消毒(アルコールや次亜塩素酸で拭く)してから他の植物に使用しましょう。

まとめ:適切な道具選びが美しい庭づくりの第一歩

剪定は庭木や植物を健康的に美しく保つために欠かせない作業であり、その成功の鍵は適切な道具選びにあります。初心者の方は、まず基本的な剪定バサミ、剪定ノコギリ、手袋の3点セットを5,000円以下で揃えることから始めましょう。

道具を選ぶ際は、手のサイズに合ったもの、適切な重量、メンテナンスのしやすさを重視し、信頼できるメーカーの製品を選ぶことが長期的な満足につながります。また、使用後の手入れを怠らず、定期的なメンテナンスを行うことで、道具は何年も使い続けることができます。

適切な道具と正しい知識があれば、剪定作業はより安全で効率的なものになります。季節の園芸カレンダー:月別・季節別ガイドを参考に、適切な時期に適切な剪定を行い、美しい庭づくりを楽しんでください。

さらに詳しい剪定技術や樹種別の剪定方法については、剪定・整枝の技術完全ガイドをご覧ください。適切な道具と正しい技術で、あなたの庭はさらに美しく、健康的な空間へと生まれ変わることでしょう。

---

参考リンク:

関連記事