藤(フジ)の育て方と棚仕立ての方法
2026年2月6日

春の訪れを告げる藤の花は、薄紫色の房状の花が優雅に垂れ下がり、日本の庭園文化を象徴する美しい光景を作り出します。[4月下旬から5月上旬に咲く](https://www.hyponex.co.jp/plantia/plantia-14956/)藤の花は、その優美な姿と甘い香りで、古くから日本人に愛されてきました。つるは1
藤(フジ)の育て方と棚仕立ての方法
春の訪れを告げる藤の花は、薄紫色の房状の花が優雅に垂れ下がり、日本の庭園文化を象徴する美しい光景を作り出します。4月下旬から5月上旬に咲く藤の花は、その優美な姿と甘い香りで、古くから日本人に愛されてきました。つるは10m以上に成長することもある大型のつる性植物ですが、暑さ・寒さに強く丈夫で育てやすいため、庭づくり初心者にもおすすめの植物です。この記事では、藤の基本的な育て方から、美しい藤棚を作るための棚仕立ての方法まで、詳しく解説していきます。
藤の基本情報と魅力
藤はマメ科フジ属のつる性落葉木本で、日本固有種の「ノダフジ」と中国原産の「ヤマフジ」が主な品種として知られています。最大の特徴は、藤棚(パーゴラ)から暖簾のように垂れ下がる花房で、長いものでは1m以上にもなる壮観な花姿を楽しめます。

藤の主な品種
日本で栽培される藤には、いくつかの種類があり、それぞれ特徴が異なります。ノダフジとヤマフジの最も大きな違いは、つるの巻き方です。ノダフジは右巻き(時計回り)、ヤマフジは左巻き(反時計回り)に巻きます。
| 品種名 | つるの巻き方 | 花房の長さ | 開花時期 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ノダフジ | 右巻き(時計回り) | 30〜80cm | 4月下旬〜5月上旬 | 最も一般的な品種、花房が長い |
| ヤマフジ | 左巻き(反時計回り) | 10〜20cm | 5月上旬〜中旬 | 花房は短めだが香りが強い |
| 一才藤 | 右巻き | 15〜30cm | 4月下旬〜5月 | 若木でも開花、鉢植え・盆栽向き |
| シロバナフジ | 右巻き | 20〜60cm | 4月下旬〜5月 | 白い花が特徴、清楚な印象 |
一才藤は、若木でも花が咲きやすいため、盆栽や鉢植えとして早いうちから観賞できる品種として人気があります。
藤の魅力と効果
藤の魅力は何といってもその圧倒的な花の美しさです。藤棚から垂れ下がる花房は、まるで紫の滝のようで、庭園デザインの重要な要素として古くから活用されてきました。また、藤の花にはやわらかな香りがあり、開花時期には庭全体が甘い香りに包まれます。
さらに、藤は成長が早く、1シーズンで約3m伸びることもあるため、日陰を作るためのシェードプランツとしても優れています。夏の強い日差しを遮り、涼しい木陰を提供してくれます。
藤の植え付けと場所選び
藤を健康に育て、美しい花を咲かせるためには、適切な場所選びと植え付けが重要です。

植え付けの適期
藤の苗の植え付けは、11月から3月前後が適期です。この時期は休眠期にあたり、根の活着が良いため、その後の生育が順調になります。購入した苗は鉢植えでも庭植えでも育てられますが、藤は大きく成長するため、十分なスペースを確保できる場合は地植えがおすすめです。
場所選びのポイント
藤は日当たりの良い場所で栽培することが重要で、日照不足だと花が咲きにくくなります。1日に最低でも6時間以上の直射日光が当たる場所を選びましょう。
適した場所の条件:
- 日当たり: 1日6時間以上の直射日光が当たる場所
- スペース: つるが10m以上伸びることを考慮し、十分な成長スペースを確保
- 支柱: 藤は非常に重くなるため、頑丈な支柱や藤棚が必要です(6x6の木材またはスチール製が推奨)
- 周囲への配慮: 建物の外壁や雨樋に絡みつくと破損する恐れがあるため、適度な距離を保つ
土づくり
藤は土質を選ばず丈夫に育ちますが、水はけの良い肥沃な土壌を好みます。腐葉土や堆肥を混ぜ込んで土壌を改良すると、より健康に育ちます。
地植えの場合:
植え穴は根鉢の2〜3倍の大きさに掘り、掘り上げた土に腐葉土と完熟堆肥を3割程度混ぜ込みます。水はけの悪い場所では、高植えにするか、土を盛って植え付けましょう。
鉢植えの場合:
大型の深鉢(10号以上)を用意し、赤玉土6:腐葉土3:川砂1の割合で配合した土を使います。市販の草花用培養土でも問題ありません。
藤棚の作り方と誘引方法
藤の最大の魅力である藤棚仕立ては、計画的に支柱を設置し、つるを誘引することで実現できます。

藤棚の設計と設置
藤棚(パーゴラ)を作る際は、藤の重量に耐えられる頑丈な構造が必要です。成熟した藤は数百キロの重さになることもあり、6x6インチ(約15cm角)の木材ポスト、またはスチール製の支柱が推奨されます。
藤棚の基本構造:
- 支柱の設置: 地面に60cm以上埋め込み、しっかりと固定します
- 横材の取り付け: 支柱の上部に頑丈な横材を渡し、格子状に組みます
- 高さ: 人が通れる高さとして、最低でも2.2m以上確保します
- 幅と奥行き: 藤の成長を考慮し、最低でも3m×3m以上のサイズが理想的です
つるの誘引方法
藤の誘引は、主枝を横に伸ばし、そこから垂れ下がる花を楽しむように行います。
誘引の手順:
- 主幹の選定: 苗から伸びる太い枝を1〜2本選び、これを主幹とします
- 垂直誘引: 主幹を支柱に沿って垂直に誘引し、棚の高さまで伸ばします
- 水平誘引: 棚の高さに達したら、主枝を水平に誘引し、藤棚の格子に沿って広げます
- 固定: 麻紐やビニタイで緩めに固定します。きつく縛ると枝が太くなるときに食い込むので注意
つるの巻き方は品種によって異なるため、ノダフジは右巻き、ヤマフジは左巻きであることを確認しながら誘引しましょう。無理に逆方向に巻くと、つるが傷んでしまいます。
誘引のタイミング
誘引作業は年間を通して行えますが、特に若い柔らかいつるが伸びる春から初夏にかけてが最適です。この時期のつるは柔軟で誘引しやすく、思い通りの方向に伸ばすことができます。
日常の管理と水やり
藤は丈夫な植物ですが、適切な日常管理を行うことで、より美しい花を咲かせることができます。
水やりのポイント
藤は水を好む植物で、特に夏は水切れに注意が必要です。生育期には十分な水やりが重要で、水切れすると葉が黄変したり、花芽の形成に影響が出ます。
季節別の水やり:
- 春(3〜5月): 新芽が伸び、開花する時期。土の表面が乾いたらたっぷり水やり
- 夏(6〜8月): 最も水を必要とする時期。朝夕2回、たっぷりと水やりします。鉢植えの場合は特に注意
- 秋(9〜11月): 徐々に水やりを減らし、土の表面が乾いたら与える程度に
- 冬(12〜2月): 休眠期のため水やりは控えめに。乾燥が続くときに軽く与える程度で十分
地植えの場合は、根付いた後は基本的に自然の降雨で十分ですが、夏の日照りが続くときは水やりをしましょう。
肥料の与え方
藤は肥料をあまり必要としませんが、花つきを良くするには適度な施肥が効果的です。
施肥のタイミング:
- 寒肥(1〜2月): 緩効性の有機質肥料(油かす、骨粉など)を株元に施します
- 花後の追肥(6月): 花後のお礼肥として、緩効性化成肥料を与えます
- 夏の追肥は控える: 夏に窒素肥料を与えると、つるばかり伸びて花芽がつきにくくなるため注意
若木のうちは、つるを伸ばすために年に2〜3回施肥しますが、成木になったら年1〜2回で十分です。詳しくは肥料の基礎知識をご参照ください。
剪定のポイントと時期
藤の剪定は、美しい花を咲かせるための最も重要な作業です。適切な時期と方法で剪定を行うことで、毎年見事な花を楽しむことができます。

剪定の基本知識
藤は前年に伸びた枝(1年生枝)に花をつけます。そのため、7月以降は翌年の花芽が形成されるため、剪定には注意が必要です。年に2回、晩冬と晩夏に剪定を行うのが基本です。
花後の剪定(5月下旬〜6月下旬)
花が終わった直後に行う剪定で、最も重要な作業です。
剪定の手順:
- 花房の切り取り: 枯れた花房を花首から切り取ります
- 徒長枝の整理: 勢いよく伸びた長い枝を、2〜3芽残して切り詰めます
- 混み合った枝の間引き: 枝が重なり合っている部分を間引き、風通しを良くします
- 不要なつるの除去: 藤棚からはみ出したつるや、邪魔な位置に伸びたつるを基部から切り取ります
この時期の剪定は、7月から始まる花芽の分化に備えて、株を整理することが目的です。
冬の剪定(12月〜2月)
落葉後の休眠期に行う剪定で、樹形を整えることが主な目的です。
剪定の手順:
- 徒長枝の切り詰め: 夏以降に伸びた長い枝を、5〜6芽残して切り詰めます
- 古い枝の更新: 3年以上経過した古い枝を基部から切り、若い枝に更新します
- 細かい枝の整理: 枯れ枝、病害虫の被害を受けた枝を除去します
剪定の注意点
9月のお彼岸前に剪定しない: この時期に剪定すると、狂い咲き(季節外れの開花)を引き起こすことがあります。9月のお彼岸以降であれば、伸びすぎたつるを整理することは可能です。
花芽と葉芽の見分け方: 冬の剪定時には、花芽と葉芽を見分けることが重要です。花芽は丸く膨らんでいて、葉芽は細長い形をしています。花芽を切らないよう注意しましょう。
より詳しい剪定の技術については、専用ガイドをご覧ください。
病害虫対策
藤は比較的病害虫に強い植物ですが、いくつか注意すべき病害虫があります。
主な病害虫
コガネムシ類: 成虫は葉を食害し、幼虫は根を食害します。見つけ次第捕殺するか、薬剤で駆除します。
アブラムシ: 新芽や花に発生しやすく、株を弱らせます。早期発見・早期駆除が重要です。
カイガラムシ: 枝や幹に固着し、吸汁します。見つけたら歯ブラシなどでこすり落とすか、薬剤で対処します。
こぶ病: 枝や幹にこぶ状の膨らみができる細菌病です。発見したら、その部分を切り取り、焼却処分します。
詳しい病害虫対策については、予防と早期発見が最も重要です。
小さく育てる方法(鉢植え・盆栽)
藤は大型のつる性植物ですが、適切な管理により鉢植えや盆栽として小さく育てることも可能です。
鉢植えでの育て方
鉢植えの藤は、スペースの限られた庭やベランダでも楽しむことができます。
ポイント:
- 品種選び: 一才藤など、コンパクトに育つ品種を選びます
- 鉢のサイズ: 10号(直径30cm)以上の深鉢を使用します
- 植え替え: 2〜3年に1回、一回り大きな鉢に植え替えます
- 根の剪定: 植え替え時に古い根を1/3程度切り詰め、新しい根の発生を促します
- 支柱の設置: オベリスクやトレリスを設置し、つるを誘引します
盆栽としての育て方
藤は盆栽としても人気があり、小さな鉢でも美しい花を咲かせることができます。
盆栽のポイント:
- 針金かけ: つるを美しい曲線に仕立てるため、針金をかけて形を整えます
- 根上がり: 藤の根を徐々に露出させる「根上がり」の仕立て方も人気があります
- 花芽の保護: 盆栽は樹形が重要ですが、花芽を切らないよう注意が必要です
ガーデニングの基礎知識を身につけることで、藤の盆栽づくりもより楽しめるでしょう。
まとめ
藤は日本の春を代表する美しい花木で、適切な管理を行えば、毎年見事な花を咲かせてくれます。特に藤棚から垂れ下がる紫の花房は、他の植物では味わえない圧倒的な美しさがあります。
藤を育てる際の重要なポイントをまとめると:
藤は2〜3年で藤棚を覆うほどに成長し、その後何十年にもわたって美しい花を咲かせ続けます。初期の手間はかかりますが、一度しっかりと藤棚を作れば、毎年春の訪れとともに息をのむような美しい光景を楽しむことができるでしょう。
ぜひあなたの庭に藤を迎えて、日本の伝統的な美しさを体感してください。より詳しいガーデニングの知識については、季節の園芸カレンダーや庭木・シンボルツリーの選び方もあわせてご覧ください。





