剪定バサミとノコギリの正しい手入れ方法
2026年2月6日

剪定バサミとノコギリの正しい手入れ方法を徹底解説。使用後の日常ケアから砥石・ダイヤモンドファイルでの研ぎ方、サビの予防と落とし方、季節ごとのメンテナンススケジュールまで、プロの庭師が実践するメンテナンス技術を紹介します。
剪定バサミとノコギリの正しい手入れ方法|切れ味を長持ちさせるメンテナンス完全ガイド
ガーデニングで最も大切な道具といえば、剪定バサミと剪定ノコギリです。しかし、せっかく良い道具を手に入れても、正しい手入れをしなければ切れ味はすぐに落ちてしまいます。切れない刃で剪定すると、植物の組織を潰して傷口が不整形になり、病害虫の侵入リスクが大幅に高まります。
この記事では、剪定バサミとノコギリの日常的なお手入れから、定期的な研ぎ直し、サビ落とし、正しい保管方法まで、プロの庭師も実践するメンテナンス方法を徹底解説します。正しい剪定技術と併せて、道具の手入れを習慣化しましょう。
なぜ剪定道具の手入れが重要なのか
剪定道具の手入れを怠ると、以下のような深刻な問題が発生します。
植物への悪影響:
切れ味の鈍い刃で枝を切ると、切り口がギザギザになり、組織が潰れて切り口の癒合が遅れます。これにより病原菌が侵入しやすくなり、黒星病やうどんこ病など様々な病気のリスクが高まります。
作業効率の低下:
切れない道具での作業は無駄な力が必要になり、手や腕への負担が大きくなります。特に庭木の剪定のように長時間作業する場合、切れ味の差は疲労に直結します。
道具の寿命短縮:
サビや汚れを放置すると刃が腐食し、やがて研いでも切れ味が戻らなくなります。適切なメンテナンスを続ければ、高品質な剪定バサミは10年以上使い続けることも可能です。
| 手入れの頻度 | 作業内容 | 所要時間 | 必要な道具 |
|---|---|---|---|
| 毎回(使用後) | 汚れ拭き取り・注油 | 5分 | 布・椿油 |
| 月1回 | ヤニ・樹液の除去 | 15分 | 刃物クリーナー |
| 3〜6ヶ月ごと | 刃の研ぎ直し | 30分 | 砥石・ダイヤモンドファイル |
| 年1回 | 分解清掃・部品交換 | 1時間 | ドライバー・スパナ |
剪定バサミの日常メンテナンス
剪定バサミの手入れで最も大切なのは、使用後すぐのケアです。たった5分の習慣で、切れ味を大幅に維持できます。

使用後の基本ケア
- 汚れの拭き取り:柔らかい布で刃に付いた樹液・土・水分を丁寧に拭き取ります
- 刃物クリーナーの使用:頑固な樹液にはアルコールや専用の刃物クリーナーを使い、汚れを溶かして除去します
- 注油:椿油やミシン油を数滴垂らし、刃全体に薄く伸ばします。特にネジ部分(支点)にはしっかりと油を差しましょう
- 動作確認:数回開閉して、スムーズに動くか確認します
プロのコツ: 現場で時間がないときは、ウエスに椿油を染み込ませたものをポケットに入れておき、作業の合間にさっと拭くだけでも大きな差が出ます。樹液は乾くと固まって落としにくくなるため、早めの対処が肝心です。
ヤニ・樹液の徹底除去
松やバラなど樹液の多い植物を剪定した後は、通常の拭き取りでは不十分な場合があります。
- ぬるま湯+中性洗剤:刃をぬるま湯に浸し、中性洗剤で洗います。金ダワシや金ブラシで頑固な汚れをこすり落としましょう
- 無水エタノール:樹脂の溶解に効果的です。布に含ませて拭き取ります
- 専用クリーナー:市販の園芸用刃物クリーナーは、5分で切れ味を回復させるほどの効果があります
洗浄後は必ず水分を完全に拭き取り、注油を忘れないようにしましょう。
剪定バサミの研ぎ方|切れ味復活の正しい手順
剪定バサミの種類によって研ぎ方は若干異なりますが、基本的な手順は共通しています。よく使う剪定ばさみは6週間ごとに研ぎ直すのが理想的です。

必要な道具
- 砥石(中砥#1000程度):一般的な研ぎに最適
- ダイヤモンドファイル:初心者でも使いやすく、粗目・中目・細目の3段階で効果的に研げます
- 椿油:研ぐ前に刃に塗ることで滑りが良くなります
- 固定用の台またはバイス
研ぎの手順
- 分解:可能であればネジを外して刃を分離します(バイパス式の場合)
- サビ・汚れの除去:サンドペーパー(#400程度)で軽くサビを落とします
- 角度の確認:刃の研ぎ角度(通常20〜30度)を確認します
- 表面を研ぐ:砥石の上で刃の表面を一定の角度で前後に動かします
- バリ取り:裏面に出たバリを軽く取り除きます
- 組み立て・注油:再組立てし、ネジ部分に注油します
⚠️ 最重要ポイント: 剪定ばさみの研ぎでは表側(かま刃)のみを研ぐのが鉄則です。裏側も研いでしまうと噛み合わせが悪くなり、うまく切れなくなってしまいます。裏面はバリを取る程度にとどめてください。
初心者向け:ダイヤモンドファイルでの簡単研ぎ
砥石での研ぎが難しいと感じる方には、ダイヤモンドファイルがおすすめです。
- 刃を手前に向けて固定します
- ファイルを刃の角度に合わせて当てます
- 押す方向(刃先から根元へ)に一方向で5〜10回研ぎます
- 切れ味をテスト:紙やコピー用紙がスパッと切れれば完成です
剪定ノコギリのメンテナンスと替刃交換
剪定ノコギリは剪定バサミとは異なるメンテナンスが必要です。特に替刃式と固定刃式で手入れ方法が変わります。

日常のケア
- 使用後は必ず拭く:布で木くず・樹液・水分を丁寧に拭き取ります
- 歯の間の詰まりを除去:古い歯ブラシや真鍮ブラシで歯の谷間に詰まった木くずを取り除きます
- 防錆油の塗布:刃全体に薄く椿油やCRCを塗ります
替刃式ノコギリの刃交換
現在の剪定ノコギリは替刃式が主流です。刃の交換時期の目安:
- 切断時に力が必要になった
- 切り口がケバ立つようになった
- 歯が欠けたり曲がったりしている
- 目立てしても切れ味が戻らない
替刃式のメリット: 剪定ノコギリの研ぎ(目立て)は専門的な技術が必要で、素人が行うと刃を痛める可能性があります。替刃を購入する方がコスパが良い場合が多く、常に最高の切れ味を維持できます。
固定刃ノコギリの目立て
どうしても固定刃を研ぎ直したい場合は、以下の方法があります。
- 細い棒ヤスリを使い、片側ずつ歯の面にヤスリを当てて光るくらいまで擦ります
- 歯の先端は軽く研ぐ程度にとどめ、削りすぎに注意します
- 高価なノコギリの場合は、プロの研ぎ師に依頼するのが安全です
サビの予防と落とし方
園芸道具の大敵はサビです。特に梅雨時期や雨の日の作業後は要注意です。

サビの予防法
| 予防方法 | 効果 | コスト | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 使用後の注油 | ★★★★★ | 低 | 最優先 |
| 乾燥した場所での保管 | ★★★★★ | 低 | 必須 |
| シリカゲルの同梱 | ★★★★☆ | 低 | おすすめ |
| 新聞紙で包む | ★★★☆☆ | 無料 | 手軽 |
| 防錆スプレー | ★★★★☆ | 中 | 長期保管時 |
保管のベストプラクティス: 湿気の少ない風通しの良い場所に保管し、シリカゲルを収納場所に入れておくと防サビ効果が高まります。新聞紙で包んで保管するのも昔ながらの有効な方法です。
サビの落とし方
軽度のサビから重度のサビまで、段階に応じた対処法があります。
軽度のサビ(表面の薄い変色):
- サンドペーパー(#400〜600)で軽く磨きます
- ポイントは「大きく動かさない」「力をかけすぎない」こと
- 細かく優しくサンドペーパーを揺らしながら少しずつ削ります
中度のサビ(赤サビが広がっている):
- クエン酸水やお酢に数時間浸けます
- スチールウールや真鍮ブラシで磨きます
- 最後にサンドペーパーで仕上げます
重度のサビ(深くピッチングが発生):
- サビ転換剤を塗布してサビの進行を止めます
- 必要に応じてプロに研ぎ直しを依頼します
- 状態によっては刃の交換を検討しましょう
サビ落とし後は必ず水分を完全に除去し、防錆油を塗布してから保管してください。
道具別メンテナンス用品の選び方
ガーデニング道具のメンテナンスに必要なアイテムを揃えましょう。
必須アイテム
- 椿油(つばき油):日本製の園芸刃物には椿油が最適。食用油でも代用可能ですが、酸化しやすいため非推奨
- 砥石(中砥#1000):剪定バサミの研ぎに必須。水に浸けてから使用します
- 刃物クリーナー:樹液や汚れを溶かす専用スプレー
- ウエス(柔らかい布):使い古しのTシャツやタオルでOK
- サンドペーパー(#400〜600):サビ落としに使用
あると便利なアイテム
- ダイヤモンドファイル:初心者にも扱いやすい研ぎ道具
- 真鍮ブラシ:ノコギリの歯の間の掃除に最適
- シリカゲル:保管時の湿気対策
- バイス(万力):研ぎ作業時の固定に便利
- ネジロック剤:分解清掃後のネジ緩み防止
季節ごとのメンテナンススケジュール
年間の園芸スケジュールに合わせて、道具のメンテナンスも計画的に行いましょう。
春(3〜5月):剪定シーズン前の準備
- 冬の間に保管していた道具を点検
- 刃の研ぎ直しと注油
- ネジの緩みをチェック
- 必要な替刃やメンテナンス用品を購入
夏(6〜8月):夏剪定期の集中ケア
- 梅雨時期は使用後のサビ対策を特に徹底
- 樹液が多い時期なので、こまめなヤニ除去
- 高温多湿での保管場所を見直し
秋(9〜11月):秋の剪定後のケア
- 落葉樹の剪定準備として道具を整備
- 年に一度の分解清掃を実施
- 消耗部品(バネ、ストッパー)の交換
冬(12〜2月):長期保管の準備
- シーズン最後の総点検
- 防錆処理を念入りに
- 新聞紙に包んでシリカゲルとともに保管
- 来シーズンの道具購入計画
プロが教える長持ちの秘訣
最後に、プロの庭師が実践する道具を長持ちさせるコツをまとめます。
- 専用の道具入れを使う:ガーデニング収納を整備し、道具同士がぶつかって刃が傷むのを防ぎます
- 用途に合った道具を使う:太い枝に剪定バサミを無理に使わず、適切な太さにはノコギリを使い分けましょう
- 地面に直置きしない:土や水分が刃を傷めます。作業中はバケツに立てるか、腰袋に入れましょう
- 定期的な「消毒」:病気の植物を切った後は、アルコールや次亜塩素酸で刃を消毒します。病害虫の伝染防止に効果的です
- 良い道具に投資する:品質の良い剪定バサミは研ぎ直しが効き、結果的にコスパが優れています
正しい手入れを続ければ、剪定バサミは10年以上、ノコギリの柄は一生使えるものもあります。道具への愛着を持ち、園芸刃物の総合的なメンテナンスを日常の習慣にしましょう。大切に手入れされた道具は、あなたの庭づくりの最良のパートナーになってくれるはずです。





