園芸用語
リール式芝刈り機
別名: リールモア / シリンダーモア / 手動リール式芝刈り機 / reel mower
螺旋状の回転刃と固定刃で芝をはさみ切りし、低く均一な刈り込みに使う芝刈り機です。
定義
リール式芝刈り機は、円筒状に配置された複数の回転刃(リール刃)と、下側に固定された受刃(ベッドナイフ)で芝葉をはさみ切る芝刈り機です。はさみと同じ原理で切断するため、回転刃を高速で当てるロータリー式とは刃の構造と手入れ方法が異なります。家庭用には車輪で刃を駆動する手動式と、モーターで駆動する電動式があります。
主な構成要素
- リール刃:螺旋状に並ぶ回転刃で、受刃との交点を移動させながら芝を切ります。
- ベッドナイフ:芝を支え、リール刃との間で切断する固定刃です。
- 刃合わせ機構:リール刃とベッドナイフの接触を左右で均一に調整します。
- 駆動部:手動式では車輪・ピニオンギア、電動式ではモーターがリールを回します。
切れ味の確認と手入れ
電動式は電源プラグやバッテリーを外し、手動式も車輪とリールが不意に動かないよう固定してから点検します。指を刃の隙間へ入れず、手を刃先から離した状態で細い紙片を刃幅の左・中央・右へ差し、指定された方法でリールをゆっくり回して切れ味を確認します。紙が全幅で軽く切れないときは刃合わせを点検し、軽い摩耗はバックラッピング、深い欠けや曲がりは本研磨や刃の交換で対処します。
使用後と保管
芝や土を落とし、水分と研磨剤を残さず乾燥させます。指定箇所へ少量の潤滑剤や防錆油を使い、雨ざらしを避けて保管します。
ロータリー式との違い
リール式は回転する螺旋刃と固定刃の間で葉を挟み切り、ロータリー式は水平に回る刃で葉へ衝撃を与えて切ります。リール式は低く均一な刈り上がりに向きますが、長く伸びた芝や硬い茎、凹凸の大きな地面は苦手です。芝の状態と求める刈り高で方式を選びます。
芝を伸ばしすぎない管理
芝生を伸ばしすぎてから一度に短くすると、機械の通過回数が増え、葉にも負担が掛かります。定期的に刈り込み、落ち枝や石を事前に除くことがリール式を生かす条件です。湿った刈りくずが刃へ詰まる場合は乾いてから作業します。
刈り高と床面
刈り高は前後のローラーや車輪と受刃の位置関係で決まります。左右で設定が違うと刈り面が傾くため、平らな基準面で両側を合わせます。機種の調整範囲を超えて低く設定しません。
床面の不陸と摩耗
芝面に高低差や沈みがあると、受刃が土へ当たり芝を削るスキャルピングが起こります。目土や補修で不陸を徐々に整え、急な段差をまたがない経路で刈ります。土や砂をかむと刃が急速に摩耗するため、作業後に確認します。
刃合わせ
リール刃とベッドナイフの隙間は、全幅で紙が切れる程度へ均一に調整します。接触を強くしすぎると回転抵抗、摩耗、発熱が増え、離れすぎると葉を挟めません。左右の調整ねじは少しずつ動かします。
偏摩耗の確認
異音や一部だけの強い接触がある場合は、刃の曲がり、軸受、受刃の固定を確認します。刃合わせだけで無理に補正すると偏摩耗が進むことがあります。
バックラッピング
バックラッピングは、軽い摩耗を研磨剤と逆回転で整える方法です。深い欠け、段差、円筒度の崩れを直す本研磨とは目的が異なります。機種が手動の逆回転に対応するか、説明書で確認します。
研磨剤の除去と確認
作業では研磨剤が均一に作用するよう少量ずつ塗り、音と接触の変化を確認します。終了後は研磨剤を完全に除き、紙切り試験で全幅を点検します。研磨剤を残したまま通常回転させると摩耗が続きます。
刈り方
最初に外周を整え、直線を重ねながら一定速度で進みます。前の刈り幅へ一部を重ねると刈り残しを減らせます。急に方向転換すると芝面を傷めるため、刃を少し浮かせて旋回します。
刈る方向と刈りくず
刈る方向を作業ごとに変えると、芝が一方向へ寝ることやわだちを抑えられます。長い芝は刈り高を段階的に下げ、同じ日に過度に短くしません。刈りくずが塊になる場合は回収し、薄い場合は均一に分散させます。
不調の見分け方
紙が一部で切れない場合は刃合わせの偏り、葉先が裂ける場合は刃先の摩耗を疑います。機械が重い場合は強すぎる接触、軸受の汚れ、車輪の詰まりを確認します。芝を引き抜く症状では、刈り高と芝の湿りも見直します。
異常時の使用中止
異常振動、金属音、刃の欠けがあるときは使用を中止します。調整後も全幅がそろわなければ、専門的な円筒研磨や受刃交換が必要な場合があります。故障を刃合わせだけで補おうとせず、部品の状態を分けて診断します。