園芸用語
スイセンハナアブ
別名: スイセンハナアブ類 / narcissus bulb fly / large narcissus fly / Merodon equestris
スイセンなどの球根内部を幼虫が食害するハナアブ科の昆虫で、学名はMerodon equestrisです。
定義
スイセンハナアブ(Merodon equestris)は、成虫が小型のマルハナバチに似るハナアブ科の昆虫です。幼虫は地際近くで孵化した後、球根の底盤から内部へ入り、中心部を食べます。地上からは見つけにくいため、発芽しない株や不自然に細い葉、掘り上げた球根の穴と軟化が診断の手掛かりになります。
生活環と被害の見分け方
英国の栽培団体による観察では、成虫は風のない20℃を超える日に活動し、地際近くに産み付けられた卵は7日で孵化します。幼虫が入ったばかりの球根には底盤の小穴が見られ、被害が進むと内部が空洞化し、1匹の大きな幼虫と虫糞が確認されます。翌季に芽が出ない場合や、底盤から草のような細い葉だけが多数伸びる場合も疑う必要があります。
家庭園芸での対処
- 疑わしい球根を隔離する:柔らかい球根や底盤に穴のある球根を、健全球と同じ保存容器へ戻しません。
- 産卵を妨げる:地域で発生が続く場合は、成虫の飛来期に不織布や防虫ネットで葉元へ近づきにくくします。ただし、被覆下の土から羽化する個体には効きません。
- 掘り上げ時に確認する:底盤、軟化、空洞、虫糞を見て、被害球を早めに分けます。
- 温湯処理は安易に行わない:幼虫を死滅させても、食害済みの組織は元に戻りません。温度管理を誤ると球根自体を傷めるため、家庭では専門的な手順を確認して判断します。
よくある見間違い
スイセンハナアブの成虫はマルハナバチに似ますが、問題になるのは花を訪れる成虫の見た目ではなく、球根内へ入った幼虫です。一方、球根全体が水っぽく腐る、褐色の病変が底盤から上へ広がる、灰色の胞子が葉元に出るといった症状は、フザリウムやボトリティスなど病原菌による腐敗も候補になります。虫体や侵入口が見えないまま害虫と決めつけず、球根を切り開いた状態と栽培環境を合わせて判断します。