庭世界庭世界
剪定・整枝の技術完全ガイド

つる植物の剪定と誘引のテクニック

2026年2月6日

つる植物の剪定と誘引のテクニック

つる植物の剪定と誘引のテクニックを初心者向けに詳しく解説。切り戻しと間引きの基本から、つるバラ・クレマチスの時期別ガイド、フェンス・アーチへの誘引方法まで、美しい庭づくりのためのプロのコツを紹介します。

つる植物の剪定と誘引のテクニック:美しい庭をつくるプロの方法

つる植物は庭に立体感と豊かな緑をもたらす魅力的な植物です。しかし、放置してしまうとつるが絡まり合い、見た目が乱れるだけでなく、病害虫の温床にもなりかねません。適切な剪定と誘引のテクニックを身につけることで、つる植物の美しさを最大限に引き出すことができます。

本記事では、つる植物の剪定と誘引について、基本から応用テクニックまで体系的に解説します。初心者の方でも実践できるよう、具体的な手順やコツを詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

つる植物の剪定が必要な理由と基本知識

つる植物の剪定は、単に見た目を整えるだけでなく、植物の健康を維持するために欠かせない作業です。特に繁殖力が旺盛なタイプのつる植物は、放置するとあっという間に生い茂り、風通しが悪くなることで病害虫の発生リスクが高まります。

剪定の主な目的は以下の通りです:

  • 樹形のコントロール:成長をコントロールし、望む形に仕立てる
  • 花つきの向上:不要な枝を除くことで栄養を花に集中させる
  • 病害虫の予防:風通しを良くし、病気の蔓延を防ぐ
  • 老化枝の更新:古い枝を取り除き、新しい枝の成長を促す

剪定の基本知識と道具を理解したうえで、つる植物特有のテクニックを習得することが大切です。

剪定の2つの基本テクニック:切り戻しと間引き

つる植物の剪定には、大きく分けて「切り戻し剪定」と「間引き剪定」の2種類があります。それぞれの特徴と使い分けを理解しましょう。

剪定の2つの基本テクニック:切り戻しと間引き - illustration for つる植物の剪定と誘引のテクニック
剪定の2つの基本テクニック:切り戻しと間引き - illustration for つる植物の剪定と誘引のテクニック

切り戻し剪定

切り戻し剪定とは、伸びた枝や茎を途中で切って株を一定の大きさに保つ方法です。コンパクトな仕立てを維持したい場合や、成長期に伸びすぎた枝を整理する際に有効です。

ポイント:

  • 新芽の出ている節の少し上で切る
  • 切り口は斜めに切ると水が溜まりにくい
  • 一度に切りすぎず、全体のバランスを見ながら行う

間引き剪定

間引き剪定は、不要な枝や茎を付け根から切り落とす方法です。混み合った部分を透かして風通しを良くし、病害虫の予防に効果があります。

ポイント:

  • 枯れた枝、弱い枝、交差している枝を優先的に除去
  • 木質化した古い枝は、アイビーなどでは新芽が出にくいため注意
  • 主要な枝を残し、全体の骨格を維持する
剪定の種類目的時期対象
切り戻し剪定樹形のコントロール・コンパクト化成長期〜休眠期伸びすぎた枝・茎
間引き剪定風通し改善・病害虫予防休眠期中心不要枝・枯れ枝・交差枝
花がら摘み美観維持・次の花促進花後随時咲き終わった花
更新剪定老化枝の若返り休眠期古くなった主枝

参考:剪定110番

つる植物の種類別:最適な剪定時期カレンダー

つる植物は種類によって剪定の適期が異なります。間違った時期に剪定すると、花が咲かなくなったり株が弱ったりするため、樹種別の剪定カレンダーを確認しましょう。

つる植物の種類別:最適な剪定時期カレンダー - illustration for つる植物の剪定と誘引のテクニック
つる植物の種類別:最適な剪定時期カレンダー - illustration for つる植物の剪定と誘引のテクニック

つるバラの剪定時期

つるバラの剪定・誘引の適期は12月中旬〜1月いっぱいです。この時期はつるバラも休眠中で、剪定による株への負担が軽く、つるを曲げても折れにくいという利点があります。順番としては、まず剪定をおこなってから誘引をおこなって形を整えます。

クレマチスの剪定時期

クレマチスは系統によって剪定時期と方法が大きく異なります:

  • 旧枝咲き系統(モンタナ系など):花後すぐに剪定。古い枝に花芽をつけるため、冬の強剪定は避ける
  • 新旧両枝咲き系統(ラヌギノーサ系など):花後と冬の2回剪定可能
  • 新枝咲き系統(ビチセラ系など):冬に地際から2〜3節を残して強剪定

その他のつる植物

  • アイビー:一年中剪定可能だが、春〜秋の成長期が最適。緑色の新しい枝を切ること
  • 藤(フジ):花後の5〜6月と、冬の休眠期の2回
  • ジャスミン:花後の剪定が基本。秋以降は花芽を切ってしまうので避ける

参考:GardenStory

誘引の基本テクニック:つるを美しく仕立てるコツ

誘引とは、つる植物の枝やつるを支柱やフェンスに沿わせて固定する作業のことです。正しい誘引を行うことで、花が均等に咲き、見た目も美しく仕立てることができます。

誘引の基本テクニック:つるを美しく仕立てるコツ - illustration for つる植物の剪定と誘引のテクニック
誘引の基本テクニック:つるを美しく仕立てるコツ - illustration for つる植物の剪定と誘引のテクニック

誘引の基本原則

誘引の最も重要なポイントは、上に向かっている枝を水平方向に曲げることです。つる植物は枝の先端に花をつける傾向がありますが、枝を水平にすることで枝の各所から均等に花芽が出やすくなります。

つる植物の支柱とワイヤーの設置方法にも注意が必要で、支柱は壁やフェンスから約5cm離して設置します。水平ワイヤーは30〜45cm間隔で張り、最下段のワイヤーは地面から30cm以上の高さに設定しましょう。

つるの固定方法

つるの固定には、以下の資材を使用します:

  • 麻ひも:自然素材で植物に優しく、分解されるため撤去も簡単
  • ガーデンタイ:柔軟性があり、太い枝にも対応しやすい
  • ソフトワイヤー:ビニール被覆のワイヤーで耐久性が高い

固定の際は「八の字結び」が基本です。紐を支柱とつるの間で八の字にかけることで、つるが直接支柱に擦れるのを防ぎ、成長にも余裕を持たせられます。

誘引時の注意点

  • 無理に曲げると枝が折れるため、ゆっくりと少しずつ曲げる
  • クレマチスは特につるが折れやすいので、自然な動きを見極めながら優しく誘引する
  • 枝の間隔は小輪種で5cm程度、大輪種で10cm程度が目安

参考:Brooklyn Botanic GardenRHS

構造物別の誘引テクニック:フェンス・アーチ・トレリス

つる植物の魅力を最大限に引き出すには、フェンス・アーチなどの構造物に合わせた誘引テクニックが重要です。それぞれの構造物に適した方法を解説します。

構造物別の誘引テクニック:フェンス・アーチ・トレリス - illustration for つる植物の剪定と誘引のテクニック
構造物別の誘引テクニック:フェンス・アーチ・トレリス - illustration for つる植物の剪定と誘引のテクニック

フェンスへの誘引

フェンスは最も取り組みやすい誘引先です。横方向に十分なスペースがあるため、つるを水平に広げやすく、多くの花を均等に咲かせることができます。

手順:

  1. フェンスにワイヤーや格子を取り付ける
  2. 主要な枝を選び、水平またはやや斜めに固定
  3. S字を描くように枝を配置し、空間を均等に埋める
  4. 短い枝や細い枝は空いたスペースに配置

アーチへの誘引

バラのアーチは庭のフォーカルポイントとして人気があります。アーチの側面に太く長い枝をS字を描くように配置して、麻ひもで固定するのが基本です。

手順:

  1. アーチの左右に均等に枝を配分
  2. 太い主枝はS字状に巻き付けながら誘引
  3. 細い枝は主枝の間を埋めるように配置
  4. アーチの頂部は枝を交差させてボリュームを出す

トレリスへの誘引

トレリスは格子状の構造で、つるを絡ませやすいのが特徴です。つるバラとクレマチスの組み合わせを楽しむのにも最適な構造物です。

構造物メリットおすすめ植物誘引の難易度
フェンス広い面積・初心者向きつるバラ・アイビー★☆☆(易しい)
アーチ立体的な演出・通路装飾つるバラ・クレマチス★★☆(普通)
トレリス壁面装飾・コンパクトクレマチス・ジャスミン★★☆(普通)
オベリスク省スペース・鉢植え向きつるバラ・クレマチス★★★(やや難)
パーゴラ日陰づくり・大空間藤・ブドウ・つるバラ★★★(やや難)

参考:GreenSnap

つるバラの剪定・誘引の実践ガイド

つるバラの仕立て方は、庭づくりの中でも特に人気の高いテクニックです。ここでは実践的な手順を詳しく解説します。

冬の剪定・誘引の手順

必要な道具:

作業手順:

  1. 古い紐をすべて外す:前年の紐を取り除き、つるを自由な状態にする
  2. 不要枝の剪定:枯れた枝、細すぎる枝、古くなった枝を根元から切り落とす
  3. 主枝の選定:花をつけるための太く健康な枝を3〜5本選ぶ
  4. 枝の整理:残した枝の先端を軽く切り戻し、長さを調整
  5. 誘引作業:選んだ枝を水平〜やや斜めに構造物に固定
  6. 細枝の配置:短い枝や細い枝を空きスペースに配置して固定

よくある失敗と対策

  • 枝を垂直に誘引してしまう→ 花が先端にしか咲かない。必ず水平方向に曲げる
  • 枝の間隔が狭すぎる→ 風通しが悪くなり病気の原因に。大輪種は10cm以上の間隔を
  • 無理に曲げて枝を折る→ 少しずつ角度をつけ、数日かけて曲げる方法も有効

参考:GardenStory バラ専門家の誘引ガイドMeetsmore

季節ごとのメンテナンスとお手入れスケジュール

つる植物の美しさを保つには、季節に応じたこまめなメンテナンスが欠かせません。季節の園芸カレンダーに合わせて作業を行いましょう。

春(3月〜5月)

  • 新芽の伸び始めを確認し、必要に応じて誘引をやり直す
  • 枯れ込んだ枝があれば剪定
  • 施肥を開始し、成長を促す
  • アブラムシなどの早期発見・対策

夏(6月〜8月)

  • 伸びすぎたシュート(新梢)の整理
  • 花がら摘みをこまめに行う
  • グリーンカーテン用のつる植物は誘引をこまめに
  • 水やりと施肥を継続

秋(9月〜11月)

  • 四季咲きのバラは秋の花を楽しむために軽い剪定
  • 来春の計画を立て、構造物の点検・修繕
  • 落ち葉の清掃と株元の整理

冬(12月〜2月)

  • つるバラの本格的な剪定と誘引(12月中旬〜1月)
  • 新枝咲きクレマチスの強剪定
  • 冬の植物管理として防寒対策が必要な品種の保護
  • 支柱やワイヤーの点検と補修

まとめ:つる植物を美しく育てるために

つる植物の剪定と誘引は、最初は難しく感じるかもしれませんが、基本のテクニックを理解すれば誰でも実践できます。大切なのは以下のポイントです。

  1. 適切な時期を守る:植物の種類に合わせた剪定・誘引の時期を確認
  2. 水平方向への誘引:上向きの枝を水平に曲げることで花つきが向上
  3. 無理をしない:つるは少しずつ曲げ、折れないように注意
  4. こまめな観察:季節ごとのメンテナンスで植物の状態を常にチェック
  5. 構造物に合わせた仕立てフェンスアーチトレリスそれぞれに適した方法を選ぶ

つる植物の剪定と誘引のスキルを磨いて、あなたの庭を美しいガーデンデザインで彩りましょう。まずは手持ちのつる植物で基本テクニックを試してみてください。

参考サイト:

関連記事