園芸用語
発芽
別名: 芽出し / germination / 発芽現象
種子が吸水して休眠から覚め、幼根と幼芽を伸ばして生長を始める現象。
定義
発芽とは、成熟した種子が水を吸って代謝を再開し、胚が成長して幼根などを種皮の外へ伸ばす一連の過程です。休眠性をもつ種子では、適温や水分を与えるだけでなく、あらかじめ休眠が解除されていることも必要です。そのため「生きている種子」と「すぐ発芽できる種子」は同義ではありません。園芸では、幼根が現れた時点を発芽の目安とすることが多く、その後に子葉や幼芽が展開して実生の生育へ移ります。
主な特徴
- 発芽の基本条件は、利用できる水分、呼吸に必要な酸素、その植物に適した温度です。水が少なければ吸水が進まず、多すぎて用土の空気が失われても発芽や発芽後の根の伸長が妨げられます。
- 温度への反応は植物ごとに異なり、同じ種でも適温域を外れると発芽が遅れたり不ぞろいになったりします。地温は気温と一致しないため、屋外では季節名だけでなく播種床の温度も判断材料になります。
- 光への反応も一様ではありません。光で発芽が促される好光性種子、暗い条件で発芽しやすい種子、光の影響が小さい種子があるため、覆土の厚さは種袋の表示に合わせます。
- 発芽率と発芽速度は別の指標です。最終的に同じ割合が発芽しても、低温や乾湿のむらがあると日数がばらつき、苗の大きさがそろいにくくなります。
- 発芽しない原因は、古さや損傷による生存力の低下だけではありません。休眠、温度の不適合、深すぎる覆土、乾燥、過湿による酸素不足などを切り分ける必要があります。
園芸での発芽管理
まず種袋で播種適期、発芽適温、覆土の有無、標準的な発芽日数を確認します。清潔で水はけと保水性の釣り合った用土を使い、まく前に全体を湿らせておくと、播種後の強い水流で種が移動するのを防げます。まいた後は表面だけを断続的に濡らすのではなく、種の周囲が乾き切らない程度の水分を保ちます。ただし受け皿に水をため続けると空気が不足しやすいため、常時冠水は避けます。
発芽待ちの容器には品種名と播種日を記し、温度、水分、発芽数を観察します。予定日を過ぎても、すぐ追加の水や肥料で解決しようとせず、用土を少量確認して、種が乾いたのか、腐ったのか、まだ硬いままなのかを見ます。肥料は発芽そのものの必須条件ではなく、濃い塩類はかえって吸水を妨げることがあります。発芽後は覆いを徐々に外し、十分な明るさと風通しを確保します。発芽前の条件と苗を健全に育てる条件は同じとは限らないため、芽が出た時点で管理を切り替えることが重要です。